Mobile:NEWS 2003年7月2日 03:25 PM 更新

欧州はモバイルサービス元年〜バンダイの渡辺氏

「欧州で苦戦」といわれている携帯電話の非音声サービス。2003年度中には、欧州各国でもトップシェアの通信キャリアがサービスを開始する見込みで、マーケットの拡大が期待される。

 「2003年度は欧州モバイルサービスのイントロダクションの年になる」──。こう話すのは、バンダイネットワークスで欧米チームを率いる渡辺求氏。エッジが開催した最新モバイルソリューションセミナーで、欧州モバイルマーケットの動向を解説した。

 バンダイネットワークスは、この6月にドイツのiモードで提供が始まったJavaサービス向けにゲームを提供。そのほかでも欧州ボーダフォンや米スプリント、米ネクステルにJavaゲームを提供するなど、早い段階から欧米でのリッチコンテンツ配信を行っている。

欧州モバイル元年の理由

 渡辺氏が2003年度を「欧州モバイルサービス元年」と見る理由は、欧州各国でトップのシェアを持つ通信キャリアが、ブラウザダウンロード型のサービスを開始し始めたからだ。

 欧州では2002年3月にドイツのE-plusを皮切りに、オランダのKPNモバイル、ベルギーのBASE、フランスのブイグがiモードサービスを提供。この6月にはスペインでもサービスが始まり(6月26日の記事参照)、利用者もようやく海外全体で約60万人に到達したという。ドイツではカメラ付きのJava対応端末「n341i」も投入されるなど、次のステージにさしかかろうとしている国もある。

 そして2002年10月にはボーダフォンが日本のJ-スカイライクなサービス「Vodafone Live!」(用語参照)を欧州8カ国で開始。対応端末のシャープ製「GX10」は、2月末で70万台を突破、サービス利用者は150万を数えるなど好調に推移しているという。

 こうしたサービスはこれまで、2番手3番手の通信キャリアが差別化のために導入した感があったが、サービスが盛り上がりを見せ始めるにつれ、トップのキャリアも動きを見せ始めた。「やばいぞ、ということで、CeBit(特集記事参照)に合わせてプレスを打ってサービスを始めた」。

 パワーもお金もあるNO.1キャリアが参入することで認知度が上がり、マーケット規模が拡大すれば、欧州全土での盛り上がりを期待できるというのが渡辺氏の分析だ。


欧州のブラウザダウンロード型データ通信サービスの提供状況。赤い文字はVodafone Live!系、青い文字はiモード系サービスを示す


欧州通信キャリアの携帯電話加入状況。多いところではドイツが約5500万人/人口普及率67%、イタリアが約5000万人/人口普及率87%など、日本の7700万人/人口普及率約60%に迫る勢い(人口普及率については、1人で複数端末を所有するユーザーやプリペイドユーザーが欧州では多いため、単純に比較できない)。欧州全体の加入総数は約2億5000万/人口普及率75%と「マーケットサイズは大きく魅力的」(渡辺氏)。

コンテンツプロバイダの個性を出しにくいVodafone Live!型サービス

 渡辺氏は、iモード型サービスとVodafone Live!型サービスの違いについても言及。大きく異なるのは課金体系と、通信キャリアとコンテンツプロバイダのかかわりだ。

 iモード型の例として挙がったのは、比較的成功しているフランスのブイグ。iモード利用者数は、海外iモード人口全体の約3分の1にあたる20万人を獲得している。日本のiモードスキームを忠実に再現しているブイグは、コンテンツ料金も月額課金を採用。人気のコンテンツは着メロや待ち受け画面であるなど、ユーザーの反応も日本に近いという。バンダイコンテンツの中で人気なのは、ハローキティや永井豪のキャラクターを扱うサイト。日本より若干利用者層が高めで、「35歳前後が多い」というフランスのiモードでは、そうしたユーザーが子供のころに夢中になったキャラクターのコンテンツがウケるそうだ。

 Vodafone Live!は、1ダウンロードごとに課金が発生する都度課金型で、「ダントツで人気なのはJavaゲーム」。国やゲームにもよるというが、ゲーム1アプリの価格は日本より若干高めで、中には「900円ほどになるものもある」。しかしこうした値段にもかかわらず、驚くほどのダウンロード数なのには、渡辺氏も驚いたという。

 コンテンツはこれまで欧州で主流だったSMSやMMSサービスと、Webダウンロード型が混在した形でメニュー内にあり、ユーザーに分かりにくい面もあるようだ。

 コンテンツプロバイダと通信キャリアとの関係は、「コンテンツプロバイダは制作したコンテンツをボーダフォンに預け、それをボーダフォンが販売する」といった形。このためiモードに比べると、コンテンツプロバイダの個性が出しにくい面がある。コンテンツプロバイダがコンテンツをホスティングする必要がない半面、どのようにユーザーに認知させて囲い込むかが重要になってくる。


同じリッチコンテンツの配信でもメニュー構成や課金体系は異なる。日本でもJ-フォンが3Gから都度課金型を取り入れることを検討している


Vodafone Live!では、端末ごとに利用できるアプリが異なるため、ダウンロードランキングも端末によって違ってくる。サービス開始直後は日本や韓国のコンテンツが多かったが、最近では欧州や米国のコンテンツも増えてきたという



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[後藤祥子, ITmedia]

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