KDDI、燃料電池の試作機を展示:ワイヤレスジャパン2005:
充電器タイプの試作機が実際に動作しているほか、内蔵タイプのイメージモックアップと、スペック目標値が示された。
KDDIは7月13日から開催している「ワイヤレスジャパン2005」会場の展示ブースで、携帯電話向け燃料電池の試作機を展示している。
従来モックアップだった(2004年10月5日の記事参照)充電タイプの燃料電池は、東芝製と日立製作所製の試作機が稼働している。また、同じ2社による端末内蔵型のイメージモックアップと、目標スペックなどが明かされている。
充電器タイプの燃料電池は、いずれもメタノールを燃料とするパッシブタイプのDMFC(ダイレクトメタノール方式)で出力が1ワット。1ワットという出力は、通話については燃料電池のみの出力で可能だが、テレビを視聴するには現状少々足りない出力となる。
日立製の燃料電池はメタノール濃度は非公開。燃料カートリッジを使い、2ミリリットルの燃料で1時間の電力供給が行える。東芝製は、メタノール100%の燃料を内部に注入するタイプ。20ミリリットルの燃料で20時間の電力供給が行える。およそ「電池パック7個分程度の容量」(KDDI)となる。
いずれも2005年度中に技術的に完成させる予定。
今回初めて展示された、携帯電話内蔵型のイメージモデル。基本的な構造は充電型と同様となる。
KDDIが目標とする仕様は、出力が300ミリワット、7ミリリットルの燃料で「従来電池の2.5個分」の動作時間を目指す。現行機と同じリチウムイオン電池が内蔵されており、実質的には燃料電池部分が1.5個分を担う。
東芝としての目標は、出力が1ワットで従来電池5個分の電力供給としている。
日立製作所製のイメージモックアップは、液晶側に燃料電池を搭載。背面液晶側から水蒸気を排出する。ヒンジ部近くにカートリッジを差し込む想定だ。燃料電池内蔵端末のアプリケーションとして、地上デジタル放送のほか、HDD搭載、ウルトラ3Gなど通信高速化が示された。
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