好みが分かれる独特な絵作り~「802SE」:ケータイカメラ画質研究ラボ(2/2 ページ)
ボーダフォン初のソニエリ端末「802SE」は、131万画素のCMOSカメラを搭載。絵作りはかなり独特で、好みが分かれるだろう。
あずま屋も同様だった。
やや色あせた古いフィルムっぽいレトロ感が、撮った瞬間からあふれている。発色は豊かで無理にエッジ強調をしてないため柔らかい感じだ。善し悪しというより“独特のテイスト”というほうが近いかもしれない。
緑が多い風景を撮っても同様のテイストだ。青空を撮ってみると空に派手にノイズが出てざらついてしまった。
多くのデジカメやカメラ付き携帯は、なめらかな部分に出るざらつきや、暗部に出るノイズを抑えるような処理を施している。802SEは、たぶんこうした処理を一切してないのだと思う。これはこれで味なのかもしれない。
次にパノラマの作例を紹介しよう。
これまでもパノラマモードと称して上下をトリミングした画像を撮影できるデジカメはあったが、これはホンモノ。その場でカメラを動かしながら3枚の写真を撮り、合成するのだ。1枚撮るたびに次に撮影する位置の目安が画面に出るので、カメラの高さや角度に気をつけながら撮るだけでいい。ちょっと面白い機能だ。
室内の撮影編
つぎは屋内の作例だ。
蛍光灯下での撮影は、ホワイトバランスはそこそこ合っているが、真っ白なはずの洗面台や壁のやや暗い場所、黄色いラバーダッキーなどに偽色ノイズが乗りまくっている。これほど乗っていると、ある意味豪快である。
白熱灯下でもホワイトバランスは補正されており、真っ白なところはちゃんと白くなっている。ただ少し暗い場所だとざらつきが激しくなる。超高感度フィルムで撮ったようなノイズの出方だ。その代わり、彩度は高めで色はしっかり乗っている。
ロウソクの光で撮ってみるとこんな感じだ。
夜景モードに設定すると、より暗い場所にも対応するが、その分ノイズも派手になってくる。ライトを照らすと暗部がなかなかすごい。ノイズが浮いてきても構わず増感し、構わず彩度を上げるという、潔さを感じるほどの処理を行う。
不思議なテイストの不思議なカメラでした
131万画素のカメラ機能が付いている割には、中身はすごくシンプル。オートフォーカス機構もないし、マクロモードもない。撮影サイズも3種類で、とにかくシンプルなのだ。
でもカメラ付き携帯のカメラ機能がシンプルなのは悪いことではない。みんなが携帯でスナップ撮影するのに、多くの機能を駆使したいわけではない。
ただ撮れる絵は独特すぎる。ノイズがひどくて悪いというよりは、わざとそれを狙ってノイズを消したりディテールにシャープネスをかけたりという処理をしてないのではないかと思わせるほどだ。あるいはノイズなんて全然気にしていないのかもしれない。とにかく「日本っぽくない」絵だ。CMOSっぽさを消そうとは思ってないに違いない。それはそれで味があるが、これが味だと思う人でないと辛いかもしれない。
今のデジカメでいうと、ローライのミニデジ(これは200万画素のCMOSを使ってるミニチュアデジカメ)に似ている印象だ(7月20日の記事参照)。
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