Mobile:NEWS 2002年8月19日 00:28 AM 更新

固定→携帯接続論争、携帯キャリアが反論

平成電電の申し立てに端を発した「固定→携帯接続論争」で、携帯キャリア側が反論を行った。詳細な内容は公開されていないが、どうやら両者の言い分は大きく食い違っているようだ

 7月18日、平成電電が各携帯キャリアとのインフラ接続で“料金設定権を伴う相互接続”を求め裁定を申請した問題で(記事参照)、総務省は裁定申請の受理後、電気通信事業法に基づき、携帯キャリアからの答弁書を受け付けた。提出期限の8月9日までには、各キャリアとも提出をすませたようだ。

「非公開」の答弁書

 実はこの答弁書、内容は公開されていない。各キャリアはこの件に関して、そろって報道発表を控えている。また、総務省も「事業者から提出された答弁の内容について、言及する義務はない」としている。

 ただし、その概略については各キャリアの広報担当者から、個別に聞くことができた。

 NTTドコモ広報は申し立てに、「料金設定権が携帯キャリア側にある点については、既に平成電電側の合意が得られているはずだ」と主張する。総務大臣に提出した答弁書には、そのことを示す書類も添付したという。

 ドコモ側はそれ以外の部分、たとえば課金方法や課金体系、ネットワーク構成など「多岐にわたる調整項目に関して話し合いをしていた」(NTTドコモ)という。そして「裁定申請は、(話し合いの途中で)唐突な印象をうける」と、7月26日の立川社長の見解(記事参照)を繰り返した。

 KDDI広報も現状について、「まだ十分な議論が尽くされていない」と説明する。

 平成電電の申し立ては、電気通信事業法、第39条の第3項に基づくもの。その条文は「第一種電気通信事業者の電気通信設備との接続に関し、(中略)接続の条件その他協定の細目について当事者間の協議が調わないときは、(中略)裁定を申請することができる」となっている。

 「まだ協議が始まったばかりなのに“協議が整わないとき”には該当しない」(KDDI広報)。つまり、そもそも裁定を申請できるケースではないというのが、KDDIの主張だ。

 J-フォン広報は、「(J-フォンとしての)スタンスは、他キャリアと同様」と話す。「詳細な内容についてはコメントできないが、申請者の訴えは却下されるべき」。

食い違う主張

 今回、これまで沈黙を守っていた携帯キャリア側が反論を行ったことで、両者の言い分に大きな食い違いのあることが改めて明らかになった。

 たとえばNTTドコモのいう「平成電電側は料金設定権については合意していたはず」という部分だが、平成電電側によれば「そうした事実はない」。考えてみれば、納得していないからこそ申し立てに至ったわけだ。

 またKDDIの「議論が十分でない」という点については、平成電電側は「2001年5月から1年以上も継続して協議してきたにも関わらず、なかなか話が進展しなかった」と主張している。

 ただ、「合意していた」「いや、していない」、あるいは「協議がまだ十分でない」「協議したが進展しなかった」といった事実認識の食い違いは、どこまでいっても平行線で、水掛け論にしかならない。本質的な問題である“料金設定権がどちらにあるべきか”という問題について、総務省がどう踏み込んだ判断を下すのか、注目されるところだろう。

 今後、この件は電気通信事業紛争処理委員会に諮問され、その答申を受けて裁定がなされる見込み。スケジュールは明らかにされていないが、「9月中には、なんらかの答申が出るのでは」(平成電電)という。

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[杉浦正武, ITmedia]

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