セル【せる】

【国内記事】 2001年4月9日更新

 セル(Cell)というのは,英語で小室,個室,独房,蜂の巣の穴などを意味する言葉であり,表計算ソフトでは「ひとつのマス目」としてよく耳にする。携帯電話で使われる場合には,1つの基地局がカバーするサービスエリアのことを指している。

 無線通信は,基地局と端末の間で,ある周波数帯域の電波を占有して使う必要があり,同じ周波数帯域を使って別の端末が同時に通信をすることはできない。このことから,1つの基地局が扱える周波数帯域とその利用端末数にはおのずと制限があることが分かる。広いサービスエリアを確保するために出力の高い無線通信システムを構築しても,全体の利用者数は変わらないわけだ。

 そこで,サービスエリア内を小さなブロックに分け,基地局の出力をその範囲だけに収まるようにしながら,計画的に基地局を配置していくセル方式が考案された。原案は1953年にベル研究所のK.バリントンが,また,周波数の再利用については1960年に同じくベル研究所のH.J.シュルテがアイディアを提起している。

 セル方式は,1つのブロック(セル)に隣り合うセルで異なる周波数を使うものの,隣り合わないセルでは再び同じ周波数を使うことができるというもの。このことにより,周波数を広く確保しなくても加入者数とサービスエリアの広さを増やすことができる。

 セル方式では,セル間の移動に伴い周波数を切り替える「ハンドオーバー」技術と,交換局からの呼び出し時に必要な「位置登録」技術が必須となる。

 このセルの範囲をさらに小さくしたものがマイクロセル方式で,PHSのシステムに応用されている。1つの基地局からの通話可能距離は短いが,出力を小さくすることができるため,基地局と端末が小型化,省電力化できるというメリットがある。また周波数の繰り返し使用の効率が高まるので,加入者数も多く見込めるなど,技術的に優れた部分も多い。

(図版:http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/ rd/tech/images/cel01.gifより)

[江戸川,ITmedia]

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