望遠好き待望のEマウント300mm対応レンズ――ソニー「FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS」:交換レンズ百景
フルサイズの70〜300mmは、数ある望遠ズームの中でもオーソドックスな焦点距離の1つ。望遠らしい画角が味わえると同時に、使い勝手にも優れている。そんな70〜300mmに対応したソニーの新作を使ってみよう。
剛性感と高級感が漂う防塵防滴のGレンズ
ソニーの「FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS(SEL70300G)」は、35ミリフルサイズをカバーするEマウント用の望遠ズームだ。同社のEマウントレンズといえば、これまでは高倍率ズーム「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS」の240ミリが最も長い焦点距離で、望遠撮影には物足りなさがあった。だが本レンズの登場によって撮影領域がいっそう拡大。特にスポーツや動物、乗り物などを撮るユーザーにとっては待望の製品といっていい。
まずは外観から見てみよう。レンズの外形寸法は最大径84×長さ143.5mmで、フィルター径は72mm。質量は約854gとなる。開放値や焦点距離を考慮すれば少々大柄で重め。同社Aマウントの「70-300mm F4.5-5.6 G SSM II」に比べても約100グラム重い。
実際に構えると多少フロントヘビーに感じるが、バランスが悪いというほどではない。より安定感を高めたいときはカメラにバッテリーグリップを装着するという手もある。外装は表面にシボ処理を加えた高品位な仕上げ。可動部にガタツキはほとんどなく、しっかりと剛性と高級感が漂っている。ボディ側と同じく、防塵防滴に配慮されている点もありがたい。
鏡胴部には、ズームリングとフォーカスリングのほか、フォーカスホールドボタン、フォーカスモードスイッチ、フォーカスリミッター、手ブレ補正スイッチを装備している。
ズームリングはやや重めだが、操作感は良好だ。300mm側までズームアップすると、前玉部分は約6.5センチ繰り出す。持ち運びの際は、ロックスイッチによってズームを70mm側に固定させることも可能だ。
AFは、内蔵されたリニアモーターによってほぼ無音でスピーディに作動する。今回は動きまわるペットや子どもの撮影も試したが、像面位相差AF対応のボディ「α7 II」と組み合わせることで、狙いどおりの位置にすぱすぱとピントを合わせることができた。
テレマクロ撮影も可能な最短90cmの接写力
最短撮影距離は90cmで、最大撮影倍率は0.31倍。接写に強く、テレマクロ的な使い方も楽しめる。次のカットは、最短撮影距離付近にピントを合わせたもの。合焦部分はシャープに解像する一方、背景の外灯やネオンは滑らかにぼけている。
写りに関しては、絞り開放値からの切れ味の高さを実感できた。色収差や歪曲収差が目立たないように補正されている点、ナノARコーティングによって逆光時のフレアやゴーストが抑えられている点にも好印象を受ける。特に明るくはないが、積極的に開放値で運用できるレンズといっていい。
以上のように性能的には十分満足できる内容だったが、気になるのは価格だ。希望小売価格は17万円で、同社オンラインショップでの実売価格は15万4630円(いずれも税別)。同じ焦点距離と開放値を備える他社製品に比べるとやや値が張るのがつらいところ。
α7シリーズの場合、各種のマウントアダプター介してほかのマウントレンズを利用するという手段もあるが、使い勝手の面では純正品には及ばない。そう考えると、やはりFE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSは無理してでも手に入れたいレンズだと思えてくる。
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