ラジオ中継を変える“魔法の箱”〜「FOMA高品位音声中継システム」“いつでもどこでもどこからでも”をラジオの世界に──。ドコモと文化放送は共同で、FOMAを使った小型のラジオ中継器を開発することで合意した。2004年6月の完成を目指す。
機材や車の手配、回線の確保──。ラジオの生中継をするには事前に各種手配が必要な上、多額のコストがかかり、機動力を生かした企画を実現できなかったという。それを解決する“魔法の箱”が、ドコモと文化放送が共同開発する「FOMA高品位音声中継システム」(11月17日の記事参照)。2004年の6月の完成を目指して開発が進められ、自社での利用のほか、コミュニティFMや地方局、海外の放送局にも売り込みたい考えだ。
FOMAを内蔵した中継器は、データ変換されたレポーターの音声を384Kbpsパケット通信でラジオ局に送信する。送信されたデータは局側で音声に変換され生中継が可能になる。 中継器の試作機は重さ約3キログラムでレポーターが担いで持っていける大きさ。FOMAが使える場所ならこの中継器だけ持っていけば、どこからでも生中継ができるため、「コスト削減に直結するうえ、これまでできなかった新しい番組開発ができる」と、文化放送の佐藤重喜社長も期待を寄せる。 移動しながら安定した通信が行えるため、生中継が容易に行えるのも特徴の一つ。これまで時間や労力の面から難しかった、長距離トラックの同乗レポートや、電車からの中継といった企画も可能になるという。 またFOMAはW-CDMAという国際標準に準拠しているため、「3Gが広がれば海外からの報道中継への対応も考えられる」(ドコモMM企画部 技術戦略担当部長の松木彰氏)。 パケット通信を使うメリットについてドコモは「回線交換では(つなぎ続ける必要があるため)中継システムにありがちなスタンバイ時にもお金を払い続けることになる。また将来的に画像を通したりすることも考えてパケット通信を選んだ」と説明。ただし「中継器にスイッチのようなものが付いていて、品質重視の場合とコスト重視の場合で(回線交換とパケット通信を)切り替えられる」のが理想の形だという。
FOMAを使った中継器には、ラジオ放送で重要視される音質や、遅延の問題を解消する仕組みも取り入れられている。「音声部分にはデータ通信の上で音声を流すVoIP技術を搭載。電話だとこもったような音になるので、高品質な音声をやり取りするためのコーデックを乗せている」(松木氏)。また技術的な工夫で遅延が起きにくくしているため、「局側とレポーターとの会話の掛け合いでも音声がぶつかることはない」。 通信時のパケット料金は「1分あたり数十円−数百円」(ドコモ)。中継器投入に当たって特にラジオ通信用の回線やパケット料金を用意する予定はないという。 開発中のため製品版のスペックは固まっていないが、多地点からの同時中継機能や、中継を行っている端末へのテキストによるメッセージ送信機能などにも対応させたい考え。音質もCDクオリティのものまで高めたいとしている。
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