「潔い」端末にしたかった――佐藤可士和×N702iD:シリーズ・702iDクリエイターインタビュー(2/2 ページ)
ドコモの“デザイナーコラボ”には、それぞれ有名クリエイターが関わっている。各クリエイターに、開発コンセプトや考えていることを聞いた。
「(開発現場である)郡山まで出向いて、自ら立ち会って『この色ではだめだから、白色をあと何%足してほしい』『膜厚をあと何ミクロン上げてくれ』という世界だ」(笑)
机上でアイデアを練るのでなく、実地に赴いて仕上がりを確認するという作業が思いのほか大変だったのだとした。
アートディレクターとして「トータルで演出を」
端末開発にあたり、ドコモからの注文はなかったのだろうか。佐藤氏は「自分はプロダクトデザイナーではない。そのため電話機を作るのではなくて、端末内部も含めてトータルに見てほしいと言われた」と答える。
佐藤氏の本職は、アートディレクター。そのためN702iDの待受画像などの内蔵コンテンツは、統一的な世界観のものを用意してあると話す。フォントにしても、「サムライ702」という独自フォントを用意した(1月17日の記事参照)。
「せっかくなら全部アートディレクションしようということで、キーフォントもオリジナルフォントを全部開発した。……携帯というとなんとなくネコの待受画面だったり、夜景だったりするが、せっかくならこちらも全体に美意識が行き届いたものをやりたいということで、瀧本幹也くんという売れっ子カメラマンの撮ったグラフィカルな記号的な写真もいくつか設定した」
佐藤氏は普段、仕事とは別にアートデザインユニットを組織しているが、ここでの作品もN702iDに提供した。また音楽も佐藤氏が作っているという。「僕がギターを弾いている、そんな音楽のiモーションもある」。NEC端末としてはよく見かけるDisneyの待受画面にしても、この端末に合うようなシンプルデザインのミッキーがプリインストールしてあるという。
結果として、2年間にわたるN702iDのデザインの仕事は、非常に楽しいものだったと佐藤氏は振り返る。
「携帯は高度な技術を結集した、それでいて身近な製品。ポップカルチャーを集約したような存在で、持っていないと不安になるものをデザインするという経験は非常に面白かった。同時に大変でもあったが……またやりたいと思う」
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