Mobile:NEWS 2003年3月26日 03:49 AM 更新

アクセサリ携帯が日本で難しい理由

ハイエンド携帯が最も普及している国は確かに日本かもしれない。しかし、GSM端末にあるような“アクセサリ型”端末は、日本では登場しにくい。ストレート型端末まで消えてしまおうとしている日本には、キャリア主導の販売形態に根本的な問題があるのかもしれない

 先週までドイツで開催されていたCeBITは、GSM端末の祭典でもあった(3月13日の記事参照)。Nokia、Siemens、Motorola、Samsung、Sony Ericssonなどのメーカーが多数ブースを設置し、最新の端末を展示した。

 注目を浴びていた新製品は、実は2タイプあった。1つはカメラを搭載し、大きなカラー液晶を搭載した多機能端末。そしてもう1つは、小さくファッショナブルな端末だ。


 多機能端末については、GSM圏は急速に日本を追い上げている。最新型は31万画素カメラ内蔵が普通で、OSに至ってはSymbian OS、Palm OS、Pocket PC、Linuxと多機能化が進む(3月17日の記事参照3月18日の記事参照)。Bluetoothが当たり前のように搭載されているのも印象的だった。

 面白いのは、超小型端末だ。モノクロの小さな液晶を搭載し、ダイヤルボタンも隅に追いやられたりなかったりする。特にSiemensのアクセサリ型携帯「Xelibri」シリーズは、いわゆる“電話”とは一線を画す(1月28日の記事参照)。


ペンダントとしてかけることもできれば、腰のベルトに差すためのピンも内蔵されている


小型を極めた端末の中には、ダイヤルボタンがないモデルも

豊富なバラエティ〜GSM

 GSM端末はデザイン的にユニークなアプローチが図られているが、日本の端末に目を移すとなぜか似通ったものが多い。カメラを載せ、折りたたみで、カラー液晶を搭載したブラウザフォンだ。では、なぜGSM端末はこんなにバリエーションに富んでいるのだろうか。

 「欧州の携帯電話文化は日本ほど進んでいないから」と言い切ってしまうのは簡単だ。確かに、至る所で携帯メールを打っている日本に対し、欧州では、携帯メールを使っているのを一度も見なかった。

 それでも、展示製品を携帯のカメラで撮影しているユーザーは見かけたし、テーブルに置いた携帯電話をひっきりなしにいじっているビジネスマンもいた。PDA型端末に向かい、何かを入力しているのも見た。ハイエンド型の端末が、日本を追い越す勢いで高機能化を進めているのを見ても、日本のようなハイエンド端末を求める層があるのも確かだ。

 ハイエンド一辺倒でもなく、小型端末ばかりでもない。GSMはさまざまな端末を許容する。

バリエーションを出しにくい、日本の携帯

 ではどうしてGSM端末はバリエーションが豊富なのか。1つはもちろん、SIMカードを差し替えることで複数の端末を利用できるというGSMの仕様にある(2002年12月の記事参照)。香港などでは、1人で複数の端末を普通に持っているという。さまざまなバリエーションの携帯が受け入れられる下地はここにある。

 ただし、日本の端末がどれも似通っている理由はそれだけではないかもしれない。日本の独特な携帯電話販売形態も影響を及ぼしている可能性がある。

 「欧州のように独特な端末を出そうと思っても、日本では年に1、2機種しか端末を出せない」。これは、NTTドコモに端末を納入していたあるメーカーの言葉だ。ハイエンドから超小型まで、1メーカーがバリエーションを揃えられるGSM圏と違い、国内では通信キャリアの端末投入スケジュールに合わせて開発を行う必要がある。

 ドコモの場合、春に50xシリーズ、秋に50xiSシリーズ。夏あたりに2xxシリーズを投入するのが基本的なスケジュール。各メーカーは、あくまで“製造元”という位置づけであり、「超小型端末を作ったから出してみよう……」というわけにはいかない。

 しかも、どの端末もある程度以上の販売量を求められる。GSMと違い、市場が日本国内しかないためだ。「年に1、2度のチャンスに、突飛な端末を出すわけにはいかない」。こうした思いがあるのだという。

メーカーオリジナルも難しい現状

 こうしたキャリア主導の販売形態をキャリアに指摘すると、返ってくるのは「メーカーが自分で端末を販売することもできる。メーカーを縛っているわけではない」という言葉だ。

 確かに以前はメーカーが独自ブランドで端末を販売したこともあった。しかし、最近ではこうした販売形態は実質的に不可能──というのがメーカーの本音だ。

 1つはサポート網の問題。特殊な商品である携帯電話は、普通の家電製品と同じようなサポートが行えない。商品自体の問題なのか、通信システムの問題なのか。サポートを受けるためには通信キャリアの協力が不可欠だ。

 もう1つは開発コストの上昇にある。複雑化した端末を開発して利益を上げるには、相当の量を売らなくてはならない。“100万台売れるかどうか”を、ヒットの1つの目処としているメーカーも多い。

 以前は清涼飲料とのコラボレーションモデルなども存在したが、最近ではあまり見かけない。これも、製造できる最低ロットがかなり大きくなったためだという。

商品寿命の短さは誰のせい?

 似たような端末を作り、膨大な数を販売しなくてはなならない中で、商品寿命の短さも日本の特徴だ。新製品を出しても、同じキャリアから新しい端末が出ると、途端に旧端末と見られる現状。発売から1年経たずして“1円端末”となるように、携帯の商品寿命は極めて短い。

 GSM圏では、特殊な端末は末永い製品寿命を持つ。年間の販売量は少なくても、長期に渡って販売することで開発費をペイすることができる。

 もちろん、こうした短い製品寿命と似たような仕様の中での熾烈な競争が、急激な端末の進化と、ブラウザフォンやJava端末の急速な普及をもたらしたのは事実だろう。

 しかし、その代わりにSiemensのXelibriのような独特な端末のリリースは日本では難しくなった。一部のユーザーが愛してやまないストレート型端末や防水型端末も、今や姿を消している。「折りたたみ型でないと儲からない」というのが、メーカーの言い分。結局、ドコモのような体力のある大手だけが申し訳のようにストレート型のラインアップを持ち続けている。

 多様性に富んだGSM端末の世界を見て、日本の状況を改めて考え直した。最新の端末があっという間に1円になるのが幸せなのか。それともさまざまなデザインと機能の端末を、ユーザーが自由に選べるほうが幸せなのだろうか。




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[斎藤健二, ITmedia]

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