これで圏外ともおさらば? 業務用携帯リピータ「つなが〜るII」

レッツコーポレーションが販売する「つなが〜るII」は携帯電話の電波を中継するシステム。業務用で決して安価ではないが,これさえ設置すれば普段携帯電話が利用できない地下やビルの奥でも携帯電話がばっちり利用可能になる。

【国内記事】 2002年1月16日更新

 いまやつながって当然なのが携帯電話。今時は携帯電話がつながるかどうかで食事や待ち合わせをする場所を決める人も多いだろう。便利さゆえに人の行動パターンまで変えてしまった感がある。

 しかし都市部においても携帯電話がつながらないスポットは結構ある。地下や建物内の奥まった部分だ。携帯電話は低くても800MHz,3G携帯電話に至っては2GHzと高い周波数帯を利用するので直進性が強く障害物にあまり強くない。また基地局が高い位置にあるため,地下をはじめ,ビルの低層部では意外と電波の届かない場所も多い。

 圏外の場所に電波を届かせる装置としては,PHSの簡易リピータはけっこう有名だろう。通常の電波を中継して,地下や建物の奥でもケータイを利用できるようにする装置がリピータだ。

 “携帯電話の電波中継装置”と聞くと,かなり高価で大型な装置だという印象を持つ方も多いかもしれない。しかし,レッツコーポレーションが販売する「つなが〜るII」は,コンパクトで,個人が購入するのは少々無理があるが業務用としては安価な製品だ。

コンパクトな携帯電話リピータ「つなが〜るII」

 「つなが〜るII」は800MHzと1.5GHz帯を利用する携帯電話,つまり現時点ではNTTドコモのFOMAを除くすべての携帯電話で利用できる。屋内ユニットが最も大きいが,それでも携帯電話2つ分程度の大きさで,かなりコンパクトだ。

 PHSの簡易リピータも送受信部一体で非常にコンパクト。ただしこちらは,利用する端末を登録する必要があり,同時に通話できるのは1つの端末のみ。これは簡易リピータと端末間で専用のチャンネルを使っているからだ。従って事実上パブリックな場所では役に立たない。DDIポケットでは端末登録不要の簡易リピータも用意しているが,これもやはり同時に通話できるのは1つの端末のみ。

 その点,「つなが〜るII」は完全な電波のリピータだ。従ってPHSの簡易リピータのように利用する端末を登録する必要はなく,複数の端末で同時に通話できる。この点がPHSの簡易リピータとは完全に異なる部分で,店舗などのパブリックスペースでも不特定多数の端末が利用できる。

 屋内ユニット,屋外ユニット,それぞれのアンテナとユニット間接続用のケーブルで1セットとなり,送信専用,受信専用の2セットとなる。ユニット間の接続用ケーブルは複数準備されており,最大40メートル長のものが利用可能だ。


これがユニット間接続ケーブルを除いたパッケージ内容。室外アンテナには壁面などに取り付けられるようにホルダーが付属する


見ての通り屋内/外ユニット共にコンパクト。屋内ユニットでも設置面積は携帯電話2個分+α程度

 中継された電波は屋内ユニット(アンテナ)から半径7.5メートルの範囲で送受信が可能としており,屋外ユニットの電波送受信状況が良好な場合は半径10メートル以上で利用可能とされている。

 屋内用のアンテナは専用のアンプと2分配器,もしくはアンプ内蔵の5分配器を利用することで複数設置できる。屋外ユニット,屋内ユニットを増やさずに,区切られた複数の部屋や異なるフロアに電波をリピートすることも可能だ。

 設置に関して特に難しい点はない。屋外ユニットに接続したアンテナを電波状況が良好な位置に固定し(原則端末のアンテナバーが最大となる位置),屋内ユニットとケーブルで接続する。屋外ユニット,屋内ユニット(正確にはアンテナ)共に送信用アンテナと受信用アンテナは6メートル以上離す。後は屋内ユニットをコンセントに接続して電源を入れればOKだ。


屋内ユニットを壁面,天井などに取り付けるためのプレートも付属。プレートだけを固定すれば屋内ユニットの着脱も簡単

圏外の位置でもクリアに通話が可能に,iモードもcdmaOneもOK

 今回「つなが〜るII」を設置してみたのは筆者の知人が経営する早稲田の一角にある印刷所。1階の奥まった位置にあるため出入り口付近でもNTTドコモの端末はアンテナバーが1本立つか立たないか程度。奥の方に移動すると完全に圏外になる。出入り口付近なら発着信は可能だが,継続的に通話するのはかなり困難だ。


入り口近辺の電波状況。ここでもアンテナバーは最低の0本。通話はかなり不安定

 奥まった位置ではNTTドコモの端末でアンテナバーが圏外になり,実際に発着信が不可能,iモード接続もできないことを確認。「つなが〜るII」を設置し,電源を入れるとアンテナバーは最大の3本表示に変化した。


「つなが〜るII」の未使用時(上)と使用時(下)。NTTドコモ,cdmaOneともに電波状態は大幅に改善

 NTT回線に対しての発着信は問題なし。携帯電話の場合,必ずしも最も電波の良好な基地局(つなが〜るIIを含む)を利用するとは限らないのだが,通話中もアンテナバーは3本のまま。もともとが圏外となる位置だから,これは確実に「つなが〜るII」を経由しての通話だ。通話品質にも特に変化は感じられなかった。

 iモードは音声通話とは異なるチャンネルを利用するため本製品が有効かどうか不安だったが,こちらも極めてスムーズに利用できた。こちらも接続中アンテナバーは3本のままであり,確実に「つなが〜るII」を経由している。

 2台のNTTドコモ端末(800MHz・PDC)で同時に発信を行ってみたがこちらも問題なし。電波をまるまるリピートしているのだから当然といえば当然なのだが。

 同じ位置ではcdmaOneもアンテナバーなしから2本に変化。「つなが〜るII」なしでは着信が不安定(発信側に圏外として通知されることもあった)であったが,安定するようになった。

 「つなが〜るII」はコンパクトなうえ設置も容易で,携帯電話側は全く本製品の存在を気にする必要がない。39万8000円と,個人が購入できるような価格ではないが,店舗やオフィスなどでサービス向上の一環として導入するには十分魅力のある製品といえる。

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▼ レッツコーポレーション

[坪山博貴,ITmedia]

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