Mobile:NEWS 2003年7月17日 00:13 AM 更新

「GSM陣営がW-CDMAへ移行」は勘違い〜クアルコム

DMA2000だけでなくW-CDMAも実は手がけるQualcommは、GSM陣営向けにCDMA2000へのアップグレードパスも用意している。W-CDMAへの移行にためらいを見せるGSMオペレータを、段階的にCDMA2000に誘導するのが狙いだ。

 WIRELESS JAPAN 2003の講演に立ったクアルコムジャパンの松本徹三社長は、「QualcommがアンチW-CDMAだと思っている人がいるが、大きな誤解」だと話した。ただし、CDMA2000のほうが優位性があるのは間違いないと言い、GSM陣営でもCDMA2000に移行できるアップグレードパスを用意したと話す。

W-CDMAも手がけるQualcomm

 世界の第3世代携帯電話サービス(3G)は、ドコモなどが推すW-CDMA規格と、Qualcommが推すCDMA2000規格の事実上2種類に分かれている。そうしたことから、W-CDMA対CDMA2000の対立軸で語られることが多い。

 しかしQualcommの最新ロードマップには、W-CDMA(UMTS)だけでなく、HSDPA対応の「MSM6275」も記載されている(6月26日の記事参照)。

 「(Qualcommでは)8割くらいの技術者はW-CDMAの開発をやっている。いったん規格が決まれば、すべてをサポートしていく」(松本氏)


 CDMA技術についての特許の多くはQualcommが保有しており、W-CDMAでもQualcommの技術とは無縁でいられない。FOMAにも「Qualcomm 3G CDMA」というシールが貼ってある。結果、W-CDMAが流行ってもQualcommは儲かる。

 「最後にいくのが富士山のてっぺんだとすると、静岡側から上るか山梨側から上るかの違い。CDMAであれば目標は同じ。ただしCDMA2000のほうが少々先行している」  Qualcommにとっては最大のライバルはGSMであり、松本氏が「われわれは両方のシステムの成功を望む」と話すのも当然のことだ。

「GSM陣営がW-CDMAへ移行」は勘違い

 とはいえ、技術的な優劣を語らせると、松本氏はCDMA2000に軍配を上げる。一つは、「W-CDMAとEV-DOを比べると、周波数が同じならば、2倍から3倍の効率がいい」という点。

 もう一つは、“ワイドバンド”の名の通り、W-CDMAが1チャンネルあたり5MHzという広い周波数帯域を使うのに対し、CDMA2000は1.25MHzで済むという点だ。

 これは、日本の通信キャリアのように携帯電話用に豊富な周波数帯域幅が用意されているところではあまり問題にならない。しかし、欧米などではW-CDMA導入の大きなネックになると同氏は指摘する。

 「W-CDMAに移行しようと思っても、初めから5MHzが必要だし、ガードバンドがいる。全世界の7割を占めているGSMがW-CDMAに移行できる確率はほとんどゼロに近い。ドコモやVodafoneのように2GHzの帯域を取ったところはいいですよ。体力のないところ、周波数が買えなかったところはどうするんですか?」

 全く新しい周波数帯にW-CDMAネットワークを構築するのならともかく、現在利用している周波数帯を順次移行するのは難しい。1チャンネルに必要な周波数幅が大きいからだ。

 そこでQualcommが開発したのが、GSM 1xという規格。無線部分はCDMA2000 1xを使い、コアネットワークはGSMのものをそのまま利用するというものだ。これで、「無線環境だけを序々に1xに移行する。必要のあるところから、GSMオペレータが3Gに移行するというシナリオが描けるわけです」(松本氏)

 GSM 1xが導入されれば、CDMA2000対応の端末を使ってのローミングも可能になるなどのメリットもある。各国で携帯電話サービスが始まり、世界の趨勢が固まりつつある中、その7割を占めるGSMに食い込める可能性があるのは大きい。




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関連リンク
▼ 米Qualcomm

[斎藤健二, ITmedia]

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