Mobile:NEWS 2003年6月4日 06:45 PM 更新

スピーカーが近いほど効果を発揮〜40メロミックス、携帯電話で3Dサウンド

ステレオスピーカーを備えた「N505i」の登場に合わせ、ドワンゴは3Dサラウンド着信メロディの配信を開始する。分かりやすい内容のサービスながら、その裏にはダイマジックやCELLの独自技術に基づいた苦心がある

 ダイマジック、CELL(セル)、ドワンゴの3社は協同で携帯電話向け3Dサウンドコンテンツ配信技術を開発した。6月11日から、3キャリア対応の着信メロディサイト「40メロミックス」で提供を開始する。

 対象となるのは2つのスピーカーを持つ端末。現在、J-フォンの「J-K51」、ツーカーの「TK21」が販売されているほか、ドコモからも「N505i」が予定されている。

 「携帯でサラウンド技術を実現できる」とダイマジックの浜田晴夫社長。同社はデジタル信号処理により、音が耳に到達するまでの伝達時間や波形、位相、音圧などを元にデジタル信号処理を行い、あたかも複数のスピーカーがリスナーを取り囲んでいるかのように聞こえるサラウンド技術を開発した。これまでもオーディオスピーカーやヘッドフォンなどに搭載されている。

 携帯電話のステレオスピーカーでは2つのスピーカーが近接しているため、通常の再生ではステレオ効果を生み出すのが難しい。ダイマジックの技術では「逆に近接したことで、振幅差、位相差などの結果がよかった」と浜田氏は説明する。

配信にはADPCM断片のライブラリ技術を活用

 ダイマジックの技術は、実はケンウッド製の「J-K51」に既に実装されている。ただし同社の技術が生かされるのはプリセット楽曲に限られていた。ダウンロード可能な10Kバイト程度というサイズのファイルに、3Dデータを入れ込むことが難しかったためだ。

 携帯電話の着信メロディは、いわゆるMIDIを使うものが主流。音符データをダウンロードし、端末内の音源チップがそれをメロディに変換して再生している。ダイマジックの技術を利用するには、波形の形でデータを送信する必要があるが、携帯電話で利用できる波形データであるADPCMは10Kバイトのデータで数秒しか再生できない。

 これを解決したのが、CELLのライブラリ技術だ。波形データを連続して再生するのではなく、細切れに分割。同じデータを使い回したりアレンジしたりして、長時間の再生を可能にした。CELLは既に替え歌を可能にする着信メロディサービスでライブラリ技術を活用しており、ユーザーが入力した文字に従って着メロを生成することも可能にしている。「“か”は“K”と“A”に分かれる。“A”の音を共有化することで、少ない容量で替え歌を実現した」とCELLの坂本義親副社長は説明する。

シングルスピーカーでも効果あり。チップ化も進める

 ダイマジックの浜田氏は「シングルスピーカーでも(同社の技術を使えば)ふくらみのあるような音を出せる」と、今後の展開を話す。

 さらに同社の技術をハードウェア化したチップも投入が予定されているという。端末内にダイマジックの3D化技術が実装されれば、一般的な着メロのデータでも、再生時に3D変換を行って広がりのある音で再生できるという。ただし、元々のデータから作り込むのに対し「プリプロセスではチャンネル数の制限はないが、(チップでは)2chに制限されることになる」(浜田氏)。

ドワンゴ、着メロだけで310万会員

 ドワンゴは、この3Dサラウンド着信メロディで会員増にさらに弾みをつけたい考えだ。着信メロサイトとしては後発に含まれる同社は、急速に会員数を伸ばした。6月時点で3キャリア合計、310万契約。iモードだけの集計では、ついに上位4社に入り、ゲームなども含めたドワンゴ全体では350万人を数える。

 同社の小林宏社長は「新サービスで、年内に着メロだけで400万人オーバーを実現する」と意欲的だ。斬新な新サービスとタレントを起用したCMで、急速に会員を増やした同社の勢いはまだ止まりそうにない。



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[斎藤健二, ITmedia]

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