目指したのは“手のひらサイズのネットPC”──VGA画面の「W51H」が生まれるまで:「W51H」開発陣インタビュー(前編)(2/2 ページ)
ワンセグケータイ「W41H」で、機能もデザインも“小さなテレビ”のような端末を開発した日立製作所。最新モデルの「W51H」で目指したのは“手のひらサイズのネットPC”だ。
この3つがあるからこそ、W51Hが“ネットケータイ”として成り立つ
“ネット派に向けたポータルケータイ”をうたうからには、使いやすさにこだわりたい──。そんな開発陣の意気込みを感じさせるのが、VGA対応PCサイトビューアー+2.9インチWVGA液晶+スマートセンサーの組み合わせで実現した“PCライクな操作性”だ。
「ネット派に向けた“ポータルケータイ”というコンセプトのもと、ネットケータイとしての利便性を考えた3つのポイントを盛り込んでいます。まず1つが、2.9インチでワイドVGA対応のIPS液晶。そして、指先で快適に操作できるスマートセンサー、最後が大画面を生かした横表示対応のPCサイトビューアー。この3つがあるからこそ、W51Hがネット派ケータイとして成り立っているのです」(吉田氏)
ワイドVGA対応の画面は、ディスプレイを表にした状態で折りたたんで横向きにすると、PCのような800×480ピクセルの横表示になる。PCサイトビューアーは、端末をこの状態にすると自動で横表示になり、一般的なPC向けのWebページを表示させるとサイトの横が切れることなく1画面に収まる。そしてPCのような操作を可能にするべく搭載したのが、なぞってスクロールしたりダブルタップでリンク先にアクセスできるスマートセンサーというわけだ。「WVGA液晶は、従来のQVGA液晶に比べて解像度が4倍になるので、1画面当たりの情報量が格段に向上します。表示領域は5倍になるので、一覧性も高い。表示倍率も20%から200%に切り替えられるので、PCのようなUIでサイトを見たい人、大きな文字で見たい人など、さまざまなサイト閲覧のニーズに応えられます」(同)
春モデルの多くに搭載されるPCサイトビューアーは、端末内の画像をブログにアップロード可能になったほか、タブブラウザにも対応し、最大3つのページを切り替えて表示できるようになった。FLASH表示への対応やサイト上にあるPDFファイルのダウンロードも可能になるなど、PC用ブラウザでできることへの対応が徐々に進み始めている。
日立製作所の開発陣は、W51Hを開発するにあたって、“全部入り”という分かりやすい高機能を目指すのではなく、キャリアのPCサイト閲覧機能の拡張に歩調を合わせて進化する道を選んだ。そしてデバイスやUIを最適化し、“ネットケータイ”という新ジャンルの端末を生み出した。W51Hは明確なコンセプトのもと、そこにフォーカスしたこだわりの末に生まれた端末といえるだろう。
インタビューの後編では、スマートセンサーを使いやすくするための工夫や基本機能の進化、デザインのこだわりについて開発陣に聞く。
VGA液晶の威力が分かる待受コンテンツ──「1年残量計」
日立製作所では、W51HのワイドVGA画面の便利さをユーザーに実感してもらおうと、ユニークな待受画面をプリセットしている。
「ワイドVGAでしか実現できない待受画面として、“1年残量計”を入れました。1年365日のすべての日付を一画面上に表示し、終わった日は色が変わるようになっています。今、1年のうちのどのくらい経過したのかが分かるので、忙しい人は(あっという間にカレンダーの半分くらいに色が付いて)ちょっと怖いかもしれません(笑)。この待受画面を見れば、一目でワイドVGAの威力を理解してもらえると思います」(岩間氏)
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