携帯+非接触IC=?非接触ICが、モバイル機器の分野でも近距離通信向けに注目され始めている。携帯と非接触ICの組み合わせで何ができるのか。そして非接触ICとはいったい何なのだろうか
非接触ICが、モバイル機器との関わりにおいても今後面白い位置を占めそうだ。非接触ICカードは、既にビットワレットの電子マネーサービス「Edy!」や、JR東日本の乗車券システム「Suica」に利用されているほか、企業の入館IDなどにも導入が進んでいる。 携帯電話とからめたサービスでも、NTTドコモとソニーなどがパケット通信を使って電子マネーをチャージ(ICカードに入金すること)する実験を行った(2001年6月の記事参照)。また日経BP社は凸版印刷の技術を用い、10月16日から開催される「WPC EXPO 2002」において携帯電話と非接触ICを組み合わせた情報サービス「Touch Info Service」を提供する予定だ。 モバイル機器──例えば携帯電話と非接触ICを組み合わせることで、1)携帯ユーザーが特定の場所に来たときに情報を通知する 2)ICに電子マネーを入金し携帯を財布にする、といったことが可能になる。 (1)はBluetoothの活用法として散々言われた情報ホットスポットとしての使い方だ(2001年11月の記事参照)。非接触ICは安価な低機能のものでいい。Touch Info Serviceもこの使い方の1つだ。(2)は分かりやすく言ってしまえば、Edy!やSuicaを携帯に入れてしまおうというものだ。従来面倒だった入金作業も、携帯電話の通信機能を使うことで簡単に、そして単体で完結する環境が整うわけだ。
携帯電話がネットとの通信だけでなく“リアルとの連携”を進めるにあたって、非接触ICが果たす役割は今後ますます増大していくと思われる。 では、非接触ICとは何なのだろうか。
一般にICカード(チップ)とは、ICが内蔵されたチップカードを指し、ICはCPUとメモリから構成されている。そして外部との通信方式によって、接触型と非接触型の2つに大きく分けられる。 接触型は、ガソリンスタンドのポイントカードやクレジットカードなどでも採用例がある。表面に金色の端子が付いたカードを見たことがあると思うが、GSM端末や第3世代携帯電話に利用されているSIM(USIM)カードも、その1つ。カードを読み取り装置に差し込み、接点を通じて電力の供給と情報をやり取りすることから接触型と呼ばれる。 非接触ICには接点がなく、カードに埋め込まれたアンテナを使って電力供給およびデータ通信が行われる。用途によって「RF-ID」や「RFタグ」と呼ばれることもあるが、基本的にはどれも同じものを指すと考えていい。 また、「ICカード」「非接触ICカード」と“カード”を付けて呼ぶ場合は、クレジットカード大の大きさで、強力なCPUを積み金融や決済に利用されるものを指す場合が多い。
非接触ICにはいくつか通信方式があるので、簡単にまとめておきたい。まず、利用する電波の周波数は2.4GHz帯のマイクロ波を使うものから、赤外線、125KHz、4.9KHzなどさまざま。ただし、ICカード用途には13.56MHzを使う近接型(ISO14443)と近傍型(ISO15963)が中心だ。ほかの周波数は物流向けの管理システムやID管理などに利用されることが多い。
この近接型も、通信方式の違いによってTypeAとTypeBの2つが標準化されている。TypeAはPhilipsが開発したMIFARER仕様が一般的。TypeBは住民基本台帳のICカードなどに利用されている。どちらもメモリのみのものとCPUを搭載したものがあるが、TypeBはCPU搭載が必須で、メモリ容量も一般に多い。 ただしEdy!やSuicaが利用している、ソニーが開発した「FeliCa」は、TypeAでもTypeBでもない。これが、また話をややこしくしている。FeliCaは高速通信性などを高めたもので、標準化はこれからだが一般にはTypeCと呼ばれている。
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