504iの“待ち受けアプリ”とは何なのか504iシリーズの最大の特徴は、やはり“待ち受けアプリ”だ。一見すると、J-フォンの待ち受けアプリと似た印象も受けるが、実際は使い勝手が高度にブラッシュアップされ、携帯Javaの使い方を変えてしまうような潜在能力を持っている。504i向けの待ち受けアプリ開発ソリューションを提供しているKLabに話を聞いた。
「504iの待ち受けアプリがあるからこそ、K Labという会社を作ったようなもの」──そう語るのは、携帯向けアプリケーションに特化した開発会社、ケイ・ラボラトリー取締役の千葉功太郎氏。 ケイ・ラボラトリー(K Lab)がそこまで待ち受けアプリに注目するのは、ユーザーにとってシームレスな形でエージェント機能を実現できるからだ。 「Javaが待ち受け化できるということは、コンピュータ的には常駐化できるということ。iモードの最大のメリットであるパケット通信と常駐化したアプリケーションを組み合わせることで、専用線環境のエージェント機能を実現できる」(千葉氏) いずれ、携帯電話が秘書機能などエージェント的な働きをするようになるのではないかと言われてきた。だが「技術的に初めてそれを実現できるのが、まさしくこの(iモードの)待ち受けアプリ」なのだと千葉氏は言う。 これまでのiアプリでも“待ち受け的”な使い方は可能だったが、ユーザーは意識してiアプリを立ち上げておかなくてはならなかった。 「(待ち受けアプリなら)ユーザーにとって、いちいち立ち上げるなどの煩わしさがない。また、いつでも気軽にネットワークにアクセスして情報を更新したりデータを取ってくることがアプリケーション側の判断でできる」(千葉氏) 例えば、夜寝ている間に待ち受けアプリが昨日の着メロランキングに従ってトップの着メロを自動ダウンロード。朝には、その着メロを目覚まし音として流してくれる。起きて携帯を開くと、その日のニュースや天気を待ち受けアプリが表示する……。そんなことが可能になるわけだ。
待ち受けアプリは、簡単にいってしまえば動く壁紙だ。しかも「今まで一個の画像でしかなかった画面が、画面を時間帯によってシェアしていける」(千葉氏)という特徴も持っている。 「今までだったら、単にミッキーが出ているだけだった。それが開いたときに出てくるミッキー、電源を入れたときに出てくるミッキー、夜になると出てくるミッキー、メールが来たときに出てくるミッキーと変化する。イベントで画面がどんどん切り替わっていく。こういう世界が、まさしく待ち受けアプリ」(千葉氏) 従来、D503iなどでは電話機の操作ごとに内蔵されたアニメーションが動いていた(2001年3月の記事参照)。待ち受けアプリならJavaでこれを代替させ、自分の好きなアニメーションを動かせる。「ユーザーから見れば、ネイティブソフトウェアと区別がつかない」(千葉氏) 504iでは、端末の開閉に加え、電話着信、メール着信、iモードの終了、未読メールの有無などさまざまなイベントをアプリが取得できる。もちろん個人情報に関わる部分は触れられないよう、微妙な制限があるが、まったく端末情報を取得できなかった従来のiアプリと比べると、大きな進歩──または大きな方針転換といえるだろう。
一見すると動く壁紙……Javaが動いていることをユーザーに意識させないため、504iではさまざまな工夫が凝らされている。そのために用意されたのが、待ち受けアプリの「活性」「非活性」「休眠」という3つのモードだ。 “動く壁紙”として待ち受けアプリを使っているときのモードは「非活性」だ。Javaは動いているが、キー入力は携帯電話のネイティブプログラムに渡る。つまり、背景を動かしたまま、電話帳を見たり、電話をかけたりといった操作が可能だ。 ここで各端末に用意された「活性化ボタン」を押すと、待ち受けアプリが“活性化”する。これでキー入力を待ち受けアプリに渡すことができる。 ユーザーは電話を使いたいときは「非活性化」、待ち受けアプリを操作したいときは「活性化」と自在に切り替えられる。 もう1つの「休眠」というのは、内部的に活用されるモード。「端末を閉じたとき、画面を残したままJavaVMが止まる」(千葉氏)というもの。これは消費電力を抑えることを目的としているようだ。 Javaを動かしているとバッテリーが急激に減るのは実感している人も多いかもしれない。それが待ち受けアプリでは、Javaが24時間ずっとJavaを立ち上がっている。消費電力の削減は極めて重要な課題になる。従来は、Javaを一時停止することができず、いったん立ち上げるとフルスピードで動き続けていたのだが、「休眠」モードをサポートすることで、電力消費を減らすことが可能になった。 千葉氏によると、活性、非活性時でもJavaVMの間欠的な停止が可能。「1秒で1セット。0.9秒休んで0.1秒動かす、といった動作ができる」(千葉氏)。時計機能を持った待ち受けアプリを作るために、このような仕様になっているようだ。 もっとも、このような細かな処理はアプリ側で指示して行うもの。どのタイミングでJavaVMを止め、消費電力を削減するかは開発者の腕の見せ所でもある。動かすだけなら簡単だが、どのくらい電池を食うかで、アプリケーションに差が付くのではないかと千葉氏は指摘する。
エージェント機能、そしてユーザーに起動を意識させない巧妙なモード設定。“壁紙”として設定したキャラクターがイベントに合わせて動くという分かりやすさ──。504iの待ち受けアプリは、“ゲームができるだけのJava”(5月7日の記事参照)から脱却を図るために必要な機能がたっぷりと盛り込まれている。 しかし、これは新たにコンテンツプロバイダ間の激しい競争も招くだろう。待ち受けアプリは、端末に1つしか設定できないからだ。 千葉氏は、「一等地を巡る、熾烈な戦争」とこれを形容する。 待ち受けアプリは、壁紙代わりという最も目立つ場所を占有し、ユーザーはボタン1つで操作することもできる。たくさんダウンロードして、必要に応じて起動、終了を繰り返す多くのiアプリの中で、待ち受けアプリだけが特殊な位置を占めている。 日常的に利用するものだけに、いったん使い始め、便利なものだったら、ユーザーの継続利用率も高いことが見込まれる。この“一等地”をどうやって確保するか、それが504iでのコンテンツプロバイダの腕の見せ所となりそうだ。
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