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インタビュー

フィリップスの回転式――“元祖”電動シェーバーはどのように進化したか?滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(1/4 ページ)

独自の回転式シェーバーを開発し続けて76年のフィリップス。その進化の秘密を探るため、オランダ本国にあるドラハテン工場を訪ね、製品開発リーダーに話を聞いた。工場内にあるミュージアムの展示と一緒にどうぞ。

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 独自の回転式シェーバーを開発し続けているフィリップス。その進化の歴史について、オランダ本国にあるドラハテン工場を訪問した。電動シェーバーの製品開発リーダーに話を聞くとともに、工場内に常設されているミュージアムの展示も紹介したい。

 フィリップスの回転式シェーバーには76年の歴史がある。実はライバルである往復式シェーバーより約10年世の中に早く出た回転式は、“電動シェーバーの元祖”だ。


フィリップスの技術者だったアレクサンダー・ホロヴィッツ。回転式シェーバーを発想し、「7730」を開発した

 1939年にフィリップスの技術者、アレクサンダー・ホロヴィッツが発明して以来、「Philishave」というペットネームがつけられた回転式シェーバー。2000年初頭まではその名前で開発され続け、その後、アーキテックシリーズや現在の3シリーズ(9000シリーズ、7000シリーズ、5000シリーズ)に技術は受け継がれている。76年に渡り築き上げられた信頼の高さは、売り上げ累計7億台という数字が物語っている。

 ヘッドの数も時代が進むごとに2つから3つへと増え、技術革新とともに形状も変貌。フローティングヘッドやセントラルドライブ機構など、多くの快適な深剃り技術も時代とともに開発される。その間にファッションやカルチャートレンドである“ヒッピー”や“ユニセックス”といったキーワードまで受け止め、時代時代のデザインに反映していった。

 フィリップスの本国であるオランダのドラハテン工場には、ここに並ぶメモリアル製品が展示されているミュージアムが存在する。技術者や工員たちが常に、過去から積み上げた技術や歴史の上に、自分たちの製品があるということを忘れないためでもあるという。


歴史を感じさせるミュージアムの展示

 まずは歴史的写真やポスター、当時の製品写真とともに、フィリップスの回転式シェーバーの進化を見ていきたい。

1939年、元祖電動シェーバー「Philishave 7730」が登場


葉巻型×1ヘッドの「Philishave 7730」。電動シェーバーの元祖である「7730」。黒くて細長い形状が葉巻に似ていて、先端部に回転ユニットが1つだけ搭載されたシンプルなものだった。皮の携帯ケースが付属した

1939年3月14日に行われた展示会の様子。「7730」には注目が集まり、多くの人々が数時間も行列を作って、新たなイノベーションを体感した。

1945年に第二次世界大戦が終了。電動シェーバーでヒゲをそる体験も人々の間に徐々に根付いていった

1950年代、2ヘッド搭載モデルが登場


卵型で2ヘッドの「Philishave 7743」

 1951年にフィリップスは、1947年に開発された白い卵型に近い「7737」などを改良し、より広い面積を一度に剃れる2ヘッドの「7743」を投入。ヒゲ剃りの効率化とスピード化を実現した。


2ヘッドは一気にヒゲが剃れると訴求した当時のポスター

 1957年にはパイプ形状に似せて、より握りやすさを追求した2ヘッドモデル「7910」が登場。刃の部分が押し上げて開け、振動によって溝に詰まったヒゲを取り除けるクリーニングシステムも搭載していた。1ヘッド時代は苦戦していたアメリカ市場でも、“朝食を食べながら剃れる電動シェーバー”と時短訴求することでシェア拡大に成功する。


登場したパイプ型×2ヘッドの「Philishave SC 7910」

当時のポスター
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