Mobile:NEWS 2002年8月9日 11:38 PM 更新

ICカードのトレンドは「交通」「金融」

矢野経済研究所が、「ICカードアプリケーション」に関する展望をまとめた。現在、JR東日本の非接触型ICカード「Suica」が人気を博しているように、ICカード市場は交通機関での利用が牽引役となりそうだ

 2001年11月にJR東日本が導入した非接触型ICカード「Suica」は利便性が高いことから人気を集め、利用者は半年で400万人を突破した。また、プリペイド型電子マネー「Edy」は、今年7月よりコンビニエンスストアのam/pm全店で利用することが可能になっている。生活に浸透しはじめたICカードだが、市場調査会社の矢野経済研究所は、2002年度の国内ICカード市場は前年度から倍増の3654万枚と予測。ICカードの勢いを裏付けている。同研究所の報告書をもとに、ICカードアプリケーションのトレンドを見てみる。

 矢野経済研究所が、ICカード市場の牽引役になると考えているのが、Suicaのような交通機関での利用だ。「Suicaを核として、2002年以降、ICカードの需要は倍増するものと見ている」(同)。その条件として同研究所では、「これら鉄道乗車券での課題はシステムをいかに共通化して、お互いの乗り入れを許容すること」を挙げ、「Suicaとのそのほかの私鉄、地下鉄などとの連携は具体的に検討されていない」という現状を指摘する。一方、関西では私鉄・公営37社の路線に共通のプリペイドカード乗車システム「スルッとKANSAI」において非接触型ICカードが導入されているが、「JR西日本との共通化も検討されている模様」(同研究所)だという。

 交通機関と並んで、矢野経済研究所が成長株と見ているのが、金融分野。民間金融機関と郵便貯金による日本ICカード推進協議会では、2002年中のICカード規格の共通化を目指しており、実現した場合のポテンシャルとしては「年間の需要で銀行のキャッシュ―カードが800万―1000万枚、郵便貯金が600万―700万枚、クレジットカードで2億2000万―2億4000万枚が見込まれる」(同研究所)。ただ、金融分野でのICカード導入が進むと、1枚のカードにクレジット、キャッシュカード機能、電子マネー機能などが統合されることになるが、「ICカード化によって、新たにキャッシュカードに有効期限が設けられるため、増加傾向であることは間違いない」(同研究所)としている。

 また、矢野経済研究所では「電子マネーの新しい形態」として、NTTドコモやソニーなどが共同で行った「モバイル e-コマース」の実用化に期待を寄せている。この実験は、携帯端末と非接触ICカードを利用したもので、非接触ICカードに“必要なときだけ”携帯端末の通信機能を利用して電子マネーをチャージするというもの(2001年6月13日の記事参照。SuicaやEdyといったチャージ型ICカードの場合、「入金したカードを落としたら、財布を落としたのと同じで諦めてもらう」というスタンスをとっているが、モバイル eコマースの技術では、買い物に必要な金額だけをチャージすることができ、カードを落としても損害を最小限に抑えることが可能になる。

 このほか、ICカードの用途としては、バーコードの代わりに、大量の情報を管理することができる「ICタグ」のほか、2003年8月より発行される「国民基本台帳カード」などがある。矢野経済研究所によれば、ICカード市場は、2005年に3億7540万枚、2010年には7億5270万枚規模に達する見通しだという。

[中村琢磨, ITmedia]

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