Mobile：「携帯とPDAは一本のズボン」──融合を語るIntel（2/2）

「携帯とPDAは一本のズボン」──融合を語るIntel（2/2）

【国内記事】

2002年4月22日更新

ZDNet：携帯向けプロセッサとしてPXA210は，OMAPや日立製作所のプロセッサ（4月15日の記事参照）に比べて，ミドルウェアの提供が遅れているという印象もありますが，日本向けの施策はあるのでしょうか。

　PXAでは，IBMとの共同作業も進めていますし（2001年3月の記事参照），統合を進めたマルチメディア対応のものも揃っています。現在のiモードの場合ですと，対応できるアプリケーションが数万レベルですが，XScaleでは数百万レベルのアプリケーションにも対応できるようになっています。ミドルウェアの部分で対応が遅れているとは思っていません。

　間もなく全貌が明らかにされると思いますが，最初の段階では3200万アプリケーションの対応を考えています。PC用に開発されているWebサイトの数と同等です。

　アプリケーションの中では，こうした端末に向かないものもあるのですが，移植の容易さに関しては強調しておきたいと思います。企業向けのアプリケーションでもコンシューマ向けのアプリケーションでも対応できますし，それだけ幅広いプラットフォームで対応できるのはほかとは違う部分だと思います。

　また，将来的に端末の機能が強化されたときに，ソフトウェアのコードでどう対応するかが問題になってきます。PXAは，従来型のように固定されたDSPを使っていて，ソフトウェアを全部書き換えなくてはならないソリューションとは異なります。

ZDNet：TIのOMAPで問題点として指摘されている部分ですね。

　DSPは，確かにコミュニケーション用のプロトコルということであれば問題がありました。IntelのDSPであるMicro Signal Architecture（MSA）は元々プログラム性の向上を念頭に作られたものですし，コンパイラも効率的に展開が可能で，ハイレベルな言語──C言語などに対応できます。

　DSPに関しては，処理能力を効果的に展開するアルゴリズムも持っています。もともとDSPのコードは何年もかけて書くものでしたが，MSAでは「これだけのアーキテクチャやコンパイラが用意されているのなら，数週間でコードが書ける」という印象を人々に与えることができると思います。

ZDNet：フラッシュメモリの利用量は，携帯電話の場合，どのような伸びを示すのでしょうか。

　いろいろなアナリストが，携帯出荷台数の伸びを議論していますが，確かに言えるのは，携帯電話1台あたりに搭載するフラッシュメモリの量は，今後ますます増えていくということです。

　携帯がデータ対応になってから，一貫してフラッシュメモリの利用量は増えてきました。およそ1年半で倍増していますが，これはムーアの法則にも合致しています。この傾向は今後も続くと思っています。

　このうちデータの利用密度が一番濃いのが日本市場です。iモードやJ-スカイといったデータサービスがこれを支えているわけです。

ZDNet：フラッシュ回路とロジック回路を混在する技術について以前発表しましたが（2001年5月の記事参照），実際の製品はまだまだ先になるのでしょうか。

　（基調講演で語った，ワイヤレス向けの統合チップ）Wireless Internet On Chipというのは，フラッシュとロジックとXScaleとMSAをチップ上にまとめるものという方向性のものです。この方向は，今後もさらに追求していきます。

　（各機能をワンチップにまとめることで）消費電力を落とす，チップ間のインタフェースをよりよく取る，パフォーマンスも上がるようになります。そして何よりもフットプリントが小さくて済むということになります。

　ロジックの上にフラッシュを置くというスタックドパッケージは，現在のところ実現できる中間的な処置というところです（4月18日の記事参照）。

ZDNet：Wireless Internet On Chipは開発中であるという理解でいいのでしょうか。

　そうです。基本的な技術に関してはデモンストレーションは終わっているのですが，それを活用した製品は今後となります。

　PCAの良さは，アプリケーションの開発がやりやすいことです。例えば演算処理のブロック，コミュニケーションのブロックが一緒にあっても別にあっても扱えます。今日お話しした統合型のWireless Internet On Chipでも，個々のPCAチップでも可能です。

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[斎藤健二，ITmedia]

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