「新K2技術」で活きる“ウッドコーンの音”――JVC「EX-HRシリーズ」
「ハイレゾ音源を再生したときの感動を、CDでも味わいたい」。JVCケンウッドのウッドコーンオーディオシステムに採用された新K2技術だが、情報量の拡大と同時にスピーカー選択の自由度も上げたようだ。
JVCケンウッドは、ウッドコーンオーディオシステムの新製品として、CDドライブ搭載の「EX-HR9」など3製品を6月中旬から順次発売する。2011年に発売した「EX-AR9」などの後継となるスタンダードモデルだ。
3年ぶりのモデルチェンジにあたり、JVCは高い目標を設定した。それは「ハイレゾ対応モデルでハイレゾ音源を再生したときの感動を、CDでも味わいたい、ということだ」(開発を担当したJVCオーディオ事業部の今村智氏)。レシーバーには、独自のアップサンプリング&ビット拡張技術である「新K2テクノロジー」と、1月に発売したハイレゾ対応モデル「EX-N50/N70」と同じデジタルアンプ「新DEUS」を搭載。S/Nや高域の再生帯域を改善する。
組み合わせるスピーカーは、最上位の「EX-HR9」と下位モデルの「EX-HR5」がフルレンジ1発のキューブ型。しかし中位モデルの「EX-HR7」は2Wayのブックシェルフ型スピーカーのため、一見どれが上位機なのか分かりにくい。
実は、「EX-HR5」と「EX-HR7」のスピーカーは、今年1月に登場した“ハイレゾ対応モデル”「EX-N50」および「EX-N70」のものと共通だ。対して「EX-HR9」のスピーカーは、“究極のフルレンジ”を目指して開発した「EX-AR9」のスピーカーをベースに、ハイレゾモデル開発で培ったノウハウを加えた。
例えばキャビネット内にある響棒。上部のスプルース響棒などは「EX-AR9」から継承したものだが、新たにバッフル裏のチェリー材響棒が厚くなった。「ハイレゾモデル開発時、ここを厚くするとハイレゾの高域に効くことが分かった。今回はCD音源がメインだが、新K2テクノロジーでアップサンプリング&ビット拡張処理した音源にも効く」(今村氏)という。このほか、スピーカーターミナルにダブルナット構造を採用し、接触抵抗を極力小さくしたことも新しい。「鮮度の高いエネルギッシュな音になった」。
JVCは、フルレンジのウッドコーンスピーカーに強いこだわりを持ってきた。それは、“小口径スピーカーならでは”の定位感と自然な音場の広がりに加え、木製振動板が本来持つ「音の先鋭感、立ち上がりの良さ」といったメリットを活用するのに適しているからだ。
「2Wayモデルでは、ウーファーとツィーターで分担するためにネットワーク回路で(音楽信号を)分けなければならない。するとウッドコーン本来の先鋭感が犠牲になってしまう」(今村氏)。それを回避するため、プレミアムモデルの「EX-A300」ではバイアンプ&バイワイヤリング駆動を採用したが、「あまり一般的ではない」ことやコスト面の問題もあってスタンダードモデルには使えないという。
では、2Wayスピーカーを採用した「EX-HR7」や「EX-N70」がダメかといえば、そうではない。今村氏によると、ハイレゾモデルの開発を通じてもう1つ分かったことがあるという。それは「ハイレゾ音源、あるいは新K2技術でハイレゾ相当の情報量になった音源では、ネットワーク回路を介してもウッドコーンの持つ先鋭感があまりスポイルされない」ということだった。つまり、K2技術と組み合わせることで、ウッドコーンならではの音と2Wayのワイドレンジを、低価格なCDモデルでも楽しめるようになったといえるのかもしれない。
型番 | EX-HR9 | EX-HR7 | EX-HR5 |
---|---|---|---|
実売想定価格 | 11万円前後 | 10万円前後 | 8万円前後 |
発売時期 | 6月中旬 | 8月上旬 | 6月中旬 |
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