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2003年4月10日　10:49 PM 更新

いつ、誰が、何に使う？ 腕時計型PHS「WRISTOMO」（1/2）

スパイ映画やSF映画に登場しそうなドコモの腕時計型PHS「WRISTOMO」。PHSとしての使い勝手を試した

　ユニークな端末が生まれにくい日本の携帯電話市場に一石を投じそうなのが、ドコモの腕時計型PHS「WRISTOMO」。Web販売のみで5000台限定発売とのことだが、ZDNet Mobileのアンケートでは40％の人が「興味はあるが買うつもりはない」と答えている（4月8日の記事参照）。ここでは「5万円以下」という希望販売価格に見合う実力があるのかを試した。

デザインと操作性

　ガンメタリックのごつい雰囲気は、どことなくモトローラ製の「パルディオ311M」を思い起こさせる。手首に装着すると、見た目どおり大きくて重い。ただし文句をいうほどでもなく、数時間もするとすっかり慣れていることに気づかされる。アームの内側に取り付けられたシリコン素材のクッションが効果的なのだろう。

　WRISTOMOの使い方は2つある。手首に付けたまま使う方法と、手首から外して使う方法だ。どちらが使いやすいかといえば、絶対に後者。通話はもちろんのこと、メールの送受信、コンテンツの閲覧など、操作部はやはり液晶画面のすぐ下にほしい。液晶と操作部が90度の位置に配置されているのはやや不自然だ。

　ダイヤルキーのない電話機はたいてい使いにくいものだが、WRISTOMOは及第点。カーソルキー、決定キーともに、指がすべることもなくダイヤル操作を行える。10桁程度の電話番号を押すぐらいの操作なら指が痛くなることもない。ただし、そのほかの機能呼び出しやメール作成などは話が別だ。キーの小ささゆえにだんだんストレスがたまってくる。小型デバイスの宿命とはいえ、普通の携帯電話に戻りたくなってしまう。

長袖シーズンはいいとしても、これから夏の半袖シーズンはちょっとつらいかも。まるで大型のフェライトコアだ

わりと高さのあるキーが並ぶ操作部。キーはゴム質で指への引っかかりがよく、意外なほど使いやすい

持ち方によっては小型のPHS端末にも見える。メール作成などはこのスタイルが一番しっくりきそうだ

防水効果もある裏側のクッションは取り外し可能。オプションパーツとして別売りでも販売される

ACアダプタ、およびシンクロケーブルの接続端子

通話端末としてのWRISTOMO

　WRISTOMOの最大の魅力は、イヤホンマイクからの解放にある。これから普及が期待される無線LANを使ったIP電話にとっても、1つのヒントになったのではないだろうか。着脱が容易なリストバンド（アーム）の開発と、イヤホンマイクに頼らない通話スタイルの提案は、まさしくコロンブスの卵だ。

　だが使い勝手を考えた場合、もうひと工夫ほしいところ。液晶画面の上下にレリーズキーが2つあり、そのどちらも押さないとハンドセット形状にならないのだ。いきなり腕から落ちてしまうのを防ぐ意味もあるのだろうが、ワンタッチですぐに使えるようになるのとならないのとでは、ギミックのアピール度が違ってくる。レリーズの同時押しでワンタッチ風にも見せられるが、慣れるのに少々時間がかかりそうだ。

　WRISTOMOはハンズフリーを（といっても装着した側の腕は使うが）サポートしているが、こちらはあまりいただけない。マイクはよく音声を拾うが、スピーカーからの音が聞きにくい。また、トランシーバのように、一方が話しているときはもう一方は話せないという半二重通信であるため、会話が途切れ途切れになる。この切り替えは音声によって自動で行われるため、相手が話している最中にこちらで相槌を打ったり、マイクがたまたま周囲のノイズを拾ってしまうと、その瞬間に相手の声が聞こえなくなってしまう。

　WRISTOMOには公衆（PHS）モードのほか、ホームアンテナ（HA）モードがある。最大3台までのホームアンテナに登録が可能で、電波の届きにくい部屋の中でも使えるよう配慮されている。デュアル待ち受けも可能だが公衆優先になるため、電波の弱いところではホームアンテナモードに固定する必要があるだろう。ちなみに、ホームステーション（HS）、オフィスステーション（OS）には対応しておらず、子機登録によるトランシーバとしては使えない。

[江戸川, ITmedia]

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