「ちょい悪オヤジ」にDOLCEを使ってほしい――ドコモ
ドコモが発表した新コンセプト「大人ケータイ」。それはらくらくホンでも、900/700系でもない、新しい路線のケータイだという。
NTTドコモが、携帯シリーズに新しいコンセプトを打ち出した。8月5日から販売されている「DOLCE」がうたう、“大人ケータイ”がそれだ(8月2日の記事参照)。
ドコモは大人ケータイというフレーズに、どんな意味を込めたのか。またどんなユーザーをターゲットにしているのか。ドコモのマーケティング企画 サービスマーケティング担当、井上英明氏に聞いた。
「大人」が意味するところ
井上氏は大人ケータイの開発にあたり、まず携帯市場の飽和を考えたと話す。
ユーザーが「1人1台」の環境を実現しつつある今、通常の端末だけでは市場を開拓できない。そこでドコモは、高齢者向けにセグメントを絞った端末「らくらくホン」を開発してきた。この戦略は見事当たり、らくらくホンはシリーズ累計550万台を超える成績を残している。
ただし、メインストリームに向けて900シリーズや700シリーズも投入する中で、こうした通常のFOMAとらくらくホンの中間層に位置する端末が必要だと考えたという。
「らくらくホンを使えと言われると『心外だ』と感じるユーザー。“らくらくホンの人”というレッテルを貼られたくないユーザーで、しかし文字は大きいほうがいいという層が存在する」
大人ケータイが狙うのは、まさにこうしたユーザー。40~50代の男性で、会社では役職に就いている。メールも電話も活発に利用し、着ているものはイタリア製スーツ――という「かっこいい大人」を想定したという。
「(雑誌『LEON』が広めた)ちょい悪オヤジ、という言葉があるが、DOLCEがターゲットにするのはこれ。年下の女性と飲みにいって、帰りに『今日は楽しかったね』とメールを入れるユーザーだ」
(左)メニュー画面は、大きいアイコンで見やすく表示される。これが基本メニューだ(右)ただし、通常のメニュー構成(詳細メニュー)も用意している。若年層が購入して、通常の携帯と似たインタフェースで使うことも可能だ
大人は「公共の場に出ることも多い」
面白いのは、大人ケータイの機能はすべてこのコンセプトをもとに開発されていることだ。たとえば端末側面には「独立音量ボタン」を備えているが、これは「大人は公共の場で会話することが多い」という考えがあってだという。
「駅のホームなど、大人は公共の場で会話せざるを得ないときもある。このときに受話音量を切り替える」。単純に相手の声を聞き取りやすくする、らくらくホンの機能とは発想が異なるのだという。
「VeilViewモバイルASV液晶」(7月14日の記事参照)によるのぞき見防止機能も、同様の観点から用意された。周りに人がいる状況で、やむなく携帯を利用する場合に有効だ。
ちなみに、こののぞき見妨害パターンではイタリア語で「苦労して得た幸福は2倍味わい深い」といった意味の文字を表示することがある。これは既にお伝えしたとおり(8月8日の記事参照)。
実はこの文句、当初は「のぞき見するんじゃないよ」といった意味にしようかとの案も出たという。
「しかし、やめた。大人はそんなケチなことは言わない」
大人は「ワンタッチキーを仕事に活用する」
DOLCEは、3つのワンタッチキーも備えている。これを押すだけで、手軽に特定の相手に電話発信したり、メール作成画面に移ったりできる。登録番号からの不在着信や、登録アドレスからの未開封メールがあった場合、このキーが光って知らせる。
らくらくホンでも同様のワンタッチキーはあるが、これは純粋に「通信手順を短縮するため」のもの。DOLCEの場合は、ワンタッチキーに電卓や、マネーカルク(お小遣い帳)といった機能を割り当てることも可能になっている。このあたりが、やはり大人ケータイならではの要素だとした。
第2、第3の「大人ケータイ」が出るのか?
このように大人ケータイは、らくらくホンとも900/700系とも異なる路線を切り開いている。今後、これが新ジャンルとなるのか気になるところだ。
井上氏は、“大人ケータイ”を商標登録したものの、今後このラインアップをどう展開していくかはまだ決めていないと話す。「続編が出るかは、まだ確定していない」
ただし、仮定の話だがと前置きした上で、井上氏は次のように話す。
「DOLCEには、アプリ機能が入っていない。これはこれで、高級感をコンセプトにした完成されたかたちだと思うが、ちょい悪オヤジが簡単な“落ち物ゲーム”などをプレイしているシーンは想像できる」
次に大人ケータイを出すとしたら、そのあたりにも配慮したいとした。
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