Mobile:NEWS 2002年10月7日 10:11 PM 更新

生活圏の災害情報をリアルタイムで〜レスキューナウ・ドットネット

災害情報をもっと身近なものに──。レスキューナウ・ドットネットは、ユーザーの生活圏内で起こった災害情報を携帯電話にリアルタイム配信する「マイレスキュー」を提供している

 「災害情報」と聞いても、自分の身に降りかからない限り「無縁のこと」と思いがちだ。レスキューナウ・ドットネットは、ユーザーの生活圏内に起こった災害を携帯電話に配信することで、災害情報への関心を高めようとしている。

「自分の予定が妨げられる」ことは危機の1つ

 災害は大自然の脅威によるものだけではなく、強盗や火災などといった人災も多い。たいがいの人はこうした事件を新聞やテレビ、インターネットの記事として読むことになるが、自分の生活圏で起こった災害すべてを知ることは難しく、タイムラグも出てしまう。また日本では、それほど災害が身近では起こらないことから、普段から意識することも少ない。

 レスキューナウ・ドットネットの田口幹也取締役は、まず身近な情報を意識することから災害情報に関心を持ってほしいという考えから、気象情報や鉄道情報、事件・事故情報など6種の災害情報を携帯電話にリアルタイムでメールする「マイレスキュー」サービスを提供している。

 登録した初期の状態では、住所を元にした生活圏内の「火災」「事件・事故」「地震」「その他」の災害情報が配信される。例えば「世田谷区太子堂」で登録すると、太子堂の「小災害」、世田谷区の「中災害」、東京都の「大災害」が配信される仕組み。自分の通勤圏内のエリアを追加したり、災害レベルをカスタマイズすることも可能だ。


マイレスキューは、レスキューナウ・ドット・ネットが個人ユーザー向けに提供するサービス。3キャリア対応だが、公式サイトではない。月額利用料金は200円

 気象情報や鉄道情報をあらかじめ把握しておけば、雨や鉄道の遅れのせいで予定が狂うこともなく、生活圏内の事件や事故情報を知っていれば、危ない地域を避けることで危機を回避できる。これらの情報が、即時性のある携帯メールで送信されることで「転ばぬ先の杖」になってくれるというわけだ。

 マイレスキューは、2002年9月にモニター1000人を集めて運用実験をスタート。「50時間で1000人のモニターが集まった」と出足は好調で、ユーザーからのニーズがあることが分かったと田口氏。翌2001年4月から有料サービスとして展開、このほどそのコンテンツと配信システムの一部が朝日新聞社の緊急情報サイト「朝日ライフライン」に採用されることになった。

 今後は、災害情報にあまり関心のないユーザーにも情報を届けるため、B to B to Cという形で情報サービスをメーカーにOEM供給し、ネット家電や腕時計を介した情報提供も考えている。「筑波の研究所では、P波とS波を解析することで、震度いくつの地震が何十秒後にくるという速報データも出すことができる。こういった情報をいつも身につけているものに配信するための研究も始めている」(田口氏)。


レスキューナウ・ドット・ネットの情報システム。危機管理につながる各種情報をカテゴライズしてデータベース化。ユーザーのニーズに合わせた形でアウトプットする

阪神大震災がきっかけ

 レスキューナウ・ドットネットは、行政やボランティア団体、災害に関わるニュースソースを持つ企業と提携して幅広く災害情報を集め、各方面から集まった情報を災害の種類やレベル、地域などにカテゴライズしてアウトプットするシステム作りを行っている。情報収集ソースとしてバイク便のDATジャパンと提携し、ライダーに災害情報を送ってもらうなど、ミクロな情報収集にも積極的だ。

 災害情報や危機管理情報は、マスメディアや行政、民間企業など提供元は多いものの、それらを一括して管理し、必要とされる場所に的確に配信する仕組みがなかったと田口氏は話す。それが実感として分かったのが「阪神淡路大震災」の時だったと振り返る。

 レスキューナウ・ドット・ネットの創設者である市川啓一代表取締役は、阪神淡路大震災の報道を目にして現地入りしようと考えたが、それがかなわなかったのだ。「ニュースで流れるのは統計的なデータばかりで、土地勘がない人間が現地入りするために必要な情報といった『個人のニーズに合わせた情報』がなかった。(現地入りして救援活動をしたいという)同じ気持ちの人はたくさんいたはずで、その人たちに必要な情報を提供できていればもっと効率的な活動ができると思った」(田口氏)。安否情報や必要な救援品、どこでボランティア活動ができ、どんなスキルが必要なのか──そういった情報を共有しあう場の必要性を感じたことからレスキューナウ・ドット・ネットは誕生した。

 阪神淡路大震災後に出された白書でも、ばらばらなソースから提供される災害情報を、どのような仕組みで共有するかが課題として出され、「行政が必要とするのだから」ビジネスとして成り立つと確信したという。

 今後は、最近注目を集めている食品関係などの公衆衛生上の情報も危機管理情報に加えていきたいと田口氏。企業には危機管理に関わる情報を迅速に出すことが求められており、「うちにFAX1枚投げてくれれば、24時間いつでもマスコミやエンドユーザー向けに情報を送信できる」。



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[後藤祥子, ITmedia]

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