減収減益のボーダフォン 3Gで巻き返し狙う
ボーダフォンは2004年度の中間決算を発表。シェア低下、ARPUの減少などが業績に響いたが、3G本格展開での巻き返しを狙う。全世界で2006年3月末に3G契約1000万契約という目標を明かした。
ボーダフォンは11月16日、2004年度の中間決算結果を発表した。売上高は7368億円(対前年同期比-18.4%)、経常利益は845億円(同-31.7%)となった。前年同期と比較して固定通信事業が売却されていることが減収に大きく影響、前年に特損を計上したことから、今期当期利益は255億円(前年同期は-1250億円)と増益となった。
携帯電話を扱う移動体通信部門も売上高、経常利益共に減少し、減収減益。一時は30%を超えていた純増シェアも5%台に低下し、累計の市場シェアも18.1%と減少傾向にある。
「上半期は厳しい状況だった。ユーザーは4%増えたが、ARPUは9.9%減。収益は4.9%減少した」(ボーダフォンCFOのジョン・ダーキン氏)。
これからW-CDMAがポジティブに効いてくる
これまで、地域会社9社の統合、持ち株会社だったボーダフォンホールディングスとボーダフォンの合併など(10月1日の記事参照)、会社基盤の強化など内部機能の変革を手がけてきた同社。2005年以降は、改革の成果が出て競争力が回復してくるとする。
競争力回復のけん引役と期待されるのが、年末からスタートする新3Gサービスだ(11月10日の記事参照)。「これまで3G端末には競争力のあるポートフォリオがそろっていなかった。3Gは着実に強化した。端末、料金プラン、魅力あるサービスを用意している。これからはW-CDMAがポジティブに効いてくる」(J・ブライアン・クラーク社長)。
ただし現在わずか26万契約の3Gを、どこまで伸ばせるかについては言及を避けた。唯一、全世界のグループ全体で「2006年3月までに、1000万の3G契約を目指す。この中で日本は非常に重要な役割を果たす」(クラーク氏)とだけ目標を明かした。
上期のARPUは6280円と他社に比べて落ち込みが激しいが、「3G分野を強化することでARPU低減を抑えられる」(クラーク氏)と話す。とはいえ、相対的にARPUが低いプリペイド契約の比率が11%と上昇しており、データARPUの値も伸びていない。
新規顧客獲得費用、いわゆるインセンティブも、平均3万6000円(前年同期は3万2000円)と増加した。「競争が激化しているためインセンティブは増えている。長期的には、フラットか下がっていく基調となる」(クラーク氏)。
パケット定額制プラン「パケットフリー」を導入することも、短期的には影響がありそうだ。クラーク氏は「将来的には会社にポジティブな影響を及ぼすだろう」と評価した。
なお、通期の業績予想は2004年5月発表から変更なし。売上高が1兆5310億円、経常利益は1270億円、当期利益は1100億円としている。
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