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ルンバとはなにもかも違うアプローチ、ネイト ロボティクス「ボットバック」滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(2/3 ページ)

「ルンバ」と同じ米国発でありながら、そのアプローチはまったく違う。むしろアイロボットの対極にあるようなメーカーが、ネイト・ロボティクスだ。同社の技術とロボット掃除機「ボットバック」の使い勝手について、同社CEOであるマリーニ・ジャコモ氏に聞いた。

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 ロボット掃除機の掃除の仕方は、大きく2つに分けられる。1つはアイロボットのルンバのように、同じところも何度も通り過ぎることでフロアをきれいにしていくタイプ。もう1つは、例えばLGの「ホームボット」や最近ではミーレの「スカウトRX1」など、マッピングシステムにより短時間で効率良く掃除するタイプで、ボットバックも後者にあたる。


他社製品(左)とボットバック(右)の軌跡

 「ボットパックは短い時間できっちり掃除します。基本的には部屋の広さや形状が分かったら、部屋の壁際である外周をまずはクリアし、その後、同じ方向に直線的にジグザグに掃除していきます。ランダムに動くロボット掃除機と比べて、掃除にかかる時間が4分の1で済むのが大きな利点です」(ジャコモ氏)。

 しかし、マッピングで空間を認識するといっても同じ場所を1度しか通らないで床はきれいになるのだろうか。

 「そのためにボットバックは高い吸引力を実現しました。吸い込む空気の量は毎分約1500リットルほどですが、その吸引力を最大限生かすために、さまざまな工夫がしてあります。例えば、非常にワイドな吸込口をロボットのフロント部に276ミリという幅で配置してあります。ロボット全体の横幅が335ミリですから、全体の8割以上で吸い込むことができるわけです。『ウォール・ストリート・ジャーナル・オンライン』が独自に行ったテストでも、もっとも吸引力が高いという結果が出ています」。


裏面。前方(下)にボディーサイズぎりぎりのワイドな吸引口があることが分かる

 ロボット掃除機の弱点とされる“壁際”もボットパックは得意だという。「ワイドな吸込口が、実は本体中央ではなく右側に寄った形で開いているのがポイントです。その結果、壁と吸込口の間は10ミリ程度しかなく、壁沿いを動くだけで壁際ギリギリまでゴミを吸い取れるのです。その右側にはサイドブラシが伸びていて、それが壁をこするように回るため、ギリギリに落ちているゴミまでしっかりと取り去ることができます。ボットバックは壁などを認識すると必ず右側を壁に向けて動くようにプログラミングされているので、それだけ効率的にゴミを集めることができるのです」(ジャコモ氏)。

壁の隅にぴたっ(左)。サイドブラシも搭載(右)

 ジャコモ氏氏は続ける。「このスタイル――われわれは“Dシェイプデザイン”と呼んでいますが、部屋の角などをしっかり掃除するのに、理想的といえるデザインです。まず、フロントが正方形のように角張っていることで、ボットパックが部屋の角に進んだ時、まるでパズルのピースのように角にハマります。そこからがポイントで、これが後ろも四角だった場合には、ボットパックが壁沿いに曲がろうとしても、後ろの角が当たってしまい、そのままスムーズに曲がることができません。一方、ボットバックは後ろが“D”のラウンド部分と同じように丸くなっているため、曲がる際に後方が壁に引っかかることなく、スムーズに曲がれるのです」。

 さらに、ゴミを収集するためのダストボックスが大きいこともボットパックの優位点の1つだという。

 「なぜ、ボットバックが0.7リットルもの大きなダストボックスを採用できたかというと、フロント側めいっぱいに吸込口を設置したからです。これが中央にあると、後方にダストボックスを設置する結果、どうしても小さくなってしまいます。しかもボットバックはゴミ捨てがしやすいように上から取り出せるようにした点もユーザビリティーの向上に貢献しています。」(ジャコモ氏)。とはいえ、大容量のため、仮に毎日掃除しても1カ月間はゴミ捨てが不要だという。


「ボットバック 85」に標準搭載されている「2重らせんコンボブラシ」

 ゴミをかき出すブラシについては、少し気になる点がある。横幅276ミリと長さにメリットがあるという特徴はすでに説明したものの、問題は素材だ。最上位モデル「ボットバック 85」に標準搭載されている「2重らせんコンボブラシ」は、フローリングとじゅうたんの両方に対応しているが、もう1本のシリコンブレードブラシは「じゅうたん専用」になっている。なぜなら、フローリングや畳などで使った場合、その音が完全に騒音レベルだからだ。

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