Bluetooth SDカードとBluetooth内蔵PHSつないでみました
やはり存在する802.11bとの干渉Bluetoothでは802.11bの無線LANとの干渉も気になる。802.11bとBluetoothは同じISMバンド(2.4GHz帯)を利用しており,802.11bのほうがBluetoothからの干渉を大きく受けるとされている。これはBluetoothが周波数ホッピングでランダムにチャンネルを切り換えて通信を行うのに対し,無線LANでは指定した(一般にはアクセスポイントで指定)チャンネルを固定して使用するからだ。 この点を実際に筆者の環境で確認してみた。無線LANで接続しているPCから10センチほど離れた位置でBluetoothを利用した場合と,そうでない場合で無線LAN経由で大きなファイルのコピーを行い,スループットを監視してみた。 結果はグラフからも見て取れる通り,無線LANのスループットが2分の1から3分の1程度にまで低下してしまった。Bluetoothの干渉があると無線LAN側で数秒間ほとんどデータが流れないこともあり,干渉の影響は大きい。 なお,Bluetooth側はほとんど干渉を感じなかった。正確には干渉がないということではなく,Bluetooth機器間の通信速度が433.9Kbps(対称通信時)なので,この部分で多少通信速度が低下してもインターネットへの接続速度が64Kbpsでは実質ほとんど影響を受けなかったと推測できる。
望みたいBluetooth内蔵とさらなる改良,そして対応製品の充実現在Bluetoothに対応した音声端末は,携帯電話が「au C413S」,PHSが今回紹介したパルディオ633Sのみ。FOMAやAirH"対応音声端末などにもBluetooth対応端末が登場すればさらにBluetoothを利用する魅力は増すだろう。 なおauでは試作品となるBluetoothアダプタが幾度か参考展示されてるが,とてもではないがスマートといえるサイズではない。これならばUSBケーブルでもいいのではないか,とさえ思ってしまう。やはりBluetoothは内蔵でなければ本来の魅力は発揮されない。 この点は実は今回利用したPDAであるGENIO eにもいえる。Bluetooth SDアダプタは確かにコンパクトだが,確実に携帯性をスポイルするし,使い勝手にも影響する。例えばSD Bluetoothカードを差したまま電源をOFFにする場合,事前にBluetooth設定プログラムを終了させておかないと次回電源をONにした時にエラーメッセージが表示される。実害はないのだが,あまり気持ちの良いものではない。
![]() また現状では,GENIO eの電源を入れるたびにBluetoothでの接続処理を行わなければならない。この関係で「電源を切っておいても1時間に1度自動的にインターネットに接続してメールチェックをする」といった使い方もできない。AirH"などの登場でモバイルインターネット接続の通信コストは劇的に下がりつつあるので,メールは定期的にチェックしておきたいと思う人も多いはずだ。 ソフトウェア側の問題もあるが,やはりデフォルトで接続するBluetoothデバイスを指定可能にしておき,電源オンで自動的に指定したBluetoothデバイスと接続してほしいところだ。こうしておけばPDAの電源を入れて即メールチェックといった使い方も可能になり,フルケーブルレスモバイルインターネット接続の使い勝手はさらに向上する。今後登場するBluetooth内蔵のPDAやPCではこういった点も是非検討してほしい。 まだまだ使い勝手という点では改善を望みたい部分もあるが,Bluetoothを利用したフルワイヤレスモバイルインターネット接続は,きわめて快適でスマート。無線LANの普及でBluetoothに関しては不要論すら囁かれるのも現状だが,小型化,低消費電力といったメリットは依然大きい。国内販売のアナウンスはまだだがCOMPAQ iPaqでもBluetooth内蔵モデルが準備されており,今年こそはBluetooth対応機器の充実に期待したい。
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