Mobile:NEWS 2002年10月7日 03:17 PM 更新

めちゃくちゃやらないとブレイクスルーなんかできない〜ドコモ、大星公二相談役

ドコモの初代社長で現在相談役を務める大星公二氏は、日本の携帯電話普及の立役者ともいえる人物。EC研究会の講演では、自信たっぷりの大星節で、iモード誕生時代を振り返った

 ドコモの相談役を務める大星公二氏は、NTTドコモ(当時の社名はエヌ・ティ・ティ移動通信網)の初代社長として、じり貧だった自動車電話事業を携帯電話事業として成功させた立役者として知られる。

 EC研究会の講師として登場した大星氏は、平成不況の原因は「トップが悪い」とばっさり。自身のiモード立ち上げ時の経験を交えながら、不況を乗り切るための心構えを語った。


NTTドコモの初代社長で現在相談役を務める大星公二氏


「天才大星君」「天才社長」などを連発する独特の「俺様節」。強烈ながら説得力のある話に来場者も心酔

“酒池肉林”でiモード端末開発

 最初の難関であった音声端末の成功後(7月5日の記事参照)、大星氏はあることに気が付いて青ざめたという。(音声メインの)携帯電話が一般に浸透した時、同じようなサービス、同じような小型端末で勝負していたのでは、端末やサービスの価格競争になってしまい「5年でダメになる」。

 それを避けるためには、「ドコモの携帯電話は高いけれど、ほか(の通信キャリア)にはないものがある」という状況に持っていかなければならない。

 「物が充足した時代に求められるのは、心の豊かさ」──こう考えた大星氏は、コミュニケーション、インフォメーション、ナレッジ、エンタテインメントの要素を携帯電話に組み込むことを思い付く。音声からデータへの移行だ。しかしこれは技術系の担当者からの大反対にあう。

 大星氏は、日経新聞に「もしもしはいはいはもうやめた、ボリュームからバリューへ」という全面広告を打ち、音声からデータ通信への移行を宣言した。これは、社内に向けた宣言でもあったと大星氏。「この戦略転換に全員が反対した」から、先に一般に告知してしまったのだ。かなり強引なやり方だが「めちゃくちゃやらないとブレイクスルーなんかできない」(大星氏)。

 ドコモは、1999年の2月と期限を定め、無線のパケット通信に対応する端末の開発に乗り出す。この期限にしたのは、QualcommのcdmaOne方式が4月に入ってくるのに「おそれをなした」(大星氏)からだ。

 より高い完成度の端末を短期間で完成させるため、端末開発に当たっては、松下電器、NEC、富士通など端末メーカーの実力のある技術者を「酒池肉林」(大星氏)で誘惑、自らが旗を振って進めたという。「青山のレストランでばかばか食わせてじゃかじゃか飲ませ、すっかりいい気持ちになったところですっくと立ち上がり『今日から君らの社長は私。私がすべてを管理する』と言った。飲み食いした後では誰も断れない」(大星氏)。

 これは同じ過ちを犯さないためだったと大星氏。NTTデータ通信時代に電電ファミリー4社と共同で開発した「DIPS」が、「各社ともとっておきの技術を隠して悪い物を出した」ため、4社の悪いところが集まった「世界でも珍しいほど出来の悪いコンピュータと言われる」代物になってしまったからだ。自ら管理することで各社の競争意識をあおり、「一番遅れている部分を切っていけば最高の端末ができる」(大星氏)。こうして約1年でパケット端末を誕生させた。

 「日本のパケット技術はすごい」と大星氏は胸を張る。iモードのようなサービスが海外で普及しないのは、コンテンツやWAPのせいにされることが多いが、「インフラとしてのGPRSがうまくいってない」というのが大星氏の見方だ。

日本のトップは責任を取らない

 大星氏は、「失われた10年」といわれる平成不況にも言及。「3年先、5年先を読めない」「商品の差別化ができない」「経営不振の責任をとれない」トップは責任を問われるべきだと憤る。「残念なことに、(日本の企業は)新しい発想を取り込んで、大胆に新しい商品やサービスの開発をすることにチャレンジしてない」(大星氏)。また、ITを積極的に取り入れれば生産性が上がるのに、投資マインドが冷え切ってしまっていることにいらだちを見せ「そういうことを言う年寄りのおじさんは、早く辞めればいいのに、これがまた辞めないんだ」とばっさり斬った。

 ドコモに内定した新入社員の前で「ドコモのために働かなくてもいい、いろいろやって、それでも嫌なら早く辞めた方がいい」と話し、人事担当者を青ざめさせたという大星氏。自らを「天才大星君」「天才社長」と言うなど語り口は「ワンマン社長」そのものだが、不思議と嫌みがなく、会場を笑いの渦に巻き込んでいた。平成不況の日本には“強引でチャーミングなワンマン社長”が求められているのかもしれない。

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[後藤祥子, ITmedia]

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