使いやすさに気を配ったストレート,au「C407H」TFT液晶,16和音,Java……。最新機能はうれしいし,携帯電話にはもっと高機能になってほしい。しかし,スペック上に現れない“使いやすさ”がおろそかにされていないだろうか。
日立製作所はcdmaOneにおいて最新仕様の端末を供給し続けてきた。このため表面上のスペックばかりに目を奪われがちだが,家電メーカーらしい使いやすさへの気配りも見逃してはいけない。 たった1つのスライドスイッチで変わる使い勝手「C407H」はEZweb@mailに対応し,大型カラー液晶を搭載したauの最新スペックモデル。しかし注目してほしいのは,日立の初代cdmaOne端末「C201H」から引き継がれたスライドスイッチ(きくばりスイッチ)だ。
左側面に装備された,この「きくばりスイッチ」は3つの待ち受けモードを切り替えることができるもの。このスイッチはキーロックしていても有効なので,キーロック中でも待ち受けモードを簡単に切り替えることができる。 ほとんどのストレート端末は特定キー(ファンクション,機能など)の長押しでキーロックを設定/解除する。つまり普段からキーロックを有効にしている人の場合,マナーモードを設定/解除するにはキーの長押しでキーロックを解除し,マナーモードを設定し,キーロックを設定するという作業が必要になる。マナーモードも特定キーの長押しの場合が多いから,3回もキーの長押しを行う必要がある。これはかなり面倒だ。 筆者がストレートタイプで一番面倒と思うのは上記に上げたマナーモードの設定,解除だ。ところがC407Hならマナーモードの設定/解除はキーロックの状態に関わりなく,きくばりスイッチを操作するだけ。端末をカバンに放り込んでおく場合でも,スライドスイッチだから簡単には誤動作しない。 2つのマナーモードを使い分けられるのも便利だ。きくばりスイッチは3段のスイッチになっており,1つが標準状態なので2つのマナーモードを使い分けできる。 標準では,着信音量控えめで自動車運転中のメッセージを流す設定と,着信音なしで留守電メッセージを流す設定の2つが使い分けられる。しかもこのマナーモードは自由に設定でき,待ち受けメッセージだけでも5種類(標準,運転中,電車の中,会議中,ハムスター)が準備されているのだ。 現在のように運転中,電車の中などでは携帯電話を利用しないといったマナーが確立した現在では,待ち受けメッセージを簡単に使い分けられるだけでもかなり便利だ。 慌てて電話に出なくても済む「気配りセンサー」C407Hは光センサーを備えており,ポケットやカバンなどから端末を取り出したことを感知できるようになっている。 「気配りセンサー」はこの光センサーを利用した機能だ。気配りセンサーが有効になっていると,着信中に端末が暗い所から明るいところ,つまりポケットやカバンから取り出したとき,自動的に着信音を小さくしたり,消音したりすることができる。 ケータイはいつでもどこでも着信する。それゆえにディスプレイで発信元を確認してから着話する人も多いだろうし,あえて出ない場合もあるだろう。気配り機能があれば慌てて着信音を小さくしなくても,発信元を確認してから対応することができるのだ。
どんな時でも確実に着話できる「だれかな着信」登録された電話番号,もしくはグループに設定できるのが「だれかな着信」。特定の相手の着信に対して,着信メロディ,音量,伝言メモなどが変更できるのはほかの端末でもよくある機能。C407Hが優れているのは,「だれかな着信」の有効,無効をマナーモードに連動させられる点だ。
C407Hは2つのマナーモードを使い分けできるため,1つでは「誰かな着信」を有効,1つでは「誰かな着信」を無効にするといった使い方ができる。マナーモードでも1つの設定では大事な相手からの電話は受ける,もう1つの設定では相手がだれでも留守番電話に受けさせる,といった使い分けが簡単にできるのだ。 気配りスイッチ,気配りセンサー,誰かな着信,すべて待ち受けに関する機能で一見地味な機能だが,使ってみみると手放せない。実際筆者は「C210H」「C302H」「C309H」と歴代の日立端末を利用し,これらの機能を当たり前のように思ってきた。現在,別メーカーの端末を使用しているが,日立端末がいかに電話の待ち受け機能に気を配っているかを痛感している。 待ち受けに関連することだが,着信音に関する設定も細やかだ。通話着信,Cメール着信,Eメール着信,EZチャイムの全てが独立して着信メロディ,着信音量を設定可能。通話着信はしっかり,メールは控えめに知らせて欲しいという要望にもこたえてくれる。
ATOK搭載でさらに磨きのかかった文字入力機能C407Hは文字入力にも注力している。au端末では初めて「ATOK Pocket」を搭載し,日本語変換能力を高めた。どれほど変換の能力が高いかを言葉で表現するのは難しいが,少なくとも従来のケータイの標準的な日本語変換と比較すると格段に変換効率はいい。これに対抗できるのはソニーのPOBoxくらいだろう。 もちろんATOK搭載だけが特徴ではない。C309Hから引き継がれたのはカナ入力を戻せる機能だ。標準的な入力方法では例えば[1]を押すと「あ」「い」「う」と入力文字が切換わる。慣れれば慣れるほどよくやってしまうのがキーの押しすぎだ。「う」を入力したいのに,キーを押しすぎて「え」になってしまうといった場合だ。普通の端末では,さらに1を押しつづけて再び「う」の順番を待つか,入力をキャンセルして入力文字を入れ直すしかない。 C407Hは[#]キーを押すことで入力文字を戻すことができる。「え」の状態で[#]を押せば「う」に戻れるし,「ほ」の入力なら[6][#]と入力し,キー操作自体を減らすこともできる。慣れてしまうと,なぜこの方法を採用した端末が少ないのか不思議なくらいだ。 意外と利用頻度の高い濁点の入力,小文字への切り替えには[*]が割り当てられ,アドレス入力で頻度の高い「@」「.」「~」「/」なども英字入力時の[1]キーに割り当てられている。
「C309H」では右下に追いやられたクリアキーも,発話,終話キーの間という指の届きやすい位置に変更された。日立製端末はこういった細かい操作性は新端末が登場するたびに確実に改善されており,C407Hで一応完成の域に達したともいえる。 完成度の高い操作性にATOK搭載。文字入力に関しては非常に優れている。 ブラウザフォン主流の時代となって,折りたたみタイプに人気を奪われつつあるストレートタイプ。折りたたみは携帯時にキーロックの必要性がなく,大型ディスプレイと操作性のよさを共存させやすいからだ。しかしストレートタイプには,薄くコンパクトで携帯しやすく,操作も直感的というメリットがある。 ストレートタイプでもC407Hのように使い勝手に気を配り,キーロック操作の不便さを解消した製品もある。特に端末をポケットなどに放り込み,身に付けて携帯する人は,こういった点も含めて購入時にはよく検討してみるといいだろう。
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