ドコモの定額は「上得意客向け」にすぎない~mediba:mobidec 2004
携帯の「メディア化」を目指すauと、FeliCa携帯で「生活密着」を目指すドコモ。このところ、両者の方針の違いが明確になりつつある。medibaの橋本副社長に、auの考えを聞いてみよう。
携帯の「メディア化」を目指すauと、FeliCa携帯で「生活密着」を目指すドコモ。このところ、両者の方針の違いが明確になりつつある。
8月27日の「mobidec 2004」会場では、auのコンテンツ編成を行うmediba 取締役副社長の橋本浩典氏が登場。同社の狙いと、ドコモとの違いを話した。
PV目標は「10倍程度とかそんなものではない」
medibaは、7月にエイワンアドネットから社名を変更した企業(6月24日の記事参照)。もとはauの広告代理店だったが、「広告はメディアあってのもの。メディアをKDDIに任せきりでは、広告に責任を持てない」(橋本氏)ことから、メディア事業へ進出することになった。
今後の目標は、携帯を「ユーザーに感動を与える真のメディア」にすることだ。「私はまだ、携帯の画面を見ながら泣いている人を見たことがない。これではだめだ」という。
携帯をメディアとして強化することを考えたとき、何が足りないのか。同氏は、総視聴率の絶対値が不足していると指摘する。視聴率を上げるためには、パケット代の高さ、通信速度の遅さ、表現力の乏しさといった問題を解決する必要がある(7月13日の記事参照)。
幸い、auは「ダブル定額」「2.4Mbpsの通信速度」「Flash導入」によってこれらの課題をすべて克服していると同氏。「モバイルメディアは新たなステージを迎える。PVの目標は、今の10倍程度とかそんなものではない」。
ドコモの定額は「得意客向け」にすぎない
橋本氏は、ドコモの定額に向けた取り組みをひきあいに出して「あれは上得意にだけ還元しているパターン」とauとの違いを強調する。
「1万2000円~3000円出さないと、定額にならない。一般の普通のユーザーにとって、携帯をメディア化することにはならない。意味が大きく違う」
ドコモの中村社長はまた、携帯を「生活必需品」へとシフトしたいと話している(6月21日の記事参照)。これは、エンタメ系コンテンツを充実させ、携帯のメディア化を狙うauの方向性とは異なるように見える。
「通信事業者として正しいとは思うが……。携帯をメディアとして使わないのは、正直もったいないと私は思う」(橋本氏)。
auはFM放送や地上デジタルなども取り込みながら、メディア戦略を進める。その中核企業として、medibaはEZwebの価値向上を推進するとした。
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