“面白い携帯”から“生活必需品の携帯”へ〜ドコモ中村社長
6月18日にNTTドコモの社長に就任した中村維夫氏が、今後のドコモの方針について話した。これまでの携帯ビジネスが見直しを迫られる中、FeliCaを核とした新しいビジネスモデルを開花させたいと話す。
6月18日にNTTドコモの社長に就任した中村維夫氏が会見を開き、今後のドコモの方針について話した(6月18日の記事参照)。「生活インフラとしての携帯」という新しいビジネスモデル構築に向けて、「初心に戻ってチャレンジしたい」と意気込みを見せた。
携帯電話の契約者数が飽和に向かい、パケット定額制導入が相次ぐ中、通信事業者はトラフィックだけに依存しない新しいビジネスモデルの構築に向けて動き始めている。ドコモも“おサイフケータイ”ことFeliCaケータイの投入で、iモードに続く大きな変化を起こそうとしている(特集参照)。
中村社長は「トラフィックも重要だが、それに加えて生活やビジネスに役立つ携帯サービスといった新しいビジネスモデルに挑戦していく」と説明。ドコモの創生期のときのようなチャレンジ精神を持ってスピーディに事を運びたいと話した。
そのためには「お客様のニーズを的確に捉えるのが重要」(中村社長)。コンテンツサービスやアフターサービスなども“お客様第一”の姿勢で全般的に見直しをするという。「お客様第一、チャレンジ、スピード。この3つを表にして事業運営をしていきたい」。また社員ひとりひとりが、どのようにユーザーに向き合える姿勢を取れるかも大きな課題であるとしている。
社会に対する通信事業者としての責任を果たす
中村社長は、通信事業者としての社会的責任についても言及。携帯があまりに急速に発展したため、マイナスの側面が出てきていることを感じていると話す。
「迷惑メールや、犯罪に使われていること、マナーの問題。新たにウイルスの問題も出てきた。こうした問題に正面から向き合って、ひとつひとつ解決していくことが、携帯通信事業者の責任」(中村社長)。
4月に設立したモバイル社会研究所で、どのように対応していくべきなのかを研究者と勉強すると共に(4月1日の記事参照)、対応できるものについては法整備を働きかけていく考えだ。
昨年度のドコモの決算は過去最高の利益を上げたが、今年度は減収減益を既に発表している(5月7日の記事参照)。中村社長は「これをいかに早く回復させるのかが使命。厳しい状況ではあるが、精一杯やっていきたい」と決意を語った。
関連記事
- PHS事業は? 海外戦略は?〜中村社長が考えるドコモの“これから”
- 中村維夫氏、ドコモの社長に就任
NTTドコモの社長に中村維夫氏が就任した。立川敬二氏は今後、相談役としてドコモを支える。 - 特集:動き出すFeliCa携帯〜その全貌
iモード登場に匹敵する変化が、携帯にもたらされる。非接触IC技術“FeliCa”搭載端末の登場だ。携帯が財布代わりになる、定期券代わりになる、カギ代わりになる。端末の使い勝手のチェック、業界関係者へのインタビューなどを交えながら、NTTドコモが「今後5年間の主役」と位置付ける技術の正体に迫る。 - 携帯の“光と影”を研究〜ドコモが研究所設立
急激な普及の影で、社会的な批判も数多い携帯電話。ドコモは「モバイル社会研究所」を設立し、中立的な立場で携帯の影に光を当てる。 - ドコモの成長が一服〜2004年度は減収減益予定
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.