色の次は素材で勝負~nudioデザインの狙い
「機能や価格よりも、デザインは最重要」。そう話すボーダフォンが投入するデザイン端末は、“素材感”を極めることを狙った。ピンポイントにターゲットを絞ったnudioの主張とは。
「色を変えるだけでは当たり前。次に何ができるか」──。
「KOTO V303T」に続くデザインモデル第2弾の「nudio」。ボーダフォンのデザインチームが、携帯の新しいデザインとして打ち出してきたのが、“素材感”への着目だ。
nudioとは、nude(素)とio(イタリア語で私)を組み合わせたもの。「飾っていない、素材で勝負」(浦元芳浩課長代理)という意味が込められている。
素材には、metalとceramicの2種類が用意された。カラーバリエーションではなくテクスチャーバリエーションだとうたっている通り、metalはディンプルのシボ(模様)、ceramicはストライプのシボが施された。さらにシボに合わせ、スピーカーの穴までmetalはディンプル形状、ceramicはストライプ形状とした。
「ぜひ触ってもらいたい」と、ボーダフォンでデザインを担当した大道伸氏は話す。
シボ……と簡単に言うが、実現はたやすいことではない。樹脂を成形する金型から変えていかなくてならないからだ。通常のモデルではあり得ない、コストのかかる作りだ。
nudioのボディ形状も、どうしたら素材感を生かせるか考える中から生まれた。“スーパーオーバル”のコンセプトのもと、楕円と直線を組み合わせて各部を構成。「ミニマル、シンプル──。素材感を抽出していく」(大道氏)。
これまでの携帯電話のデザインが、新幹線や自動車のような“速そう”な形だったのも改めた。「有機より無機のイメージを大事にした」と浦元氏。
ボーダフォンにとってのデザイン
ボーダフォンの中に、デザインチームができたのは約2年半前。斬新なストレート端末として話題を呼んだ「graphica」が、第1弾の成果だった(2002年7月31日の記事参照)。
各社がデザインに力を入れた端末を多数リリースしているが、それは携帯の差別化要素としてデザインが非常に重要になってきているからだ。
「機能や価格では、(端末は)あまり差別化できない。300万画素はauが先行したが、(追いつくのは)時間の問題。差別化の要因としては、デザインが最重要」(浦元氏)
では、どのようなデザインをボーダフォンは目指しているのか。例えばドコモは、900iシリーズのデザインについて「200万人、300万人に使ってもらえる携帯のデザインは、単に奇抜なデザインではなく、微妙なバランスが重要」と話している(8月18日の記事参照)。
こうした姿勢に対し、「オールターゲットでいろんな人に許容されるものを狙いたいと思ってしまうと、似たようなものがたくさんある。主張がないと、結局ユーザーに届かない」と、浦元氏は“マスを狙うコンセプト”を否定する。もちろん、かといってニッチを狙うつもりもない。
「基本的には、ピンポイントの人に向けてメッセージを発信したい。でも、それはニッチではない。高感度層の人に受け入れられて、波及効果が生まれる」(大道氏)
nudioでは、metalとceramicという素材感を表現し切ることを狙った。ほかの部分も、どうやったら素材感向上に貢献できるかに絞って決めた。「極めたデザインを出すことで、欲しいと思う人が必ずいる」(浦元氏)。
万人に受け入れられるデザインを作り、機能性や低価格をウリに販売する──。大手のメーカーやキャリアほど、こうした端末を作りがちだ。しかしボーダフォンのように、キャリア自らが、“ターゲットはピンポイント”だと言い切れるのは、デザインが最重要になってきている中で強みとなるのではないか。
「携帯にこだわりたい人が増えているのは間違いない。その一歩先、二歩先をどう仕掛けていくか。それが、ボーダフォンのイメージを高めている重要な要素」(浦元氏)
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