Mobile:NEWS 2003年4月14日 05:28 PM 更新

開発者に聞く「WRISTOMO」の真実

SF映画に出てきそうなデザインが話題を呼んだドコモの腕時計型PHS「WRISTOMO」。初号機の売れ行きが今後の開発を左右するという

 腕時計型PHS「WRISTOMO」は、そのデザインからしてマニア向けのPHSというイメージがある。だが製品スペックだけ見ると、マニアが納得するような最強端末には仕上がっていない。単にドコモの技術力を見せたいだけなら、商品化までする必要はないはずだ。この端末を販売する意味は何か──ドコモはどこまで本気なのだろう。開発を担当するドコモMMターミナル開発部担当課長の入鹿山剛堂氏に伺った。

なぜ、腕時計なのか?

 FOMAのコンセプトモデルなどで示されていたように、ここ最近の“未来の電話機”といえばペン型やペンダント型が主流であった。もちろんブレスレット型もその中には含まれているが、制約の多い腕時計型よりもペンダント型のほうが作りやすいはずだ。また携帯電話を時計の代わりに使う利用者が増えたことによって、腕時計離れも進んでいる。それでもあえて腕時計にこだわるのは「常に肌に触れている」という点では腕時計が最適だという判断からだ。

 「ユビキタス社会ではウェアラブルなハードウェアが要求されます。携帯電話も、かかってきた着信にすぐ対応できるよう、常に手の届く範囲に置いてあるのが理想です。ペンダント型も身に着けるという点では腕時計と同じですが、バイブモードにしておくと意外なほど着信に気がつきません。服の上にあるペンダント型より、直接肌に触れる腕時計型が有利なのです。肌に触れているだけならメガネ型や指輪型であってもいいわけですが、使うときにさっと取りやすく、また誰にでも利用できるという点で腕時計になりました」。

 もっとも、腕時計に通話機能を組み込んだのは、古い映画やテレビなどの影響が強くあると入鹿山氏。ウルトラセブンやジャイアントロボの世界を実現したいという思いから、さまざまな意見やアイデアが出されたという。「デザインは昔のSF風にこだわって、今の形に落ち着きました。また、色については30〜40代からシルバーを推す声が多かったのですが、若い世代のファッション性を考慮してガンメタリックになりました」。

 面白かったのが「WRISTOMO」発表記事で引用されたテレビ番組や映画でライターの世代が分かる点だという。「ちょっと上の世代だと流星号(「スーパージェッター」)、その下だとウルトラセブンやディック・トレイシー」。こうした作品ではディスプレイが開閉型になっていたりするが、「(WRISTOMOは)テレビ電話ではないし」ということで見送られたそうだ。

商品開発の苦悩と決断

 これまでになかった商品を開発するに当たって、コストや納期、サイズによる制約などさまざまな障害があったはずだ。WRISTOMOにも実装しなかったもの、実装したかったができなかったものがあった。

 「位置情報(いまどこサービス、用語参照)は、WRISTOMOの利用者が子供やお年寄りではないだろうということで最初から外してあります。10キーがないのは、電話をかける際の9割の操作が電話帳や着信履歴を使うというデータに基づいています。OSモードについては、企業で一括導入するような端末でないということで、これも外してあります」。

 POPメールを採用しなかったのは、ISPによってメールサーバの認証方式が違うためだ。POPメール機能を実装した後の不具合に対応するのは時間もコストもかかるため、今回は3000文字対応のパルディオEメールだけと割り切ったという。

販売への期待と不安

 これまで、「Web上で5000台の限定販売」という情報が流れていたが、厳密にいえばこれは少し違っているようだ。販売方法をWebに限定することは間違いない。問題はその販売数である。現時点での部材の確保、あるいは目標販売台数が数千台ということで、具体的に挙げられたのがおよそ5000という数字である。したがって、決してそれ以上を売らないと決めているわけではない。開発には相当なコストがかかっているため、需要があればいくらでも売りたいというのが本音である。

 だが、売れるからといってそれを1年も2年も売り続けることはないという。腕時計のコンセプトが市場に受け入れられた場合には次機種の開発に取り掛かるため、製造・販売をある時点で終了させる。つまり台数限定というより、期間限定といった方が近いようだ。もっともこれはあくまでも売れた場合の話であって、売れない場合にはまた施策が違ってくる。

 これまでも腕時計型のデジカメやPDAなどが登場しているが、それらはブレイクするには至っていない。入鹿山氏はその理由を機能が中途半端だったからだと見ている。「常に身に付けて使う腕時計と、行動に不可欠な携帯電話(PHS)が一体化することは、市場のニーズにも合っています」。

次機種はどうなる?

 WRISTOMOの通信機能にPHSを選んだのは、消費電力によるところが大きい。現在の技術ではとてもFOMAを採用できないという。では、その夢のFOMA仕様のWRISTOMOはいつごろ登場するのだろうか。また、WRISTOMOの今後はどうなるのだろうか。

 「今回のWRISTOMOは、4月末以降にウェブ上で販売が開始されます。機種変更は扱わず、新規契約のみです。価格は5万円以下ということしか言えませんが、開発コストも含めるととてもそれで利益が出るものではありません。少なくとも1万円や2万円でのご提供は不可能です。仮に5万円だとしても相当なお買い得価格になっています。そうした中で、ご購入いただけるお客様には、実際にどのような使われ方をされるのか、ぜひともフィードバックをお願いしたいと思っています」。

 つまり今回のWRISTOMOの販売台数や、利用者の意見によって、次機種の方向付けが決まるということだ。

 「データ通信への特化や、色、デザインなどの変更など、割とすぐにできることもありますし、液晶のカラー化やFOMAの採用など、新しい電池や技術の開発などが必要なものもあります。燃料電池の開発もまだまだですし、少なくともFOMAでここ1年くらいの間に出せるという状況にはありません」。

 次機種が出ないのなら今のうちに買っておきたいし、次機種が出るのなら今無理して買うこともないと思っている。そんな筆者にとって、ここしばらくの間は、かなり頭を悩ませそうな問題である。



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関連リンク
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▼ NTTドコモ

[江戸川, ITmedia]

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