隠れた人気PDA~無線LAN+SDカードの「h4150」:PDA Talk
PDAの世界でも春商戦に向けた新製品が登場し始めている。今回は、日本HPの無線LAN内蔵小型Pocket PC「h4150」をご紹介しよう。
携帯電話のみならずPDAの世界でも、春の新製品が話題になっている。コンシューマーの注目はCLIEの新製品「PEG-TH55」(2月10日の記事参照)に集まっているようで、店によっては品切れが続くなど、好調な立ち上がりを見せている。売れ筋上位も色違いの2モデルが独占しているほどだ。
PDAの中には、ベスト10には登場しない隠れた人気商品もある。例えば日本HPのiPAQ Pocket PCシリーズだ。Webの直販がメインのため、販売店を対象とした売れ筋ベスト10にはなかなか登場してこないのだ。
そんな日本HPが満を持して投入したのが、無線LAN内蔵の「h4150」(1月29日の記事参照)。CF+SDのデュアルスロットを備えた「h2210」(2003年9月の記事参照)に比べて価格が高い上、CFカード型通信カードを使えないといった制約はあるが、動作が機敏で使い勝手もいい。
ソフトは、Pocket WordやPocket Excelなどのほか、メモリの内容を自動的にバックアップしてくれる「iPAQ Backup」や画像の拡大、縮小、回転表示、スライドショーに対応した画像ソフト「iPAQ Image Zone」などがバンドルされる。
h4150の魅力
h4150の魅力の一つはデザインのかっこよさ。好みもあるので一概にはいえないが、「h1920」「h1937」「h4150」と続く中でデザインがどんどん洗練されていった。特にボディ下部のカーブは絶妙。アプリケーションボタンや5Wayボタンの押しやすさ、持った感触も向上している。
動作がキビキビしているのもいい。Windows CE用のベンチマークソフトBMQ Version 0.31の結果は、Itte. 1215、Float 108、Draw 300、Window 300、Memory 1255、Total 635だった。英語版のiPAQ Pocket PC h4350とほぼ同等で、h2210よりは遅い結果だ。もっとも、実際の画面の切り替えやプログラムの起動、リスタートの速度などは、h4150のほうが速い印象を受ける。CPUはh2210と同じXScale PXA255 400MHzだが、後発な分グラフィック周りを中心にチューニングされているようだ。
ただし、CFカードスロットを備えていないことから通信面での制約はある。SD/IO対応で、Bluetoothと無線LANが内蔵されているとはいえ、Bluetoothや公衆無線LAN環境がまだそれほど整備されていない日本ではネットワークの利用には限界がある。SD/IOに対応したAirH"カード「AH-S101S」も発売されているが(2002年12月の記事参照)、このカードは128Kbpsのパケット通信には対応していない。
またGPSカードを使う場合も、デュアルスロットならデータの保存に使えるSDカードスロットが埋まってしまうため、地図データを本体の64MバイトのRAMの中に保存しなければならない。例えばGPSの地図としても使える「Super Mapple Digital 4」は、山手線内の地図データだけで数十Mバイトになる。本体メモリにはよく使う場所だけを入れ、他はSDに入れて適宜入れ替えて使う──といった手間が必要になる。
さらに液晶を下部から見た場合、薄茶色に見えてしまうのは「h1937」(2003年9月3日の記事参照)から変わっていないマイナス点だ。
昔のPalmを思い出させる使い勝手
いくつかの難点はあるものの、使っているうちにすっかりh4150に惚れ込んでしまった。普段使っているh2210に比べてわずかにスリムな分だけ、胸ポケットへの収まりもいい。
また無線LANを内蔵しているので、会社や家庭に無線LAN環境が構築されていたり、行きつけの公衆無線LANスポットがあるならインターネットアクセスに問題はない。バッテリーが意外に持つので、Webブラウズやメールだけでなく、“Pocket PCでインターネットラジオを聞く”といった使い方もできる。
32kbpsまでの速度でしか利用できないが、メールやニュースサイト中心に閲覧するならSDカード型PHSもけっこう使える。
キビキビした動作、スタイリッシュなボディデザイン──h4150は、昔のPalmを思い出させるようなPDAだ。
- h4150とh2210のスペック比較
h4150 | h2210 | |
サイズ | 71×14×114ミリ | 76×15×115ミリ |
重さ | 約132グラム | 約144グラム |
外部スロット | SDカード(SD/IO) | SDカード(SD/IO)、Type II CFカード |
CPU | XScale PXA255 400MHz | |
メモリ | RAM64Mバイト/ROM32Mバイト | |
通信 | Bluetooth version 1.1、IEEE 802.11b | Bluetooth version 1.1 |
関連記事
- デジタル手帳CLIEの進化形、「TH55」を試す
“紙の手帳”を意識して設計されたのがCLIE「PEG-TH55」。新インタフェース「CLIE Organaizer」の採用で、これまでのどのPDAとも異なる使い勝手に仕上がった。ハードウェア、ソフトウェアの両面からTH55の使用感に迫る。 - CF+SDスロット搭載のコンパクト、iPAQ h2210を試す
日本HPからPocket PCの新モデルが登場した。CF+SDのデュアルスロット搭載機としては世界最小、iPAQとしても初のデュアルスロット搭載機であり、国内の通信事情にもマッチした注目の製品だ。 - 日本HP、無線LAN搭載で小型軽量の「iPAQ Pocket PC」
- SDカード型AirH"端末「AH-S101S」を試す(1/2)
AirH"対応端末にはPCカード型、通話端末型、CFカード型、USB対応型の4種がある。5種類めの端末として登場したのがSDカード型「AH-S101S」。公衆通信デバイスとしてはおそらく世界最小であり、SDIO対応のスロットを備えたPDAを持つユーザーには待望の製品だ - 小型軽量ながら通信も可能~iPAQ Pocket PC「h1937」を試す
Pocket PC 2003を搭載した小型軽量の「h1937」。シャツのポケットにすんなり入る大きさながらPHSでの通信も可能になり、利用範囲の広がりに期待が持てる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.