KDDI、PHS事業の売却と固定拡販で減収減益
KDDIの2006年3月期第1四半期決算は、メタルプラス拡販やPHS事業譲渡により営業収益、営業利益ともにダウンとなった。au事業は好調で、解約率は過去最低だ。
KDDIは7月25日、2006年3月期第1四半期の決算説明会を実施した。連結業績で見ると、営業収益が前年同期比0.8%減の7143億円、営業利益が同1.9%減の878億円。
数字上、減収減益となっているのは、昨年度事業譲渡したDDIポケット(現ウィルコム)が前年度業績に含まれているのが原因。DDIポケットの分を除いて計算すると、営業収益が前年同期比5.7%増、営業利益が同1.2%増となる。
auの解約率は過去最低
4月に行われた決算説明会で中期方針として示した通り(4月28日の記事参照)、固定系サービスを積極販売し、生じた赤字をau事業の黒字でカバーするという方針は変わっていない。
事業別に見ると、au事業は営業収益が前年同期比10.2%増の5395億円、営業利益が同16.4%増の931億円と好調。増収増益となっている。「今期の解約率は1.26%で、前年同期比から0.14ポイントマイナス。四半期単位では過去最低の(よい)数字だ。解約率が低下したことによって、無理な拡販をしなくてもよくなり、販売コミッション(インセンティブ)も抑えられている。ARPUも安定している」(小野寺氏)
一方、固定事業を見ると、営業収益は前年同期比1.3%減の1450億円、営業利益は116億円減となっている。これは、同社の直収型電話サービス「メタルプラス」(2004年9月15日の記事参照)の拡販費用が増加しているためだ。
FMC(Fixed Mobile Convergence)、つまり、固定と無線の融合は、KDDIにとっても大きなテーマ。同社ではすでに携帯電話と固定回線の請求書の一本化(3月16日の記事参照)や、固定のユーザーに携帯を勧め、携帯のユーザーに固定サービスを勧める「クロスセル」を始めている。
メタルプラスの契約数は、6月末で91万9000回線。これを2006年3月末で220万契約まで増やす目標だ。現在の契約数について「通期目標に対して下回っている」としつつも「(220万契約は)大きすぎる目標ではない。GC(加入者交換機)の開局が進めば、個人の契約数も増える」(小野寺氏)とコメントした。
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