第1回 プログラム作成への準備Java対応の携帯電話,503iで動くアプリケーション(iアプリ)を作ってみようと考えている人は多いと思う。この連載では,Javaを全く知らないという方を対象に,iモード向けJavaアプリケーションの作り方を指南する(毎週金曜日更新)。
NTTドコモの最新機種,503iシリーズにはJavaが搭載され,携帯電話で,今までになかったような「動きのある」コンテンツが実現できるようになった。 昨年末にNTTドコモから開発者向けの資料が公開されているので,Javaをよく知っている人なら503iで動くJavaアプリケーションを作るのは,それほど難しいものではなさそうだ(実機がないのが辛いところだが……)。 ないないずくし冒頭でも少し触れたように,503iの実機は原稿を書いている1月初旬の時点で,まだ入手できていない。また,仕様書一式は公開されたものの,iモードJavaアプリケーションを作るための公式なライブラリは,まだ入手できない。 そのため,非常に残念なことだが「503iで動くだろうと思う」というレベルのJavaアプリケーションを作ることはできるが,本当に動くと保証できるものが作れる段階ではない。 ナイナイずくしの状況は,おそらく1〜2週間のうちに改善されるに違いない。今回は「とりあえず今できること」をやっておくことにしよう。まず,iモードJavaアプリケーションとはどんなものなのか,そこのところを簡単にまとめてみよう。 制約はあるが期待できるJavaでアプリケーションを作ったことがない人でも,Javaアプレットはよく知っていると思う。Webページに埋め込むJavaで書かれたアプリケーションで,絵や文字を動かすといったWebページの飾りとして使われるほか,インターネットでできるゲームのような比較的,複雑な動きのあるアプリケーションでも盛んに利用されている。 503iではアプレットこそ動かないが,アプレットに似た仕組みを携帯電話上で実現する。HTTPを使ってインターネット上のWebサーバからiモードJavaアプリケーションをロード,実行できるという点では,アプレットに類似したシステムといえるかもしれない。 ただし,iモードJavaではWebで利用されているアプレットほど複雑なアプリケーションは作れないかもしれない。というのは,503iに組み込まれているJavaエンジンが(仕様書にも書いてあるように)Java 2 Platform Micro Edition(J2ME)のConnected, Limited Device Configuration(CLDC)という仕様をベースにしているからだ。 J2ME CLDCは,制限の多い携帯機器向けの仕様で,標準のJava 2に含まれているうちの必要最小限の機能しか使えない。何が使えて,何が使えないかは,この連載で折をみて説明を加えていくことにしたい。 さらに,画面表示やキーボードの取り扱いなど,携帯電話固有の機能はNTTドコモが供給する独自のライブラリを使用する。そのほか,既報のようにメモリなど利用できるリソースにも大きな制約がある。 しかし,そういった制約を考慮した上で,いかに上手にアプリケーションを設計するかがソフトウェア作家の腕の見せ所。先にアプレットほど複雑なものは作れないかもしれないと書いたが,工夫次第では,そこらにあるアプレットなど問題にならないほど便利な,あるいは楽しいアプリケーションを作ることができるかもしれない。制限を云々する前に,とにかくやってみることが大切だろう。やってみれば,きっと楽しめるはずである。 必要なツールをWindows上にインストールでは,503i用のアプリケーションを作るのに何が必要なのか。503iに組み込まれているJ2ME CLDCは,Java 2のサブセットに相当するので,Windows上にJava 2の開発ツールをインストールしさえすれば503iで動くアプリケーションを作ることができる。 この連載では,できるだけフリーで入手できるツールを使っていくつもりだ。開発に必要な最小限のファイル類を以下に挙げておくので,次回までにWindowsにインストールしておいて欲しい。 iモード対応Javaコンテンツ開発ガイドまずは開発のための資料を手に入れよう。詳細版とリファレンス版の2つのPDFがNTTドコモのページから入手できる。 Java 2 SDKJavaの開発ツールはJava 2に対応していればなんでもOKだ。とりあえず試してみたいという程度なら,Sun Microsystems(JavaSoft)が公開しているスタンダードな開発キット「JDK」を入手すればいい。ここからWindowsバージョンをダウンロードしよう。 ここから入手できるアーカイブは,Windowsに簡単にセットアップできる。ただし,インストール後にJDKインストール先の実行ファイルパスを,環境変数PATHに登録しておくのを忘れないように。 Windows 98/Meの場合,[システム設定ユーティリティ](システムツールにある「システム情報」の[ツール]メニューから起動)の環境タブを使い,PATHの後ろに, ;C:\JDK1.3\bin; を付け加える。Windows 2000の場合は,システムのプロパティ(コントロールパネルのシステム)にある詳細タブを使って,同じようにPATHに上記を付け加えて欲しい。
iモードJavaライブラリなど残念ながら,まだNTTドコモの正式なiモードJava対応ライブラリはリリースされていない。ライブラリがなければ開発も出来ないので,困った状況だ。近日中にリリースされることを期待したい。 といっても本当にリリースされるかどうかは分からないし,仮にリリースされないと連載のネタも尽きることになってしまう。 そこで,フリーソフトウェア作家の成果を借りることにしたい。福野泰介氏がNTTドコモの資料に準じたライブラリセットを,ここで発表しているのだ。来週までに動きがなければ,この連載でも福野泰介氏のライブラリを使わせていただくつもりだ。 このページにある「iEmulator release 6」をダウンロードして,サンプルなどを動かしてみてほしい。iモードJavaの雰囲気を楽しめるはずだ。 次回は簡単なiモードJavaアプリケーションの実例と,作ったソフトの公開の仕方などを解説したい。それまでに実機か,公式ライブラリが公開されているといいのだが……。次回は,「iアプリ製作の流れ」を解説する。 [米田 聡,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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