Mobile:NEWS 2003年4月2日 02:45 PM 更新

「@FreeD」のメリット、デメリット

本サービスが開始されたドコモの定額データ通信サービス「@FreeD」。パケット通信ではなく回線交換ベースでを採用した「@FreeD」のメリット、デメリットを「P-in Free 1S」を用いて洗い出しておこう

 ドコモはPHSでの定額通信サービスである「@FreeD」を提供するにあたり、トラフィックが途絶えた場合に自動で無線通信を切断し必要に応じて通信を再開する「ドーマント方式」(3月17日の記事参照用語)を採用した。@FreeDが従来と異なるのは、ドーマントによって物理的な通信が途絶えても、クライアント、インターネットの両側から接続が継続しているように見えることだ。

 もちろん似たようなことは、わざわざドーマント方式を導入せずとも実現できる。トラフィックに応じて自動でインターネット接続を開始する機能は多くのPCやPDAが備えているし、一定の無通信時間があれば切断する機能もある。また無線部分の無駄な占有を防ぐためならネットワーク側から強制的に切断を行うことだって可能だ。

 しかしドコモは専用端末を準備し、わざわざドーマント方式という新しい網制御を導入した。これはドーマント方式でないと得られないメリットがはっきりとあるからだ。

@FreeDのメリットとは何か

 例えば今時はメールの送受信だって不都合が起きる。直営のアクセスポイント経由以外ではメールの送信に“pop before smtp"を要求するISPは多く、モバイル接続ではこれが適用されることが多い。"pop before smtp"は、POPサーバに接続後一定時間のみ同じ接続からであればメールの送信を許す仕組み。メールの不正送信を防ぐための機能だ。

 例えば@FreeDの場合、メールを受信し、返信作成中にドーマント状態に入っても、返信の送信時に問題は起きない。インターネットとの接続は論理的にはつながったままなので同じ接続とみなされるからだ。

 これが単に一定時間でインターネットから切断されてしまうやり方だと、送信時にインターネット再接続しても再度受信作業を行わないとメールが送信できない。もちろんメーラーが"pop before smtpに対応していれば(送信前に必ず受信作業を行う機能があれば)問題はないが、Windowsで最もメジャーなメールソフトであるOutlook Expressは対応していない。

 Webでも同様な例はある。セキュリティで保護されたサイトの場合一度インターネットから切断すると、再接続してそのまま同じページを表示することができない。よくある個人情報の入力ページがそうだし、インターネットバンキングなどもそうだ。企業ではオンラインでの情報入力システムなどの利用でも同様のことがいえる。仮に定額料金で接続時間が無制限でも、従来の仕組みのまま短時間に接続、切断を繰り返す方式では困る状況はけっこう多いのだ。

 ドーマンド方式であればこれらの問題を回避しつつ、接続数が限られた無線区間を有効に利用することができる。ユーザーから見れば無線区間とはいえ勝手に切断されるのはちょっと……と思う人も多いのだろうが、1基地局に付き3チャンネル(例外はある)という限られた無線区間を有効に使わなければ定額方式の実現自体が難しくなる。少なくとも利用していて違和感のない“つなぎっぱなし”が実現されていることは事実だ。

 回線交換方式をベースとしたことで安定した通信速度を確保できるのもメリットだ。インターネット接続中はドーマント中でない限りきっちり64Kbps(もしくは32Kbps)の帯域が確保され、遅延も少ない。

@FreeDのデメリットとは何か

 回線交換方式+ドーマントで定額制を実現した@FreeDは、有線の定額制サービスなどに比べると、この仕組みがそのままデメリットにもなっている。パケット通信を採用したAirH"とてこの制限から完全に逃れているわけではない。

 まずドーマント状態からは、インターネット側からのトラフィックでは無線部分の接続が再開されない。例えばメッセージングサービスで、ドーマント中にほかのユーザーがメッセージを送信しても、こちらからのトラフィックが発生し無線部分の接続が再開するまでメッセージは受信されない。この現象はAirH"でも発生する場合があるが、@FreeDでは確実に起こる。

 例えばWebを見ながらメッセンジャー、という場合にはそれほど不都合はでないが、メッセンジャーだけだとメッセージが届かない可能性がある。またIRCのようにクライアントの接続状態を監視している場合、ドーマント中にIRCの接続が切断されることもある。

 実際、筆者がPocket PCでIRCを利用していると、手書きで長文を入力している間にドーマント状態に移行してしまい、メッセージを送信すると既に切断されていた、ということもしばしばあった。かなり限られたケースだとは思うが、やはり“無通信状態が1分でドーマント状態に移行する”“インターネット側からのトラフィックではドーマントから復帰しない”というのは問題が起こる場合もある。

 回線交換ベースという点にも不安を感じないわけではない。筆者の自宅近辺では常に64Kbpsで接続していたし、ドーマントからの復帰でも確実に64Kbpsで接続していた。しかしZDNet編集部のある赤坂近辺では32Kbpsで接続してしまう場合もかなりあった。

 @FreeDのサービス開始後はトラフィックが急激に増大する可能性もあり、接続性に関しては若干の不安も残る。都市部に関しては基地局数はDDIポケットに比較しても圧倒的に多いためまだ不安は少ないが、住宅地などでは基地局あたりのカバーエリアが広い高出力タイプも導入されており、基地局数自体が少ない地域もある。AirH"でも見られるように自宅で常時接続として利用するユーザーが増えると、接続性に問題が発生する可能性は否定できないだろう。



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▼ NTTドコモ

[坪山博貴, ITmedia]

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