これが“ウォークマンケータイ”のアイデンティティ──開発陣が語る「W42S」(3/3 ページ)
ついに日本市場にお目見えした「ウォークマンケータイ W42S」。音楽ケータイをうたう端末が各種登場する中、“ウォークマンケータイ”のアイデンティティとは何なのか。開発陣に聞いた。
再生時間、音質も「ウォークマンと遜色ない」
ウォークマンブランドを名乗る上で、妥協できなかった部分だと開発陣が胸を張るのが、30時間の長時間再生に対応した点だ。ハードウェア設計を担当した松野氏は「ユーザーが期待するのは、専用音楽プレーヤーで実現していることを携帯でも可能にすること。“世の中のシリコンオーディオに負けない”というところから開発を始め、W31Sでは6.5時間だった連続再生時間が、30時間になった。これは大きな進化」と話す。
最近の携帯電話では音楽再生専用チップを載せているものも増えており、W42Sにも新開発の音楽再生用チップ「モバイルエンハンサー」を搭載しているが、それ以上の最適化を図っているという。
「連続再生が十数時間の端末は、デコード処理をするところでCPUのコプロセッサを使って効率的にやっていると思われるが、W42Sではそれ以上に音楽再生に特化するために、あえて機能を切り離している。擬似的にいうとシリコンオーディオと携帯電話の待受が同じところに同居していているイメージで、これらが密に連携している。基本的には仕事を完全に分けるプロセスで、再生チップを設計している」(松野氏)。バッテリー容量は前モデルのW41Sと同じであり、チップの設計で音楽の連続再生時間を延ばしたことになる。
音質についても、ATRAC3系の曲であればウォークマンと遜色ない音質になっていると松野氏。付属のイヤフォンには、出力時に間引いた音を補うハーモニックチューン技術が実装されたことから、よりよい音質で音楽を楽しめるという。内蔵のスピーカーも、シャカシャカした安っぽい音にならないよう、DSPの処理で低域があたかも鳴っているような処理を施した。
トータルのモチベーションが音楽
「ケータイはついに、WALKMANを手に入れた」というキャッチフレーズとともに、鳴り物入りで登場したウォークマンケータイW42S。携帯でありながら、“いかにスムーズに音楽にアクセスできるか”“いかに音楽を楽しめるか”“いかに安心して音楽聴けるか”“いかに持ち歩きやすいか”“いかに格好いいか”を追求し、それを形にした格好だ。これが冒頭の「トータルのモチベーションが音楽」(岡本氏)という言葉につながってくる。
次世代ウォークマンケータイの開発についてはまだ何も決まっていないというが、W42Sの開発で蓄積したノウハウを生かした端末を作りたいという開発陣の想いは強い。「ウォークマンケータイの回答は1つではない。W42Sを開発する中で、“あれもしたいこれもしたい”というものが見えてきた。こうしたノウハウやアイデアを生かす機会を持ちたいという思いはある」(岡本氏)
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