Mobile:NEWS 2002年10月9日 02:14 AM 更新

PDAが新聞になる日〜ホットスポットとの連動に向かうPDA

「キラーコンテンツがない」と言われ続けているPDA業界では、ホットスポットとの連動に活路を見いだそうという動きがある

 日本では、高機能な携帯電話が早期に登場したこともあり、欧米ほどPDAがメジャーな存在にはなっていない。PDAを開発するメーカー側からは「キラーコンテンツさえ見つかれば……」という声もよく聞く。

 そんな中、無線LANとの連動に活路を見いだそうという動きが出始めている。

駅で新聞を買うようにPDAにデータをダウンロード

 駅で新聞を買うように、PDAに新聞や雑誌のコンテンツをダウンロードできるのは、NTT-BPが運営する「無線LAN倶楽部」。8月から10月31日までトライアルを実施している。京王線や京浜急行線の一部の駅に設置されたホットスポット内で専用ブラウザを使ってインターネットにアクセスすると、ボタン1つで定期刊行コンテンツの最新版をダウンロードできる。対応するのは「PDA読売」「ゲンダイ芸能!特ダネ!」「PDAフライデー」「ちびmagnetcafe」「Pocket sabra」の5タイトルだ。

 実際に品川駅のホットスポットで試してみると、予想以上の使い勝手のよさに驚く。専用ブラウザにはIDやパスワード、WEP KEYを登録しておけるため、エリアに入ってソフトを起動すれば、すぐにインターネットにアクセスできる。専用ブラウザにはシンクロ機能があり、コンテンツのダウンロードもブラウザの同期ボタンを押すだけで済む。端末内のデータとサーバ側の最新データのタイムスタンプが自動的にチェックされ、最新データがあれば自動的に端末内に保存される仕組みだ。

 5タイトルの新コンテンツすべてを落としてみると、1分ほどでダウンロードは完了。PDAをポケットから出して起動、ブラウザを立ち上げてダウンロードするという一連の流れも、2〜3分もかからずに済んでしまう。駅の売店で新聞や雑誌を買うのに比べると、小銭を用意する必要がなく、ホットスポットのエリア内なら電車の列に並びながらダウンロードできるなど利点も多い。


専用ブラウザのインタフェース。画面右下にあるのがシンクボタンだ。ホットスポットエリア内でこのボタンを押すと、契約している雑誌や新聞の最新コンテンツがPDA内に自動的にダウンロードされる

 NTT-MEの運営する無線LANのホットスポット「NeoMobile」でも、東武鉄道、相模鉄道の一部の駅でPDAコンテンツのダウンロードを運用実験中。ホットスポット内でWebブラウザを起動すると、アクセスポイントの位置情報を元にしたエリアごとのポータルサイトが起動、そのエリアの地図や天気予報、時刻表やレストランなどの地域情報をダウンロードできる。もちろん雑誌やアプリなどのコンテンツも入手可能だ。

 先に発表されたARM搭載CLIEも無線LANに対応し、ビー・ビー・テクノロジーと組んでホットスポットでの展開を企画するなど、無線LANとPDAの連動に期待するところは多い。

エリアやインフラなど整備すべき点も

 PDAの利点は、携帯電話に比べて画面が大きいことと、ノートPCに比べて電源投入後の起動が速いこと、ポケットに入るコンパクトサイズであることなど。これに無線LANの高速なインターネットアクセスが加わることで、PDAの利用シーンが広がる可能性は高い。

 しかし両者の連動がうまくいくにはいくつかの課題も残されている。1つはユーザーがCFカード型無線LANカードを購入しなければならないことだ。最近では無線LAN機能を内蔵しているPCが多く、そうでなくてもPCカード型の無線LANカードを使っている人が多い。PDAのためだけにCFカード型のカードを買うのは、あまり一般的とはいえないだろう。Pocket PCの中にはPCカード型アダプタがラインアップされている機種もあるが、余分なコストがかかることに変わりはない。

 もう1つは無線LANのエリアが現状ではそれほど広くないことだ。ホットスポットが自分の生活圏内にあれば便利に使えるかもしれないが、出先で使える場所が限られてしまえば、それが普及を阻む要因になってしまう。このあたりは無線LANの相互乗り入れに期待したいところだ(10月9日の記事参照)。

 ホットスポット実験にコンテンツアグリゲータとして参加している凸版印刷Eビジネス推進本部企画戦略部の上田直希プロデューサーは、「ニワトリが先か、たまごが先かという議論はあるが、どこかが何かを始めないと状況は変わらない」という考えから新聞や雑誌などのコンテンツのデジタル化を進めていると話す。

 ハード、コンテンツ、インフラがちょうどよいタイミングで動き始めれば、無線LANとPDAの連動はうまくいくのかもしれない。



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[後藤祥子, ITmedia]

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