聴いてみると案外イケる? でもコスト面の問題が:携帯はオーディオプレーヤー替わりになれるか? Vol.2(2/2 ページ)
苦労の末にSD-Jukeboxで取り込んだ音楽を「P901iS」で聴いてみたところ、機能的にはイケる感触。でもコスト面の問題が……。
最大の問題はminiSDの容量と価格だ。ポータブルオーディオプレーヤーの場合、iPod nanoのようにかなりコンパクトにまとまった2G~4Gバイトのシリコンメモリタイプの製品が登場しているが、miniSDは現在のところ手軽に入手できるものは容量1Gバイトが最大。価格は1万円~1万台半ば程度になる。そしてP901iSではminiSDカードは256Mバイトまでのものしか利用できない。
そこでちょっと検討したのが、松下電器産業のD-Snap Audioのテレビコマーシャルにもあるような、メモリカードを差し替えて音楽を楽しむ、という方法。ジャンルや好みなどで選別した複数のプレイリストをSD-Jukeboxで作成し、miniSDその1にはプレイリストA、miniSDその2にはプレイリストB……というように、128~256Mバイト程度のminiSDに小分けにして持って歩けば、必要な容量に応じてminiSDを買い増せばいい。これならイニシャルコストは安上がりかもしれない。
しかしよくよく考えると、根本的なことを忘れていた。P901iSは、純然たるポータブルオーディオプレーヤーではなく、あくまでも多くの機能を持った携帯電話なのである。たとえば筆者の場合、携帯電話の外部メモリには、内蔵カメラで撮影した画像データなどを保存している。仮に、miniSDを交換しながら音楽を聴いたとすると、ちょっと気になるスナップを携帯電話のカメラで撮影したりするときに、複数のminiSDに画像が分散することになる。これでは音楽以外のデータを運用するのに非常に手間がかかってしまう。「カメラを使うときはこのminiSD」と決めて、その都度差し替えればいいのかもしれないが、それはそれで面倒だ。
もし、付属の音楽管理ソフトSD-Jukeboxの選曲機能が活用しやすく、自動同期機能も装備され、トータルの使い勝手がもっと優秀だったとしたら、容量が256Mバイト程度であったとしても、PC側に蓄積したデータとminiSD上のデータを苦もなく入れ替えて楽しめるだろう。
ちなみに新端末の「P902i」(「P902i」記事一覧参照)では1GバイトのminiSDもサポートしており、カードを差し替える必要なく音楽機能を利用できる。
使い方の工夫次第で「一体化」は可能――工夫というより努力かも?
ここまで、P901iSに焦点を当てて「携帯とポータブルオーディオを1台にまとめる」ことを検証してきてみた。筆者自身は“足りない部分は確かにあるが、手間が気にならなければ十分可能”という結論にたどり着いた。
まず、当初の期待としてあった「荷物を減らしたい」はもちろんクリア。当初不安だった「音質」は文句なしの合格。電話着信やメール受信時の処理は実用上不満がない。
その一方で、バッテリー駆動時間はポータブルオーディオプレーヤーほど長くはないし、miniSDの容量やコストのバランスと使い方、Windows Media Player 10やiTunesに比べた際のSD-Jukeboxの機能面での見劣りなどのポイントは残念ながらほぼ予想通りの状況となってしまった。
ただ、筆者の場合は、かなりの容量のコンテンツを貯め込んでいる、どちらかというとかなり「ヘビー」なユーザーであり、持っているコンテンツが少ないなら、SD-Jukeboxに機能面の不満を覚えるとは限らないだろう。また、ちょっとヘビーなユーザーでも、miniSDの差し替え利用、PC上でのこまめなプレイリスト編集などのちょっとした手間をかければ、運用はずいぶんと楽になる。miniSDのコスト、時間、手間と、「1台にまとめられる」ことのトレードオフ、といったところだろうか。
P901iSは「Music PORTER」シリーズのような、いわゆる音楽機能に特化した携帯電話、というわけではない。しかし、本機であっても、ポータブルオーディオプレーヤー的な利用方法は十分現実的ではある。現時点でこのような用途を考えている人は、候補に加えてもいいだろう。個人的には今まで試してみたことがなかった領域ではあったが、テレビ電話やテレビ視聴などの機能よりも、ずっと実用的で高機能なことに驚かされた。
なお、併せて検証した音楽ケータイ「Vodafone 803T」と「W31S」については、付属ソフトの違いやインタフェースの違い、外部メモリの違いなどの差はあるものの、基本的に使った感覚はP901iSに近い。次回以降はこれらの2機種について、それぞれの使い勝手をチェックする。
関連記事
- 「音楽携帯だけで生活できるか」を試す
今年の携帯業界のトレンドの1つといえるのが、音楽機能の搭載。音楽携帯があれば、ポータブルオーディオプレーヤーなしで音楽生活を楽しめるのだろうか? - 機能もボディも音楽プレイヤーらしく~「Music PORTER」
「音楽と携帯の融合」がテーマの「Music PORTER」。機能だけでなくボディデザインにも、音楽プレイヤーらしさを取り入れた。 - 見た目も中身も“音楽プレーヤーらしさ”を追求──「803T」が生まれるまで
音楽プレーヤーのようなスタイルを全面に押し出したボーダフォンの「803T」。「開くと3G携帯、閉じれば音楽プレーヤー」というコンセプトは、端末の隅々にまで行き渡っている。 - スライドボディの音楽機能全部入り「W31S」~4月中旬に発売
ソニー・エリクソン・モバイル初となるスライド携帯「W31S」。着うたフルに加え、FMラジオや手持ちのCDの音楽を聴ける音楽プレイヤー機能を装備する。 - 「P901iS」記事一覧
話題の音楽機能を携帯電話に搭載。FeliCaのセキュリティは顔認証を用意、おなじみの「カスタムジャケット」も進化を遂げた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.