Mifare【まいふぇあ】
数ある非接触ICカード規格の中でも、TypeAと呼ばれる「Mifare」は世界で最も利用されている技術だ。
Mifareは蘭Philipsの開発した、非接触ICカード技術。非接触ICの規格のうち、ISO 14443では13.56MHzの無線を利用した近接型通信(10センチ以下)の非接触ICカードの方式が定められている。ISO 14443はさらにTypeA、TypeB、(TypeC)の3つに分けられており(6月8日の記事参照)、MifareはこのうちのtypeAに準拠したICカードとなる(2002年9月18日の記事参照)。
Mifareは欧米を中心に、電子マネーや入退出管理、交通系カードなどに広く利用されている。具体的にはロンドン、北京、ソウル、モスクワの公共交通システムでMifareが採用されているほか、オランダ公共交通システムでは列車、バス、地下鉄などでシームレスに利用できるよう全国展開が図られているという。
Mifareカードの発行枚数は、既に世界中で4億枚近く(2003年11月)に上り、200万台以上のリーダーが導入されている。ちなみに、高速通信性を高めたTypeCに分類されるソニーのFeliCa(用語参照)は、同時期で3800万枚のカードが発行されたとアナウンスされており、MifareはFeliCaのおよそ10倍の市場を持っていることが分かる。
現在は、Philipsとソニーの両社によって、MifareとFeliCaそれぞれのの上位互換規格にあたる「NFC(Near Field Communication)」が共同開発されている(3月18日の記事参照)。NFCはMifareおよびFeliCaと同じ13.56MHzの周波数帯を使い、最大速度212Kbpsの通信を行う技術。既にISO 18092、ECMA 340、ETSI TS 102 190で国際標準規格として承認されている(2003年12月8日の記事参照)。
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