Intelが想定する「2003年のノートPC」のスペックは?

「IDF2002」3日目の基調講演で,モバイル担当副社長のChandrasekher氏は,モバイル向けプロセッサ「Banias」用のチップセット「Odum」のデモを行なった。その上で同氏は,このBaniasが投入される2003年にノートPCがどうなるのか,同社の想定するスペックについて解説した。

【国内記事】 2002年2月28日更新

 Intel Developer Forumの基調講演でモバイルPCプラットフォームについて語ったAnand Chandrasekher氏は,モバイルPentium 4-Mをはじめて公式に発表した。最高1.7GHzのクロック周波数で発表されるモバイルPentium 4-Mは,年内に2GHz以上のクロック周波数にまで達する見込み。クリスマスシーズンにはノートPCの6〜7割がモバイルPentium 4-M搭載機になると言われている。

 モバイルPentium 4-Mと組み合わされるi845MPチップセットはDDR266メモリ,Deeper Sleep,AGP4x,IMVP IIIといった技術に対応。0.13ミクロンの最新プロセスで製造される。フロントサイドバスは400MHz。

 しかし,Chandrasekher氏の目は,2003年以降に向いているようだ。


モバイルプラットフォーム担当副社長のAnand Chandrasekher氏

 Intelは電力消費とパフォーマンスのバランスに重点を置いたBaniasと呼ばれるプロセッサを2003年前半に投入する予定だが,同社はそれに合わせるようにして,様々な技術を投入することで,ノートPCの機能性や用途範囲を広げようとしている。

 Chandrasekher氏によると,当面の間,モバイルPentium 4-MとBaniasは共存するが,将来,モバイル向けプロセッサはすべてBaniasへと統合される見込みという。そのBaniasはミニノートPCからフルサイズのノートPCまで,すべてのモバイルPCをカバーする広い性能レンジを持つファミリ製品になる。

 モバイル用に新規で設計するプロセッサを,本当に2003年前半のタイミングで出荷できるのか疑問視する声も昨年まではあったが,最近ではそうした声も小さくなってきている。大きなトラブルがなければ,スケジュール通りに進むだろう。

 今回の基調講演でも,Chandrasekher氏がBanias向けチップセットのうち,最初に出てくるコードネーム「Odum」というチップセットを組み込んだ試作機のデモンストレーションを行った。この試作機にはPentium 4がソケット形状を変更する“ゲタ”を履かせた状態で実装されており,プロセッサと並行して省電力を強く意識したチップセットの開発も進んでいることをアピールしている。

 また,このデモンストレーションからBaniasのシステムバスはPentium 4と同じプロトコルを利用しているが,ピン配置が異なる(電気的仕様が異なる?)ということもわかってくる。


Banias用チップセットOdumを使ったテストシステム。プロセッサとしてNorthwoodが搭載されていた

 Chandrasekher氏は,Intelが2003年のターゲットとしているノートPCの想定スペックを紹介したが,それは次のようなものだった――モバイル専用プロセッサのBanias,802.11a/bデュアルバンド無線LAN,Bluetooth,CAPIベースのセキュリティ機能,2スピンドルで1.2インチ以下の厚み,4.5ポンド以下の重さ,4.5〜6時間のバッテリ持続時間というものだった。なお,ここでインテルが挙げている2スピンドルノートPCは,(日本では重量級と見られている)14.1インチクラスの製品のことである。

 これは煎じ詰めて言えば,ワイヤレスでもなんでも詰め込んだ2スピンドルノートPCが2キロ以下の重さになって,バッテリ持続時間も今の2倍ぐらいで,パフォーマンスも現在のハイエンドPCを凌駕するものになる,ということだ(あくまで一例だから,もっと軽量な構成も可能だろう)。

 そうしたPCを世界中のPCベンダーが出荷できるようにするため,Intelは「モビリティ イネーブリング プログラム」を開始する。このプログラムは,PCベンダーに対して2003年にIntelが描くモバイルに適したプラットフォームを提供するため,システムのガイドラインやプラットフォーム技術,ワイヤレス技術を利用するためのソフトウェアを提供するものだ。

 しかし,これがゴールではない。Intelは継続して,モビリティを高めるためのプラットフォーム技術を開発し,PCベンダーでそれを共有することにより,ワールドワイドのノートPCのレベル底上げを狙う。


フルサイズノートPC中心の市場から、2003年以降はより軽量な製品へと中心点が移ると予想

 Intelがフォーカスしているのはハイパフォーマンス,バッテリ持続時間,シームレスなワイヤレス接続,そして小型軽量のフォームファクタの4つの分野だ。これらの分野で技術革新を継続して進め,PCベンダーに供与することでPC業界の活性化を狙う。

 シームレスなワイヤレス接続とバッテリ持続時間については,別途,詳細な解説がプレス向けに行われたが,接続方法が自動的に選択され,コネクションが確立されるとVPNで自動的に会社や自宅のネットワークに接続したり,一日中電源を入れっぱなしで利用する携帯電話的な運用などをChandrasekher氏は提案している。

 「携帯電話のように常に電源が入り,常にネットに接続された状態でノートPCが使われるようになり,軽量でバッテリ持続時間が長く,シームレスにあらゆるワイヤレス技術を使え,パフォーマンスも良好であるならばユーザーの使い方は大きく変わるだろう」とChandrasekher氏は話す。それはデスクトップPCに可搬性を持たせる従来型ノートPCではなく,携帯することを前提にした新しいノートPCに違いない。

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[本田雅一,ITmedia]

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