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2003年12月4日 05:56 PM 更新
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携帯ショッピングの現状と可能性(3)
イベントと相性がいい携帯ショッピング
携帯カメラを使った“参加型携帯ショッピング”の「阪神胴上げポスター」は、1万3700部を販売、ユーミンや平井堅、Mr.Childrenのコンサートでのグッズ通販も携帯からの受注が好調だ。イベントで高揚した気分が携帯ショッピングに結びつきやすいと見られる。
コミュニケーションツールとして日常生活に浸透する携帯電話。この携帯性とアクティブ性に着目し、イベント的なシチュエーションに携帯ショッピングを取り入れて成功する事例が見られる。イベント時になぜ携帯ショッピングがウケるのだろう。
携帯カメラを利用した“参加型携帯ショッピング”
今年、18年ぶりのセ・リーグ優勝を決めた阪神タイガース。読売テレビは、この18年ぶりの快挙を祝い“「ケータイでメール。1万人の笑顔。胴上げポスターお願いね。」キャンペーン”を企画した。
このキャンペーンは、ファン1万80人分の顔写真で星野仙一監督の胴上げシーンをコラージュし、B1サイズのポスターを作成するというもの。ポスターは1枚2800円で販売されるが、ポスターに参加するだけならば無料だ。ポスターへの参加、あるいは購入を希望するファンは、携帯カメラで撮影した顔写真を携帯メールに添付して応募する。カメラ付き携帯電話を使った、参加型の携帯ショッピングなのが特徴だ。
9月3日から始まったキャンペーンサイトへのアクセスは、10月末時点で16万アクセスを突破した。実際に顔写真が送られてきたのは3万3000人分で、ポスターの販売数は約1万3700部。2カ月ほどで、3800万円以上を売り上げた。
読売テレビ事業局の斎藤敬局長補佐は、「携帯電話には“放送と通信の融合”という点で、その可能性に期待しています。今回のイベントはトライアル的なものでしたが、テレビで呼びかければ、手持ちの携帯電話を使って多くの方がアクションを起こすことが検証できました」と話す。
今回のイベントでネックになったのは、年配ユーザーへのフォロー。応募は若い人が圧倒的に多かったが、甲子園球場にイベント用ブースを構えた時には大勢の年配ユーザーが「写真を撮影してほしい」と詰めかけたという。年配ユーザーには携帯電話の操作が障壁になったようで、操作面での幅広いサポートが今後の課題になりそうだ。
コンサートで高揚した気持ちをグッズ購入に結びつける
アーティストグッズの販売を手がけるアクア(ハンズオン・エンタテインメントグループ)では、コンサート会場でアーティストグッズの通販カタログを配布している。以前は電話による受注を行っていたが、2002年の4月から携帯ショッピング向けのASPサービスを導入。カタログで気に入ったグッズを見つけたファンは、専用の携帯サイトにアクセスしてアーティストグッズを注文できる。これまで平井堅やユーミン、Mr.Childrenなど多くのコンサートで、この携帯ショッピングによるグッズ販売を行った。
アクアの島村努氏は、「携帯電話を所有するお客様が増えていますので、携帯電話での申し込みは着実に増えています。携帯電話を持っていない方をフォローする意味で電話受付も継続していますが、携帯ショッピングを利用される方の割合がすでに9割以上」と話す。
利用時間帯を見ると、コンサート後の帰宅途中くらいの時間から注文が増えはじめ、夜11時から深夜2時ごろまでがピークになる。「友達とコンサートの感想などのやり取りが終わったあと、ベッドに入ってから注文することが多いようです」(アクアの島村氏)。
アクアを含むエンターテイメント分野や各業界向けに、携帯ショッピング用ASPサービス「Mobile order」を提供するビジョナリーの野村輝法社長は、イベント会場での携帯ショッピングについて、「感情が高揚した時に即アクションを起こせるツールとして、携帯電話は最適。イベントで高まったファンの購買意欲を上手くサポートしている」とその効果を分析している。
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関連リンク
読売テレビ
ハンズオン・エンタテインメントグループ
ビジョナリー
[中村実里, ITmedia]
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