個人情報をネットワークで共有化。「Sync-itサービス」の今後は?異なるデバイスやソフトウェア上のデータを,ネットワークでシンクロナイズし共有化を図る「Sync-itサービス」。その見通しと今後の展開を,プーマテックジャパンとシャープに聞いた。
プーマテックジャパンが発表した「Sync-itサービス」は,インターネットを通じて,すべてのデバイス,すべてのソフトウェアで個人情報を共有しようというものだ(12月12日の記事参照)。 サービスは当初,デバイスがザウルス,ソフトウェアはOutlook,筆まめ,サービスプロバイダはシャープでスタートする。同サービスが成功するカギは,この採用デバイス,ソフトウェア,サービスプロバイダがどこまで増えるかだ。 今後の見通しはどうなのか。プーマテックジャパンとシャープに聞いた。
Sync-itサービスは,大きく広がるZDNet:Sync-itのテクノロジーを使ったネットワークシンクロナイズの仕組みは,シャープ以外のサービスプロバイダ(ネットPIM)にも提供されていくわけですよね? プーマテック荒井真成社長:そのとおりです。すべてのサービスプロバイダがSync-itのサービスをしてほしいと思っています。ライセンスの話は契約段階まで進んでいるところが2社ほどありますし,契約にかなり近いところまできている企業も5から6社あります。 ZDNet:ISPが増えた場合,コンテンツプロバイダが設置する「Sync-itボタン」(12月12日の記事参照)は,どのサービスプロバイダのサービスにも利用できるようになるわけですか? 荒井氏:各ユーザーごとに発行されるIDはSync-itサーバの中でユニークになっており,ボタンを押すと(自動的に)自分のネットPIMに登録されるようになっています。これがSync-itボタンのいいところです。 あるネットPIMだけで閉じて,全部そこに差し込むというやり方もありますが,こういった(各種のネットPIMが)混在する状況だと,相互乗り入れが難しくなったり,ユーザーにとって分かりにくくなったりします。Sync-itサーバにいったんデータを集約することで,ネットPIMのそれぞれが,コンテンツプロバイダの最大数を獲得できると考えています。 (プーマテックが)シャープとは違うサービスプロバイダと契約した場合,そのプロバイダには持っているコンテンツにSync-itボタンを設置してもらう。その場合,シャープもそのボタンの恩恵に預かれる。この世界は,相互に通じていることが重要だと考えています。 シャープ:シャープスペースタウン(SST)は,これまでザウルスユーザーに向けたポータルサイトでした。ところが日本のPDAは早くから認知されながらも普及し切れていない。PIMという共通サービスは共通プラットフォームのほうがいいのではないか。そういう観点に立って,SSTはPDAポータルを指向していきます。 ZDNet:現在のところネットPIMのサービスを行うのはSSTだけですが,ほかのネットPIMサービスが出てきた場合,シャープが提供するザウルスとSync-itサーバとのシンクロナイズソフトは,ほかのネットPIMでも利用できるのでしょうか。 シャープ:端末側のソフトは,どのネットPIMでも基本的に共通です。ユーザーがどのネットPIMに契約しても,プーマテックのSync-itサーバにシンクロしにいきますので,問題ないはずです。
各サービスプロバイダはターゲットに合わせて特徴をアピール荒井氏::ネットPIMサービスはそれぞれに特徴があり,狙っているユーザーセグメントを持っています。シャープはコンシューマーを狙っていくので,グループスケジューリング,コミュニティという面を前面に出していく。 逆に企業の場合,ネットPIMという言葉を使わないで,“Outlookがモバイル化する”といったほうがいいケースもあります。単に“Outlookでボタンを押せば,ザウルスで外から情報が見られるぞ”と。さらにSIの方が,企業のExchangeサーバとSync-itサーバを直結させる利用法も考えられます。 シャープ:サービス開始まで1年かかったのは,プーマテックのテクノロジーをどうやってコンシューマー向けに具現化していくかという部分で時間がかかったからです。 それぞれのサイトによって実装の仕方はかなり異なってくると思います。プーマテックがエンジン提供に徹するということで,各ISP,コンテンツプロバイダの腕の見せ所ではないでしょうか。
次の技術的展開は画像対応ZDNet:Sync-itボタンで取り込める情報がテキストだけなのはなぜですか? 荒井氏::(Sync-itサーバ側で)取り込める画像の大きさに(15Kバイト程度の)制限があるのです。PIMはテキストが大切なので,まずはそこをやる。もう少し進化したら画像も考えていこうと。
ZDNet:携帯電話を見据えた場合,ネイティブアプリケーションという話もあります。携帯の場合,J-フォンの写メールをはじめ,画像はパーソナルデータに付加する情報となってきています。 荒井氏::問題はサイズの制限だけなので,現在でもデータサイズが小さければ画像も扱えます。携帯のデータで画像が重要なのは認識しています。
最大のターゲットは携帯電話ZDNet:メインターゲットはPDAなのですか? 荒井氏::絶対数からいったら携帯のほうが多いでしょう。コンシューマーにいけばいくほどPDAを持っていない。PDAのユーザー層の広がりにはどうしても制約がありますが,携帯は飛躍的に大きくなる可能性があります。ですから携帯への対応を強化したほうが,サービスを提供する側にとっても,歓迎されるところでしょう。 ZDNet:携帯を含めたとして,Sync-itの市場をどのくらいに考えているのでしょうか? 荒井氏::保守的に考えて,今後1年で20万人くらいかなと思っています。これはどことパートナーとなるかによって大きく違うと思います。仕組み全体をOEMすることも含めて積極的にパートナー戦略を進めます。 ZDNet:Sync-itサーバ自体は,必ずプーマテックが管理するのでしょうか。 荒井氏::それは必須ではありません。例えば通信キャリアでは自社のサーバとして持ちたがるところもあるでしょう。 ZDNet:今後のデータシンクロ技術の普及をどのようにお考えでしょう? 荒井氏::いろいろな友人に聞いてみると携帯のスケジューラをけっこう使っているんですよ。私の友人の中でNEC製端末を使っている人の半分は待ち受け画面をカレンダーにしています。逆にビジネスユーザーは,スケジューラはOutlookやザウルスを使っていたりします。 ビジネスユーザーは“Outlookとザウルスでデータが共有できたらいいのに”と思っている一方,コンシューマーユーザーは,携帯はスタンドアローンなので,このカレンダー情報を誰かに送りたくても送れないし,情報を共有することもできない。 携帯のスケジュール機能が流行らないのは,“スタンドアローンだから”だと思う。ネットの世界が開けた途端に,話は変わる。例えば,ネットを通じて,チケットの情報や芸能人の追っかけ情報を携帯のスケジューラに差し込めるとなったら,意識革命が起きるのではないでしょうか。
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