RF IDリーダー搭載も~ドコモが描く近未来:WIRELESS JAPAN 2004
HSDPAによる通信の高速化、インフラのIP化、RF IDとの連携、「テレビ電話を超えるような」新しいコミュニケーションサービスの開発。ドコモは2010年までに、さまざまな事業を計画している。
FeliCa携帯を市場に投入するなど、携帯の新たなステージを切り開こうとするドコモ。今後を長いスパンで考えたとき、どのような戦略を練っているのだろうか。
7月21日、ワイヤレス ジャパン 2004で開催された「ワイヤレスコンファレンス2004」に、ドコモの常務取締役、歌野孝法氏が登場。同社のロードマップを示した。
携帯をRF IDリーダーに
ドコモの予定として、歌野氏がまず挙げたのは「非音声系サービスの拡大」。中でも、ユビキタス社会を実現する“RF ID”を利用したサービスに言及する。
歌野氏は、RF IDリーダーにドコモのパケット通信端末を内蔵した組み込み端末を用意するほか、携帯そのものをRF IDリーダーとすることも考えていると話す。RF IDアンテナを家庭に設置し、メガネやハンコなどに固有のIDをふることで、「所在が分からなくなった際にIDを呼び出して音を出させる」といった応用例も示された。
同氏はまた、「ここから先は『こうあったらいいな』ということを含めての話」と断った上で、開発中の近未来型サービスを紹介する。
新しいコミュニケーションの手段として考えられるのが、ヒューマンインタフェースと密に連携したサービス。例えば、声を出さずに「口パク」で話しても、口腔周辺の神経信号を認識して相手に音声を伝える。
あるいは、触覚センサや触覚ディスプレイを用意し、5感で感じられるあらゆる情報をネットワーク経由で伝達する。「視覚・聴覚を超えた触覚によるコミュニケーションを創造する」。
歌野氏は、2010年頃にはテレビ電話の技術はホログラムによる3D映像表示が可能なまでに進化しているという(下図参照)。「夢物語的だが、こんなことを考えながら開発を行っている」。
2007年までにフルIP化
サービス以外に、インフラ面の予定も話された。まず話に挙がったのは、W-CDMAの高度化であるHSDPAだ(3月3日の記事参照)。同社は、2005年からHSDPAの導入を予定している。
最大14Mbpsをうたうサービスだが、歌野氏は「どこででも14Mbps出るわけではない。平均すると、2~3Mbpsぐらいだ」と実際のところを話す。とはいえ、そのメリットは高速化だけではなくインフラコストを抑えられることにもある。
「伝送効率は約3倍になる。ビットあたりのコストは3分の1になるというわけでもないが、2分の1ぐらいになるだろう」
コスト削減という観点でいえば、同社のコアネットワークをIP化することも重要な施策だ。これまでATMベースだったものを、フルIP化することになる(3月3日の記事参照)。このIPネットワーク上で、音声もデータもストリーミングコンテンツも流せるようにする。
(左)2004年までに、「Mzone」などの無線LANネットワークを3Gパケットネットワークを融合する。(右)2007年までにはオールIP化して、複数の無線アクセスサービス間のシームレスモビリティを実現するという
「ATMは、当時の技術としては最先端だったが(2003年9月19日の記事参照)、IPのほうが汎用のソフトウェアを使えるほかコスト的に安い。2007年までには、ルーティングも含めてネットワークをフルIP化する。……と簡単に書いているが、実際には4500万からの客をいかに上手にマイグレーション(移行)するかが重要だ」
これと並行して、平均20Mbpsを実現する“4G”も開発中。同社は2010年頃に第4世代への移行を目指しており、「3世代から4世代をこのネットワークに収容していく」という作業を進めるとした。
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