第2回　iモード勝手サイトにも高速アクセスできる「ドット・i」

前回触れたように「ドット・i」はインターネットに直結できる唯一のケータイだ。もちろんブラウザを内蔵しており，PHSならではの32Kbpsという高速な転送速度でWebブラウズを楽しめる。

【国内記事】

2001年1月22日 更新

　ドット・iは電子メールにおいてインターネット上のメールサーバにダイレクトに接続し，電子メールの読み書きが可能というこれまでのケータイにない特徴をもつ。

　これに対してホームページのブラウズに関しては機能的にiモードやEZwebと同程度の機能に留まる。iモードでもEZwebでも，C-HTML，WAPで記述されたホームページは自由にブラウズでき，電子メールのときのように専用のメールアドレスでしか送受信ができないといった制限がないからだ。

　ドット・iのブラウザ機能は，iモードと同等のC-HTMLを含んだHTMLサブセットをサポートしている。たとえインターネットにダイレクトに接続できても，ブラウズ可能なサイトが制限される点はiモード端末と同等だ。

　それでもドット・iが魅力的なのは，iモード対応サイトが既に非常に多く存在することだ。有料サービスを行っているiモード公式サイトには当然アクセスできないが（iモード端末と認証を行うため），個人を中心に作成されたiモード向けサイト（一般に勝手サイトと呼ばれる）はドット・iでも自由にブラウズできる。

　インターネットへの接続では，iモードの場合9600bpsを複数ユーザーで共有するのに対し，ドット・iでは32Kbpsという非常に高速な通信速度が利用できる。同じサイトをブラウズする場合，iモード端末よりドット・iの方が非常に快適なのは明白だ。

現状では生かしきれない高速通信速度

　ドット・iによるブラウズは確かにiモード端末より快適だ。データ通信速度が高速なので文字中心のiモード対応サイトならほぼ瞬時に1画面が表示される。

　しかしいくつかのサイトをブラウズしてみて分かるのは，現状のiモード対応サイトでは32Kbpsという高速性が生きないということだ。ほとんどのサイトがページ当たりの情報量を小さく抑え，画像の利用も極力控えている。

　唯一の例外が待受け画面用の画像データのサイトだが，これもまた画像データがサイズ的に小さいため“iモード端末よりは少し高速かな”，という程度の感覚しか得られない。そもそも現在唯一のドット・i端末であるAJ-51がモノクロ4階調液晶であるため，今やカラーが当たり前となりつつある画像データのサイトもあまり楽しむことができないのが現状だ。

　文字中心のサイトをブラウズしている限り，iモードに対するドット・iのメリットを感じる事ができず，むしろ時間課金である点を強くデメリットとして感じてしまう。

PHSならではの機能を生かした魅力の専用サイトも

　東京電話アステルでは，AJ-51の発売に合わせドット・iに対応した公式サイトも準備している。メニュー形式でアクセスでき，現時点でも実用性重視で一とおりのコンテンツが取りそろえられており，有料サイトも予定されている。

ドット・iのコンテンツメニュー。一とおりのジャンルが既にそろえられている

　専用サイトにはPHSならでは高速性，正確な位置情報を活用したサイトもある。PHSでは基地局1局当たりがサポートするエリアが狭いため，端末の位置情報をかなり正確に把握し，活用できる。

　専用サイトである「徒歩ナビ」は位置情報に基づいて地図を表示し，目的地まで適切なガイドをしてくれるサービスだが，地図の表示は非常に高速で位置情報もかなり正確だ。「Pナビ駅すぱーと」では位置情報から最も近い駅を出発地に設定する事が可能で，面倒な駅名入力を省略できる。

徒歩ナビで位置情報を利用した地図。筆者の自宅では誤差も20m以下で位置情報は非常に正確だった

Pナビ駅すぱーとで位置情報から最寄駅を出発地に設定したところ。筆者の自宅からもっとも近い駅が正しく設定された

　これらは非常に実用的で便利だ。こういったPHSのメリットを生かしたコンテンツが増加すれば，ドット・iはより魅力的な存在になるはずであり，今後のコンテンツ拡充にも期待したい。

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