“まさにガラパゴス”日本の特殊なモバイル市場におけるMVNOの重要性とは?:mobidec 2006(2/2 ページ)
独特の発展を遂げた日本のモバイル市場で、MVNOに期待される役割とその課題とは? mobidec 2006において、MVNOに関するパネルディスカッションが開催された。
日本のモバイル市場はまさにガラパゴス諸島
しかし、こうした通信分野とは別の業界から参入する場合、既存のインフラを活用するといってもどうしてもハードルが高くなる。そこで、三木氏が代表取締役を務めるMovabilityのような、MVNO事業をサポートするMVNE(Mobile Virtual Network Enabler)事業者の存在が欠かせない。
「日本のモバイル市場はまさにガラパゴス諸島。独特の進化・発展を遂げて外にも出られない、内にも入れない状況になっている。通信において世界標準のビジネスを行うのであれば、現状ではMVNOを推進してインフラの違いを克服したサービスを始めなければならない」(三木氏)
さらに、MNOによってさまざまなサービスが携帯に盛り込まれているが、その目的はARPUを引き上げることと契約期間を延ばすことに集約されているとし、「付加価値が付いて複雑に見えているが、既存事業者のビジネスモデルは意外にシンプル。その枠組みのなかで、MNOとサービスプロバイダの折り合いがついたサービスが現状でこれだけたくさんある。MVNOを導入すればもっと消費者のニーズに即したサービスが提供できるのは間違いなく、我々の使命はMVNOにより、各事業者の折り合いをいかに付けられるかにある」(三木氏)とMVNEの重要性を説いた。
3G網への接続は時間の問題
福田氏は日本のMVNO事業の課題として、その成り立ちの違いを指摘した。「MVNOが世界的に話題になったのは、英国のモバイル市場にバージンという非常にブランド力のある企業が参入したのがきっかけ。しかし、当時の英国では数多くの事業者が参入していて大手がいなかった。そこにブランドや明確なコンセプトを持ったプレーヤーがMVNOで参入し、シェアが変動した。日本では大手3社による寡占状態にあり、MVNOの成り立ちがちょっと違う」(福田氏)
こうした国内外でMVNOに対する温度差があるものの、国内の制度や技術のイノベーションが進んでおり、各キャリアの3G網への接続は時間の問題であるとした。また、寺田氏は「MVNOを単なる流行語にしてはいけない。ユーザーニーズをもっとくみ上げて、キャリアも行政も交えた対話によってMVNOを推進する必要がある」と、MVNOの盛り上げを市場全体で行うことに期待を込めた。
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