Mobile:NEWS 2003年3月3日 10:13 PM 更新

「最初だからこそ中途半端なものは作れない」〜「A1301S」のカメラ機能(2/2)


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最大、秒間30フレーム〜「スムーズビューワ」

 2つめの特徴は、処理の高速さだ。携帯カメラの高機能化は進んでも、これまで処理速度はおざなりにされてきた。カメラの起動で待たされ、撮影後の処理で待たされ……そんな端末にイライラしている人もいるだろう。

 A1301Sでは画像処理に専用のLSIを搭載。動画から静止画まで高速な処理を実現した。センサーに感度に優れたCCDではなくCMOSを採用したのも、「高速応答性を求めたため」(松浦氏)だという。

 例えば撮影時の画面だ。ファインダーを見ていて「カクカクしているな」と思える端末は数多い。これは1秒間に表示する画像数が少ないために起こる。一般的な携帯向けカメラでは、速くても秒間15フレーム、ナイトモードなどにすると秒間5フレーム程度だ。これをA1301Sでは、最大で秒間30フレームまで向上させた。これはテレビ並みのスムーズさで、追随性のいい画面を見ながらシャッターを切れるわけだ。

 保存も瞬時だ。VGAサイズなどの静止画はもちろん、動画であっても撮影後、瞬時に保存される。動画の保存が速い端末としては、アプリケーションプロセッサを搭載した「A5303H」が有名だが、「A1301Sでは撮影時に直接MPEG化している。日立のアプリケーションプロセッサを使うよりも速い」と西郷氏は話す。

 専用LSIのメリットは、撮影後も生かされている。撮影データのサムネイル表示は、今や必須機能だが、A1301Sではなんと動画のサムネイル表示にも対応。「ムービーもサムネイル表示。専用チップを使っていることが大きなメリット」(西郷氏)。


左から静止画撮影時のファインダー画面。撮影時のメニュー、静止画のサムネイル表示、動画のサムネイル表示。動画のサムネイルが出るのはすごい。静止画のほうは試作機では表示速度にやや難があったので、製品版に期待したい

大きなサイズの、Mサイズ動画「128×96」対応

 動画撮影は速度だけではない。ムービー端末で初めて、大きなサイズ「Mサイズ動画」に対応した。ムービー端末で撮影できる動画はezmovieで使われているのと同じフォーマットだが、実は大きさによって3種類存在する。

フォーマットサイズA5301TA5302CAA5303HA5304TA1301S
ezmovie LサイズQCIF(176×144)××××
ezmovie MサイズSubQCIF(128×96)××
ezmovie Sサイズ96×80
各サイズを再生可能な端末。A1301SはSサイズだけでなくMサイズの動画を撮影できる。ただし同時に発表されたA1302SAはムービーメール対応だが、ezmovieには対応していない

 大きな動画を快適に撮影できるよう、A1301Sでは動画とVGA静止画は端末を横にして撮影する。両手で持って安定させると共に、液晶画面いっぱいにファインダー表示させて見やすくした。

 再生時は、もちろん縦向きで再生される。つまり撮るときに横向きにしないと、ムービーメールで送った先で横向きに再生されることになる。これには注意が必要だ。


動画は、横向きにして撮影する。撮影後、プレビュー再生が行われるが、待ち時間は全くなし ※左の写真はVGA静止画撮影時のものです

VGAでも3倍ズーム〜業界初

 A1301Sのカメラは31万画素。通常はVGA撮影まで可能な画素数だ。しかし、フィルタなどを使った特殊な方法で、デジタル3倍ズームを可能にした。松浦氏は「これは業界初」だと言う。

 携帯モードでは8倍(4段階)のズームが可能。ジョグダイヤルを回すことでズームできる。

写真をメールで送れるアニメーションに〜「フォトミキサー」

 最後に、忘れてはいけないのは新機能「フォトミキサー」だ。これは撮影した静止画から2Dのアニメーションデータを作成し、メールに添付して送信できるというもの。

 まずアニメーションのテンプレートを選び、流れる文字や色を決めていく。撮影した写真をそこに入れていくと、Flashで作ったムービーのようなアニメーションができあがる。1つのアニメーションに最大4枚の静止画を入れ込める。データとしては、au端末が標準的に採用しているヤマハの音源チップのフォーマット「SMAF」の拡張版になっている。

 ニュース、グリーティングなど10種類がプリインストールされており、ソニー・エリクソンのサイトから追加ダウンロードもできる。今のところ、再生できる機種は「A1301S」「A1302SA」「A5304T」の3機種に限られるが、今後対応機種は増える予定だ。

 動画の編集機能も充実している。編集項目は「アフレコ」「テロップ」と従来機種と同じだが、快適に編集できるようソフトウェアでの工夫を重ねた。例えばテロップは流れる時間まで細かく決められる。


フォトミキサーを使ってアニメーションができるまで。映画「ミッションインポッシブル」の一場面のように、音楽が流れながらメッセージと写真が表示される……そんなテンプレートも用意されている

使い勝手ではムービー端末随一

 これらの機能を見ていくと、A1301Sはある意味、最強のムービー端末だ。メモリ容量こそ4Mバイトと他機種に比べて少ないが、処理速度や使い勝手を考えたソフトウェアは“今後を見据えて一歩進んだ基本機能を入れた”とも言える。

 ソフトウェアはいったん作ってしまったら、ユーザーの慣れという点でも、開発負担という点でも、“前のものを改良する”という流れになることが多い。最初にいいものを出せるかどうかが、その後、つぎはぎだらけのソフトになるかどうかを決める。

 今後、カメラの画素数が上がり、メモリ容量も増えていく中で、A1301Sの足腰は万全。快適に操作でき、気軽に撮影したくなる。開発陣が全力を尽くして取り組んだカメラは、長い間ソニー・エリクソンのカメラ付きを待っていたユーザーを裏切らない使い勝手に仕上がっている。



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関連リンク
▼ KDDI
▼ ソニー・エリクソン

[斎藤健二, ITmedia]

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