Mobile:SH251iS Special 2002年12月6日 05:30 PM 更新

31万画素、ライト、接写。それだけだと埋もれてしまう〜シャープが語る「SH251iS」

シャープのドコモ向け端末「SH251iS」は、“最高峰”が詰まった端末だ。世界初の3D液晶、iショット最高クラスの31万画素CCD……。SH251iSにかけた意気込みを、広島のシャープ・通信システム事業本部の方々に聞いた

 「SH251iS」を「iショット端末の最高峰」と呼ぶことに異論を持つ人は少ないだろう。カメラ付きが当たり前になりつつある携帯電話だが、iショット端末の第2世代に当たるSH251iSには、書き尽くせないほどの魅力がある。

「単に撮るだけ、3Dで見るだけではなく、融合して楽しめる機能」〜3D液晶


「シャッター音にもこだわりました。SH251iSでは“イェス!”という声を入れています」と企画を担当した奥田計氏
 最大の特徴はなんといっても世界初の3D液晶の搭載だ。「立体というコンテンツの新しい表現法を提案して、それをベースにさらにコンテンツをダウンロードしてもらうとか、新たなカメラと液晶の使い方を提案したくて3D液晶を搭載した」と話してくれたのはSH251iSの企画を担当したシャープの奥田計主事(通信システム事業本部パーソナル通信第一事業部商品企画部)。

 “携帯で3D”というと、3Dポリゴンのことを指すこともあって紛らわしいのだが、SH251iSの3D液晶は実際に飛び出す立体画像が表示されるもの。しかも「液晶の仕組みとしては、専用のメガネをかけるなどして無理な世界を作るのではなくて、裸眼でも立体に見えるよう右目用と左目用の視差を利用して出している」(奥田氏)。

 専用の液晶ということもあって、この立体感ばかりは実際に体験していただくほかないのだが、見た人がこれほど驚く機能はほかにはない。SH251iSには13枚の3D画像が登録されているほか、iモード公式サイトやシャープのサイト「SH-MODE」からも画像のダウンロードが可能(11月13日の記事参照)。

 さらに、3D液晶の可能性を大きく広げるのが、内蔵カメラとの連動だ。カメラで撮影した画像を3Dに変換できる。技術に詳しい人ほど、理屈が分からないかもしれないが、撮影した1枚の静止画から奥行き情報を自動的に計算して立体化を施すマーキュリーシステムの「Sandy(3D)Technology」の技術が使われている(11月14日の記事参照)。


「撮影した画像を3Dに。これはなんとしても積むべき機能」と企画担当の川橋徹也氏

 「ダウンロードコンテンツを3Dで楽しめることは当然ですが、カメラケータイのユーザーにとっては撮影した画像を3Dにしたいというニーズが高いことは調査などから分かっておりましたので、これはなんとしても合わせて積むべき機能だとなりまして」と同じく企画に携わった川橋徹也主事(通信システム事業本部パーソナル通信事業部第一商品企画部)は話す。

 3D化は本当に簡単だ。写真を撮影したらいったん保存し、カメラ画像一覧から「メニュー」-「画像編集」-「3Dエディタ」と進む。そのあと、画像の種類を人物画像/風景画像/接写画像から選ぶ。立体化の度合いもそれぞれ強調と標準から選択できる。3D処理は数秒で完了し、保存も可能。

 写真を3D化するだけでなく、3Dのアニメフレームも用意されている。また、3Dではないが前機種の「SH251i」ではできなかった、フレームを表示した状態で撮影も可能になった。「重ね合わせながら表示するということで、スピードを早くしないとぎこちなくなってしまう。フレーム付きのカメラ撮影はスピードをシビアに作っています」とソフトウェア開発を担当した笹雅明係長(通信システム事業本部パーソナル通信第一事業部ソフト開発部)。


技術担当の児玉幸也氏。3D液晶を、薄い筐体に巧みに入れ込んだ背景には技術陣の努力があった
 ちなみに3D液晶は通常は2枚のパネルで済むところを5枚相当使用している液晶なのだという。「いまの状態にするのにギリギリまでかかりました。最初は(実装が難しく)3Dに見えない、見えないと言っていました。そもそもTFTに3D機能も入れるために、液晶自体が厚くなっている。それなのにセットサイズは251iよりも薄くしなくてはならない」と技術を担当した児玉幸也係長(通信システム事業本部パーソナル通信第二事業部第二技術部)は述懐する。世界初の3D液晶を、一見普通の液晶と同じように搭載できた背景には、見事な実装を行った技術陣の努力があったわけだ。

31万画素CCDの威力を引き出す工夫の数々

 最初のiショット端末を投入したシャープだけあって、内蔵の31万画素CCDカメラは現在でも携帯電話最高峰だ。しかしSH251iSではその性能だけに頼らなかった。

 「今年の秋、各社がカメラを付けてくることは何となく想像できた。31万画素、ライト、接写、それだけだと埋もれてしまう……」(奥田氏)。

 そんな中、独特な機能として盛り込んだのが6連写機能だ。「人物の顔などを撮ったときに、どうしても失敗してしまうことがある。6枚撮って1枚を選んで、ベストショットを保存する」(奥田氏)。最近“連写”機能をうたう端末は多いが、SH251iSほど高速に連写できる機種は少ない。連写といっても1秒以内に撮影が終わるので、基本的に6連写で撮っておいて、その中から最も写りのいいものを選ぶことができるわけだ。


「ピクチャーライトは3色を合わせたほうが色のバランスがいい」と話す堀岡誠司氏

 シャープが先鞭を付けたピクチャーライトも、SH251iSでは密かに改良されている。「明るさもSH251iよりも上がって、しかも接写の時は明るさを調整しているんですよ。白飛びしないように」と奥田氏。高輝度白色LEDをライトに使った機種も最近見かけるが、SH251iSでは3色のLEDを組み合わせて、明るさだけでなく色の変更も可能にした。「3色を合わせて白を作ったほうが、白色LEDよりも各色のバランスがいい。それから光量が取れます」(技術を担当した通信システム事業本部パーソナル通信第一事業部技術部の堀岡誠司係長)。

 VGAサイズで撮影できるようになったのも、SH251iSのポイント。iショットで送信はできないが、ケーブルでPCと接続して転送できるようになっている。ケーブルは有料だが、転送ソフトが有料の端末も多い中、無料でダウンロードできるのもありがたい。VGAで撮った画像を、後から好きなサイズに変更できるのも、まだ他機種では未対応のものが多く、ポイントが高い。

 ちなみに、「携帯のカメラは11万画素でも十分。デジタルズームの倍率に差が出るだけ」と31万画素を採用したカメラを疑問視する声もあるが、「レンズもCCDも高いレベルに合わせたほうが、よりきれいな絵が撮れます」と奥田氏はその効果を説明する。

ボディデザイン変更の意図は?

 SH251iSでは、これまでの先端にカメラを搭載した“シャープスタイル”から一転、カメラをヒンジ近くに付けてきた。堀岡氏は「薄くしたかった。カメラはこれまで先端にありましたが、先端が薄いと、見た目がかなり薄く見える」と意図を説明する。この効果は見た目だけではない。「撮影したときに、ここに付いていたほうがブレが少ない」と奥田氏。

 合わせて、アンテナの配置もヒンジ側に移した。理由の1つは、背面の機能をAV関係にまとめたかったということ。また「これからもっと背面液晶を大きくしますと、もっとアンテナを置く場所がなくなりますし」(川橋氏)という将来を見越した考えもある。SH251iSの背面ディスプレイは1.2型という、こちらも携帯最大級のGF液晶を搭載。「だいたいプリクラのシールサイズ。プリクラのシールを貼り替えるイメージで待ち受け画面を変えてほしい」と奥田氏。

 カメラ付き携帯が最初に登場したときに、その利用イメージが“プリクラ”だったことは有名な話だが、そのコンセプトは今でもさまざまなところに引き継がれている。

 SH251iSでは、アドレス帳に顔写真を貼り付けて、一覧で表示することができる。「プリクラのような電話帳だ。ユーザーの誰が最初に電話帳の750件に登録してくれるか、楽しみ。電話帳に画像を登録したいから、画像のやりとりをするとか、写真を撮るとかダウンロードするとか……。よりカメラの撮影シーンが増えるのではないか」と奥田氏は新しいカメラの使い方を提案する。

 ただしこの機能を“本当に使えるもの”にするにはソフトウェア面での革新が必要だった。「電話帳には、1画面に3件の顔が表示されるが、スクロールしても次々と出てこなくてはならない。スピードが大事」とソフト担当の笹氏。


SH251iSで高速なサムネイル表示を実現したソフト担当の笹雅明氏

 カメラ付き端末で撮影した画像が縮小表示されて一覧できる、いわゆるサムネイル機能はいまや必須だが、その表示速度向上の難しさは多くのメーカーが悩むところだ。SH251iSでは、1画面に9画像のサムネイル表示が可能。しかも驚くほど高速だ。「サムネイルが識別できなければ意味がないので、パラメータを調整しながらできるだけきれいなサムネイルになるようにした。また電話帳と同じく表示スピードも早くしないと、画像がパラパラパラと出てきたのでは使い物にならない」(笹氏)。

携帯の新しい使い方を次々と提案するシャープ

 カメラ付き端末の中には“単にカメラを付けた”だけというものも見受けられるが、SH251iSのカメラに関するこだわりには妥協がない。3D液晶にしても、携帯電話、そしてカメラとの組み合わせでなかったら、これほどの効果を上げられなかったかもしれない。

 斬新な機能を毎回盛り込んでいくシャープの端末作りには、“自社デバイスの積極的活用”という側面もある。「我々は携帯電話メーカーの中で、どちらかというと最後発」と自ら語るシャープが一流端末メーカーに育つにあたっては、高性能な自社デバイスの採用が必要不可欠だった。

 SH251iSでも、3D液晶をはじめ、31万画素CCDモジュール、ピクチャーライト、フラッシュメモリなどのキーデバイスはシャープ製。自社の最新デバイスを組み込み、そしてそれを生かすアプリケーションをどう考え、作っていくか。シャープが携帯電話の新しい使い方を次々と提案していける背景には、デバイスと企画開発の密接な連携があるのは間違いない。

[ITmedia]

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