ドコモ、PHS事業から撤退へ~FOMAに経営資源を集中
ドコモは、PHSサービスの新規申し込みを4月30日をもって終了すると発表した。ユーザーの動向をみながら、2年後をめどにサービスを終了する意向。代替案の1つにはフルブラウザ端末の投入も挙がった。
NTTドコモは、PHSサービスの新規申し込みを4月30日をもって終了すると発表した(2月28日の記事参照)。ドコモのPHS契約数は、2月27日の時点で約135万。新規申し込み終了後もサービスは継続するとしているが、PHSユーザーにはドコモの携帯電話やFOMAへの特典付きの移行策を提供し、将来的にはサービスを終了する意向。終了時期の見通しについて、NTTドコモの中村維夫社長は「サービスの停止までには2年くらいかかると見ている」とした。
新規申し込みの終了を決めた理由は大きく3つあると中村社長。最初に挙げたのは、PHSを取り巻く事業環境の厳しさだ。「ADSLの普及により、カード型PHSの競争力が低下している」(中村社長)。屋内利用が多かったPHSカードの利用がADSLに取って代わられたことに加え、フルブラウザ搭載端末や定額制サービスの登場など、代替となるインフラが整ってきたと説明。「ドコモもFOMAのデータ通信プランについて、準定額制といえるプランを発表済み(2月17日の記事参照)。フルブラウザ端末もやっていく考え」と話すなど、データ通信についてはFOMAに経営資源を集中させる方針だ。
2つ目に挙げたのは、利用者の減少。「(PHS定額データ通信サービス)『@FreeD』(2003年3月の記事参照)を開始した際には、月6000台くらい出ていたが、以降は2500台がめいっぱい」(中村社長)。契約者も2002年3月の192万をピークに(NTTパーソナル時代の最多契約数は、1997年9月の212万)減少が続き、2月27日時点で135万契約となっている。
3つ目は、サービス継続にかかる投資額が大きい点だ。「どこまでやるかにもよるが、2012年の干渉問題も考えると、4000~5000億の再投資が必要」(中村社長)。PHS事業は6年間で3800億の累計赤字が出ており、「今年度単年でも250億の赤字を予想している」(同)という状況の中、事業の存続は困難だという見方を示した。
既存ユーザーには代替案を案内
ドコモはPHSユーザーに対し、携帯電話やFOMAへの移行に向けた各種特典を提供する。新規契約の手数料を無料にするほか、端末購入に関しても優遇策を検討中。また、約6万ユーザー(60万契約)が利用している法人向けPHSサービスについても、代替サービスとして無線LANとFOMAのデュアルネットワークサービス「PASSAGE DUPLE」(2004年11月の記事参照)を案内するとしている。
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