Mobile:NEWS 2003年10月8日 07:49 PM 更新

“機能切り分けの美学”〜三菱コンセプトモデルが目指すもの

一見、よくある“未来の携帯”だが、奥に秘められた思想は、携帯の未来を占う上で重要。三菱の担当者は「そろそろ携帯にもペリフェラルバスを」と訴える。

 三菱電機はCEATEC JAPAN 2003で、カメラやテレビチューナをモジュール化して脱着できる携帯電話のコンセプトモデルを展示した。CeBIT 2003でも展示されたモデルだが(3月13日の記事参照)、今回は内蔵無線LAN(IEEE802.11b)を動作させ、撮影した画像を画面に表示させるデモを行っている。


端末で撮影した動画を無線LANで送信、会場の液晶ディスプレイに表示するデモを行っている。ただし、端末本来のコンセプトは、無線LANとは別にある

 「カメラが付いてGPSが付いて……携帯が難しい機械になりすぎていませんか?」。三菱の担当者は、そう問いかける。

 多機能を維持した上で、どうやったら、誰もが使いやすい携帯になるのか。三菱の回答は、「画面とキーといったヒトに近い部分を作り上げた上で、機能はアドオンにする」というものだった。

 折りたたみ型ながら、液晶が左右に回転する機構を備える本体。そこに、カメラモジュールやGPSモジュール、テレビモジュール、ゲームモジュールなどを、用途に合わせて脱着して使う。

 機能に特化した操作──カメラのモード選択や、テレビのチャンネル選択・ボリューム選択などは、敢えて本体側ではなくモジュール側に設けることで、「メニュー選択を直感的に分かりやすくする」ことを目指している。


ゲーム、光学ズーム付きメガピクセルカメラ、GPS、デジタルテレビチューナー──。そうした機能を、それぞれ個別のモジュールとして提供する

そろそろ携帯にもペリフェラルバスを

 単にコンセプトを形にしただけでなく、このコンセプトモデルは、未来の三菱端末がどうなるのが望ましいのかを試す、試験的な端末でもある。「いろいろな意味で機能分化」(三菱)が進んでおり、OSも従来の端末と異なる。

 さらに、「携帯にはこれまでペリフェラルバス(周辺機器接続用のバス)という概念がなかった。そろそろ必要な時期ではないか」と担当者。

 機能別のモジュールを脱着するなら、接続のインタフェースは共通化されることが望ましい。ペリフェラルバスといえば、USBなどが考えられるが、「PC向けに作られた何メートルもケーブルを伸ばすことを想定したバスは携帯には不向きではないか」と担当者は考えを話す。

機能ごとに、ソフトもハードもモジュール切り分け

 そして機能の物理的分化に伴って、内部のソフトウェアも分化を進めるべきだと言う。昨今、多機能化する携帯のソフト開発に対応するために、“どのOSを採用するか”はよく話題に挙がる。しかし「中身の話ばかり」(担当者)で、機能をどのように実装していくのかは、あまり進展がない。

 液晶の回転やカメラ、GPSを見るのではなく、機能をモジュールごとに切り分け、さらに対応するソフトウェアもモジュール構造にする──この端末が訴えたいのは、そうしたコンセプトにある。開発効率や信頼性の向上だけでなく、ひいてはそれがユーザーにも優しいインタフェースを実現する。

 この形状のまま市販化する予定はないというが、来年以降の三菱製端末に、このコンセプトが引き継がれることが期待される。



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[斎藤健二, ITmedia]

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