ルンバとはなにもかも違うアプローチ、ネイト ロボティクス「ボットバック」:滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(3/3 ページ)
「ルンバ」と同じ米国発でありながら、そのアプローチはまったく違う。むしろアイロボットの対極にあるようなメーカーが、ネイト・ロボティクスだ。同社の技術とロボット掃除機「ボットバック」の使い勝手について、同社CEOであるマリーニ・ジャコモ氏に聞いた。
「シリコンブレードブラシは、叩いてゴミを浮かせ、そのまま吸い込むためのものですので、じゅうたんでは使えますが、フローリングでは使えません。フローリング主体の家を掃除する場合は、2重らせんコンボブラシを使ってください。上位モデルび『ボットバック 85』には両ブラシがついているので問題ありませんが、下位モデルの『ボットバック 75』にはシリコンブレードブラシしか付いてません。フローリング主体の家の方は確実に『ボットバック 85』を選んでいただきたいと思います」(ジャコモ氏)。
ボットバックは1つの特徴として、自動再開機能を搭載している。これはマンションなどで、広いフロアが部屋ごとに仕切られているような空間を次から次へと掃除してくれる「マルチクリーニング」機能と組み合わせることで、大きな力を発揮する。
「掃除の状況や環境にもよりますが、ボットバックは60分〜90分連続で駆動し、最大126畳を掃除できます。掃除中にバッテリーがなくなりそうになると、自動で充電台へと戻り、充電が完了すると続きを始めます。空間を検知したデータはメモリーに残っているので、そこからさらに新たなエリアの掃除をしてくれます。これを最大連続で3回繰り返します。1つの部屋が終わったと判断すると、次の部屋へ移動します」。
広いエリアを掃除してくれる一方、例えばペットを飼っている家で、水飲み用のボウルなどが置いてある場所には掃除ロボットは行ってほしくないもの。ボットバックの場合は、付属の磁気テープで対応できる。
「商品には2メートルぶんの磁気テープが同梱(どうこん)されています。それを行ってほしくないエリアの前に置くことで、ボットバックはそれ以上進まなくなります。また、このテープはハサミで切れるので、複数そういった場所がある場合でも、問題ありません」。
歴史の浅いロボットベンチャーではあるものの、理にかなったスタイルと技術を持って日本市場に乗り込んできたネイト・ロボティクス。ルンバと同じ米国発でありながら、アプローチはモノマネではなく、まったく別という点が非常に面白い。
ダイソンなどの注目メーカーも参入を表明し、ますます競争が激しくなりそうな国内ロボット掃除機市場。その中で、ネイトも存在感を示してくれるはずだ。
関連キーワード
ロボット開発 | 白物家電 | ロボット掃除機 | ルンバ | Neato Robotics | アメリカ | CEO | iRobot | スタンフォード大学 | 人工知能 | MIT(マサチューセッツ工科大学) | シリコンバレー | 白物家電、スゴイ技術 | Google
関連記事
- “Dシェイプ”で部屋の隅までキレイに――シリコンバレーからやってきたロボット掃除機「ネイト ボットバック」
米Neato Roboticsが日本法人の設立と国内向けの全自動ロボット掃除機「ネイト Botvac」(ボットバック)シリーズ2機種を発表した。“Dシェイプ”により、部屋の隅まで吸引力が届くという。 - ドイツ生まれの賢いロボット掃除機、ミーレ「Scout RX1」
ドイツの高級家電ブランド“ミーレ”から初のロボット掃除機が登場した。賢いナビゲーションシステムとスタミナが特徴のニューフェースだ。 - フィリップスが回転式シェーバーに詰め込んだスゴイ技術――IFAで本国担当者に直撃
ブラウンやパナソニックといった強力な競合メーカーをよそに「回転式シェーバーを、日本のスタンダードにする!」と息巻くフィリップス。その背景には、確かなマーケティングと最新の技術が存在した。IFAの会場で本社の商品開発担当者に詳しい話を聞いた。 - 工場に潜入! 四角いロボット掃除機「ホームボット スクエア」の秘密を探る
ロボット掃除機といえば、米iRobot「ルンバ」のように丸い形をしているのが普通だ。しかし、その状況に一石を投じたのが、LGエレクトロニクスの四角いロボット掃除機「ホームボット スクエア」。韓国ソウルのLG本社と釜山工場をたずね、担当者を直撃した。 - 「炭釜」に「蒸気レス」――高級炊飯器を牽引する三菱電機の技術
高級炊飯器が売れている。その先駆けといえる三菱電機のジャー炊飯器「本炭釜」から近年の「蒸気レス」炊飯器まで、同社の技術開発について、詳しく話を聞いた。 - 「ルンバ」に何が起きたのか?――吸引力5倍、清掃能力50%向上の秘密
新製品の「ルンバ 800シリーズ」は、吸引力5倍、清掃能力50%向上という大きな進化を遂げた。ライバルたちを尻目に、次の段階に進んでしまったような印象さえ受ける。ルンバに、いったい何が起きたのか? 米iRobotの開発者を直撃した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.